『探偵夜話』岡本綺堂著を読む。
きっかけは、三津田信三編『怪異十三』。
そこに収録されている岡本綺堂の「寺町の竹藪」を読んだから。
探偵というと名探偵ホームズやコナンなどがまっさきに頭に浮かぶ。
そも、探偵は秘密や謎を探ることだそうだ。
闇に隠蔽されたものをつまびらかにする。さらす。
謎解きを読みたいならば同作者の『半七捕物帳』を
読めばいいし。
『探偵夜話』は、手替え品替え「奇譚」のオンパレード。
その世界に浸るだけで愉しい。
ま、キツネやタヌキが化かしても、ありでしょう!
奇譚と昔話は紙一重。
2時間ドラマなら1時間45分過ぎに
刑事や私立探偵が事件を解明して真犯人を突き止めるパターンに
ならされている自分に気づく。
とかく人は因果関係を求める癖があるらしい。
因果関係の誤謬だっけ。
明治5年生まれの作者は
明治新政府になって
空き家だらけになった武士の住まいをリアルタイムで見ている。
廃屋寸前の屋敷。一面の闇に棲息するのは、
動物か、乞食か、密会者か、物の怪か。
切り裂きジャックか。
yummy(おいしい) 闇。
都市空間は明るくてしようがないけど、
高層ビル街の死角、行き交う人々の心の闇。
ネットやSNSの闇。
時代は変われども奇譚のタネは尽きまじ。ってとこ。
中公文庫「岡本綺堂読物集」全7巻。
山本タカトの挿画が耽美チックで良い。
このキャラでアニメ化したらウケると思うのだが。