屋根の上の猫


紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)

紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)

 

生保会社の季刊誌の漫画、6コマから8コマの構成が、
ようやくまとまる。
日光浴をさせていた猫が
バルコニ―の隙間から下の屋根に。
無理やり首根っこをつかまえてサルベージする。
興奮状態で噛まれる。
皮がむけたくらい。
噛むのも引っ搔くのも衰えてしまった。
落下防止ネットか何かがいるか。

『紙の動物園』ケン・リュウ著を読む。
SF界のトリプルクラウンに輝いた表題作をはじめ、
15の短篇集。
中国、日本、アジア。
過去、未来と縦横無尽に書かれた世界は、
ハードSFというよりもエンタメ系で十分に面白い。
嫉妬する出来栄え。

『紙の動物園』は、純文学だろ。
著者が日本人だったら『オリガミ』とかつけるかも。
中国移民の母ゆえ英語より中国語が得意。
アジア人蔑視の白人の国で
精神が白人化していく息子。
面映ゆく思っていただろう、きっと。
貧しいゆえ母の折った折り紙が玩具。
しかも、動く、吠える、噛みつく。
で、なかなかに強い。
紙の動物が動くシーンは映像にするなら
ローテクなコマ撮りでお願いしたい。
最後のシーンで不覚にもほろりと来る。

日本の巨大ロボット物が世界(の子どもたち)に与えた影響。
それとなく中国共産党批判。
リスペクトするSFへのオマージュ。
何か新しさと親しみを覚える。

編訳者がイチオシの『良い狩りを』って、モンハンか。
「妖狐の娘と妖怪退治師の末裔」のボーイ・ミーツ・ガール。
香港が舞台で、ポップな感じ。
こちらも新旧香港が混然として魅力的。
後半は『攻殻機動隊』の義体をもっとフェッティシュにして
結構エロいっす。
ウォン・カーウァイの映像を思わせる。

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