妖怪こむらがえり

 
明け方、寝返りを打ったら、足がつる
水分不足などが原因といわれているが、
それは妖怪こむらがえりのしわざです
 
本の山から読みたい本をさがしたが
見つからない
捜索願を出そうにもどこに出す
「本 どこ?」というスマホのアプリはないものか
それは妖怪ほんかくしのしわざです
 
片っぽだけの靴下が増えている
ちゃんと洗濯機に入れて干したはずなのに
それは妖怪くつしたあつめのしわざです
 
掃除機のすき間ノズルが見当たらない
ボールペンのキャップが行方不明
宅配便用のハンコも消えた
昨日まではあったのに
それは妖怪さきっぽずきのしわざです
 
運命的な出会いをして燃えるような恋をした
だけど波が引くように終わってしまった
それは妖怪れんあいおじゃまむしのせいです

肉眼では見えないこれらの妖怪たち
妖怪ゴーグルがあれば見ることができます
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気がつくと

 

半七捕物帳〈5〉 (光文社時代小説文庫)

半七捕物帳〈5〉 (光文社時代小説文庫)

 

 

 
気がつくと主に岡本綺堂とK-文学ばっか読んでいる。
気がつくと強炭酸水ばっか飲んでいる。
参考までに、K-文学についての記事のリンクを紹介する。
 
「K文学」が日本で続々出版 韓流定着、新たな市場注目
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180911/mcb1809110500004-n1.htm
サンケイなのにニュートラルな記事。流通向けだからか。
 
韓国文学、いま日本で熱い 「モンスーン」のピョン・ヘヨンさん、邦訳3冊目
https://www.asahi.com/articles/DA3S14174048.html
ツィートを見ると、反韓の人は反朝日の人なのか。

日韓不和なのに空前の「韓国文学ブーム」のなぜ
https://toyokeizai.net/articles/-/301306
これはアクセス増ねらいの釣りタイトル。うまいけど好きじゃない。

ぼくのようなオッサンでも続けて読ませる韓国文学の面白さはなんだろう。
人間のいいところ、悪いところにとことん向き合っていることだと思う。
辛口。ジュンパ・ラヒリアリス・マンローあたりに通じる世界観(オザキはつかない)。
幸田文永井龍男とかも。個人的意見。
成瀬巳喜男の映画を見るように読んでいる。
個人的にはパク・ミンギュの新作が読みたい。
 
『半七捕物帳5 新装版』岡本綺堂著を読んだ。
あと1巻で一巻の終わり。
いつものように気にいった作品を3篇取り上げる。

『唐人飴』
片腕が落ちている事件が連続して起こる。
今度は唐人飴売りの衣装ごと切られた片腕が転がっていた。
飴売りなどのもの売りも明治時代が進むにつれ
時代遅れとなっていたようだ。
 
『幽霊の観世物(みせもの)』
お化け屋敷は昔も今も人気の納涼コンテンツの一つ。
こわがらせるためにいろんな仕掛けを講じるが、
人が扮する幽霊はパフォーマンスなどで人形に勝る。
しかし、そこに、本物の死体が。

『蟹のお角(かく)』
悪女、妖婦、ヴァンプは推理小説に欠かせないキャラクター。
このシリーズにも稀代の悪女が出て来るが、
「蟹のお角(かく)」は、存在感バツグン。
両胸に蟹のほりものがある巾着切り。スリね。
知り合った異人にむりやり全裸の写真を撮られてしまう。
恨み、骨髄…。
 

「その当時のうち神田はこんにちの姿とまったく相違して、
神保町、猿楽町、小川町のあたりはすべて大小の武家屋敷で、
町屋は一軒もなかったのである」

 (『歩兵の髪切り』より引用)

 

ぼくが足繁く通っていたその界隈は
古書店スポーツショップでにぎわっていた。
 
書きますた
オリックス生命 BAKUBAKUヴィレッジ
カイセツ教授のビジネス・コーチング  子育て応用編
第3回 「アクノリッジメント」
https://www.orixlife.co.jp/bbv/kaisetsukyouju/20190905.html
 

ストーリーはその通りじゃない

 

 『人はなぜ物語を求めるのか』千野帽子著を読んだ。

 

「人間は物語る動物である」

 

 
という。

それは
 

「「ストーリー」は人間の認知の枠組み」

 

 
だからだと。
その「ストーリー」は、時には自分に都合よくつくられたりする。
twitterになれると140文字でなんでもわかったように思える。
140文字で無理やり結論付ける。
ではストーリーと一般論はどう違うのか。
 

「ストーリーは個別の話題(存在命題)ですが、それの理由や「因果関係」」が「わかった」気がするときは、その背後には一般論(普遍的な話題、全称命題)が存在しているということができるでしょう」

 

 
一般論を換言すればコモン・センス(共通感覚、常識)だと思う。
そこには「科学」から「諺」「教訓」なども含まれるそうだ。
みんなの好きな占いとかもね。
 
違うか。
ボン・サンス(bon sens 良識)の方かもしれない。
ボン・サンスは絶対的、普遍的だが、
コモン・センス( common sense 常識)は相対的。
時代の空気が変われば、わりかしころっと変わる。
数の原則で決められることが多い。
 

「できるだけ正確な一般論を目指すのが科学」
「一般論の精度を上げようとすることによって、
テクノロジーや医療は進歩してきました」

 

 
科学(化学)は錬金術や魔術をルーツにしているが。
 

「ただし、科学は必ずしも因果関係を追求するものではありません」

 

 
ここ、大事。
科学に「ストーリー」を欲しがるなと。
 

人生に「ストーリー」を求める。
それは人間の性分だから求めることをやめるのはできないことかも。
なら「期待」の「ストーリー」をつくるのはやめようと。
 
大瀧詠一の名言を引こう。

「 失望したくないなら、期待しないことだ」

 


 
これだ。
 
続篇的本
『物語は人生を救うのか』
拙レビュー
 
 
書きますた
オリックス生命 BAKUBAKUヴィレッジ
カイセツ教授のビジネス・コーチング  子育て応用編
第3回 「アクノリッジメント」

www.orixlife.co.jp

 

1969年 イクロック!


<レオ☆ブラピ初共演♡>編 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』6秒予告 8月30日(金)公開

 

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド オリジナル・サウンドトラック

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド オリジナル・サウンドトラック

 

 

 

『ワンス・アポン・ア・タイム・ イン・ハリウッド』。
まずカーラジオから流れるロックが素晴らしい。
走行シーンが多いんだけど、それを見ているだけでも気持ちいい。
1969、イクロック!
1969年。ベトナム戦争は泥沼化。ウッドストック・フェスティバルが開催。
ハリウッドにもアメリカンニューシネマの波が起こる。
イージー・ライダー』『明日に向って撃て!』の公開が1969年。
ヒッピー・ムーブメントなど時代が大きく変わろうとしていた。
ビートルズはバンドとして機能不全に陥っていた。
日本では学生運動が盛んで東大入試が中止になった年。

そしてマンソンファミリーによる猟奇的なシャロン・テート事件が起きた年。
クエンティン・タランティーノがこの映画でテーマにしたが、
まさかドキュメンタリーではないだろう。
レオナルド・ ディカプリオは往年の西部劇などテレビ映画のスター。
ブラッド・ピットが彼のスタントマン兼付き人。
本人も人気のピークを過ぎたことは知っている。
いわばセカンドキャリアを模索中。

日本の場合だと『ウルトラマン』シリーズとかで主役をつとめた俳優が
中年になって『水戸黄門』や『必殺』シリーズで
悪役を演じるってとこだろうか。

二人の仕事への悪戦苦闘と
マンソンファミリーとの出会いが巧妙に絡んでくる。

若者でない二人はヒッピーを嫌っている。理解できない。
夢のカリフォルニア。光と影。
光がシャロン・テートの住むハリウッドやロックミュージシャン、パリピなら
影はカルト集団。
光になれない、光をやっかむ負の力が磁場となる。
で、圧巻のラストシーン。
そうきたか。
あまりにも凄惨すぎて笑えた。いかにもな、落とし前。

タランティーノが映画オタクであることは有名だけど、
この映画でも細部にまでそれが出ている。
ディカプリオ役がかつて主役を演じた架空の西部劇、第二次世界大戦ものなど、
きちんとつくっている。

上映時間、2時間40分。
途中、我慢できなくてトイレに立つ人が数名。
ぼくは、何とかエンドロールを見終わるまで漏らさずにすんだ。
でも、大きくため息が漏れた。
 
二人はイタリアへ出稼ぎに行って一応成功をおさめる。
イタ飯がうまくて太ったと。ディカプリオ、まじ、増量していた。
それからブラピに二の腕が丸太ん棒のようで
くり出すパンチがほんとうに迫力があった。
サントラ盤、あるね、どうしようか。

 

 

風に誘われて

 

南の風 (朝日文庫)

南の風 (朝日文庫)

 

 


昨日、『ワンス・アポン・ア・タイム・ イン・ハリウッド』を見に行く。
タランティーノ監督の新作。
団塊“年金もらい逃げ”の世代が多くて、暇な大学生はちらほら。
まとまればレビューに。
 
『南の風』獅子文六著を読む。
 
旅をする時、駆け落ちする時、夜逃げする時、
北か南かで印象は随分と違う。
個人的な感想だけど、
北は寒い、涼しい。忍ぶ恋や都落ちって感じ。
一方、南は開放的。
南はオプチミストで北はペシミスト
 
男爵の子息でプー太郎が主人公。
とりあえず外遊でもしてみようかと内緒でシンガポールへ。
そこで現地の農場だ働こうとする男と知り合いになる。
主人公は東京へあえなく送還。
 
妹の同級生に好意を抱いているが、
なんともお坊ちゃん気質。
 
両親のふるさと・鹿児島へ行く。
鹿児島の風景、人々、食べ物、焼酎など
そこでの生活が思った以上に気に入る。
 
好きな女性は銀座のはずれでおでん屋を切り盛りしている。
父親の株の売買が好調な時は、華族の通う女学校に通学していたのだが、
左前になって現在に至る。

勝気な彼女も心の奥底ではプー太郎にまんざらでもないようだ。
 
偶然、シンガポールで会った男と再会する。
男は「仏印ラオスに砂金の河」があると言う。
取りに行こうと誘う。眉唾な計画にのる主人公。
義経は殺されないで北に逃げ延びてチンギス・ハーンになった伝説がある。
同様に鹿児島の英雄・西郷隆盛西南戦争で自刃せずに南に渡った伝説があるとか。
その「ご落胤」の来日に苦心する主人公。
 
ドタバタ騒動が落ち着く間もなく
南へ向かう。
さて恋の顛末は…。
 
まばゆい光と濃い海など風景の描写。
鹿児島弁の会話。お見事。
 
ぼくも南へ逃げ出したくなった。
 

読んチャイナ

 

郝景芳短篇集 (エクス・リブリス)

郝景芳短篇集 (エクス・リブリス)

 

 

 
『郝景芳(ハオ・ジンファン)短篇集』郝景芳(ハオ・ジンファン)著 及川 茜訳を読む。
『北京 折りたたみの都市』。『折りたたみ北京』の邦題の方が有名かも。
他の作品も読んでみたかった。

関係ないが、郝って表記するんだ、はてな
内田百けんのけんは表記しないのに。

3作品を紹介。

『北京 折りたたみの都市』
AIの普及などで職にあぶれた労働者階級。
彼らのために、というよりは北京や国家のために
北京を三面の折りたたみ式にして住まわせる。
限られた空間の有効活用。奇抜なスゴい発想。
なんかエッシャーのだまし絵や
ボスの地獄絵を彷彿とさせる。
富裕層地区と貧困層地区を線引きする隔離政策の一種としても有効かも。
ゴミ処理場で働く男は「娘の幼稚園入園資金」を捻出しようと
他地区への越境を試みる。
 
『弦の調べ』
ある日「鋼鉄人」という異星人が出現。地球が征服される。
彼らは「古い都市や芸術」を、庇護することに気がつく。
アートがわかるエイリアンって。
オーケストラの一員である主人公は演奏することで「鋼鉄人」に立ち向かう。
心の琴線ならぬ心の弦が共振することでパワーが生まれる。
なぜ?読んでのお楽しみ。
宇宙エレベーター」が稼働しているシーンにひかれた。

『先延ばし症候群』
原稿書けない病、正しくは原稿PCでつくれない病か。
ライターや作家の締め切りが迫っても
なかなかまとまらないことを自虐的ユーモアで包んだショートショート
白いワニに襲われた漫画家もいたなあ。
ゴリゴリのハードSF作家かなと思っていたら、違った。
 
物乞いも投げ銭ではなくQRコード決済とかいわれる中国。
共産主義国家でありながら金儲けがうまい。
台湾、香港などさまざまな矛盾を抱えながら、SF大国にもなるのだろうか。

まだ日本語訳になっていない作品がある。
早く読んでみたい。
 
『折りたたみ北京 現代中国SHアンソロジー』ケン・リュウ編 中原尚哉・他 訳の拙レビュー。
http://soneakira.hatenablog.com/entry/2018/11/02/121000

9月に会いましょう

 

半七捕物帳〈4〉 (光文社時代小説文庫)

半七捕物帳〈4〉 (光文社時代小説文庫)

 

 


まずは一曲。

話題の弘中綾香オールナイトニッポン0をタイムフリーで聴く。
火を噴くゴジラのように毒を吐く。
面白いのだが、ラジオはやっぱりうなづき役、あいづち役がいるよね。
ビートたけしにおける高田先生のような。
あ、笑い屋でもいいし。
一人でしゃべりっぱは、聞く方もつらいよね。
かくなる上は、宇垣美里総裁との
激おこぷんぷん丸放送を期待する者である。
オールナイトニッポン烈(仮題)。
 
さて。『半七捕物帳4 新装版』岡本綺堂著を読んだ。
ここに出てきた半七親分の啖呵にシビれた。
 

「どうだ、おれの天眼鏡に陰(くも)りはあるめえ。
来年から大道うらないを始めるから贔屓にしてくれ」

 

 
いいねえ。
TVドラマ『トリック』の山田奈緒子の決め台詞

「全部まるっとお見通しだ!」

 に匹敵する。

 

「長く病に臥せっていたとき『江戸名所図絵』を通読、
これが『半七捕物帳』を書くきっかけになったという」

 

 
無粋な町名変更と戦争とバブルで東京の町名や景観は
すっかり変わったようだが、
かすかに今でも残っている古い町名。
大名屋敷は、病院や学校、大使館などになったが、
そのおかげでかつての敷地をとどめている。
 
半七老人から昔の捕物話を若い新聞記者が聞くというスタイル。
落語の枕みたいなものか。
映像化されるときには、カットされるが、
この部分のやりとりも魅力的。
 
『柳原堤の女』から引用。
 

「江戸市中には化け物が出ると云い伝えられている場所はたくさんあった。現に牛込矢来下の酒井の屋敷の横手には樅の大樹の並木があって、そこには種々の化け物が出る。―略―町奉行所でも人間の取締りはするが、化け物の取締りは自分たちの責任でないというのであろう、ただの一度も妖怪退治や妖怪探索に着手したことはないらしく…」

 

 
新潮社あたりが化け物銀座だったんだ。
江戸版ゴーストバスターズ
妖怪裏奉行所とか、どうだろう。