アナーキーが、お好きでしょ

何ものにも縛られないための政治学 権力の脱構成

何ものにも縛られないための政治学 権力の脱構成


『何ものにも縛られないための政治学』栗原康著を読む。
いつもながらのいつもの文体。
根拠のないアジテーションならば読む気になれないが、
通常の政治学者ならば知識をチラつかせながら高尚なことを
言うんだけど、作者はサービス精神が旺盛なのか
徹底的にエンタメ化して読み手をあおる。
ネタでもベタでもどっちでもいいんだけど。
何冊か読んだが、そろそろこの文体でなくてもいいだろとも思う。
ぼくが10代の頭の悪い大学生ならばすっかり感化されて信者となって
友人やガールフレンドに押し売りしているかも。

いま政治ってさ、ウヨク対サヨク、リベラルの二項対立のようだが、
本当はウヨク対サヨク対リベラルの三極、三すくみだと思う。
サヨクとリベラルは違う。
くわしくは知らないが、サヨク大きな政府で高負担の税金で
お上に面倒見てもらう。
リベラルは小さな政府で税金は抑えて面倒は見ないが、
勝ち組になれば人生を謳歌できる。
だから右も左も蹴飛ばして離脱せよと作者は言う。
エクソダスもしくはデラシネのすすめ。
作者の論考のネタ元というか範とすべき先達の紹介が役に立つ。

バクーニン曰く「国家は永遠の虚偽である」。
しみる。年金制度を国のオレオレ詐欺と言っていた人がいたが。

作者曰く「コミューンは友だち、だいじってことだ」。
「共同体」なんてもっともらしく訳されているから誤解される。
友だちサークル。野郎ばっかだとホモソーシャル
だからこじれると厄介。連合赤軍のリンチ事件とか。
仲良しは永続ではないしなあ。

マルクスエンゲルスの論敵、マックス・シュティルナー
ゲバルト女史、ルイ・オーギュスト・ブランキ
わわわわぁと言わないクロちゃん、クロポトキン
宇部炭鉱の米騒動」のアナーキーさぶりはすさまじい。
日本、日本人じゃないみたい。

このガチ感、マジ感って誰かに似ている。
神田松之亟だ。
腐し加減、ひりつく感じが。
作者の『死してなお踊れ―一遍上人伝』は、
松之亟アレンジで講談にしたらさぞかし面白いだろう。

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