伝記グルーブ

死してなお踊れ: 一遍上人伝

死してなお踊れ: 一遍上人伝


土曜日の夜、仕事を早めに切り上げて
帰り道にコンビニに寄って発泡酒でも買って
風呂上がりに飲むか。計画を立てて(長い!)
タンマ君みたいにノドを鳴らしながら渋谷駅に向かう。
不運にも急行で次を待つ。
来た。が、出ない。出ない。まだ、出ない。
混む、混む。リュックは前に回せ。
渋谷、池尻大橋間で白煙が出たとかで
結局、運行ストップ。
何だよ。バス乗り場に向かう。
慣れているのか、みな平然とバスを待つ。
家の最寄りの一個前のバス停前にはコンビニがあるが、
すっかり、そんな気分でもなくなって、とぼとぼ帰宅。
かかった時間は徒歩で帰るのとそんなに違わない。
発泡酒はないので麦焼酎をロックであおる。

週末、『死してなお踊れ 一遍上人伝』栗原康著を読む。
一遍上人の伝記なのだが、作者の手にかかると
生々しく下世話に一遍が動き出す。
鎌倉時代は新興仏教カンブリア紀だった。

私事だが、うちは真言宗なので葬儀もそのスタイルで
慣れていた。ところが、身内は浄土宗で葬儀は
やたら南無阿弥陀仏の念仏を唱えさせられた。
こうも違うのか。
妻のところも浄土宗だったな。
ああ参列者が一斉にミニ木魚を叩いて念仏を唱えた。
一遍は踊り念仏の提唱者なのだから、
時宗の葬儀では躍らないといけないのかしらんと。
その激しい踊りは、パンクやレイブみたいだし。

一遍は水軍の武家の出でわけあって仏門に入る。
頭は良かったが、どうも枠にはまるのが大嫌いみたいで
既成の仏教や僧侶に批判的。
だとしたら僧侶に毛嫌いされたかというと、
そうでもなかったことをこの本で知る。
ナリは小汚いが、話せば学がる。仏教にも詳しい。
家柄のよさそうだし。

南無阿弥陀仏を唱えて踊れば誰もが極楽に往ける。
寺も墓もバカ高い戒名も法要もいらない。
いやあカゲキ。アナーキー
大衆の気持ちを鷲づかみにしたことだろう。
いま、蘇ったら、ウケること必至。
宗派を超えて坊さん連中は、結託して既得権益を守るために、
ゴルゴ13に狙撃を依頼するかも。

鎌倉時代のパンク上人は、踊念仏を広めるために全国行脚する。
聖地や思い出の地や憧れの地の巡礼と布教活動。
生と性と死と屍と念仏。
『日輪の翼』中上 健次著を思い出した。
「裸を見るな。裸になれ。」という往年のパルコのキャッチコピーも。

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