- 作者: リチャードパワーズ,Richard Powers,木原善彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/07/31
- メディア: 単行本
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朝が早くなって来た。
透明な柔らかな光は春を思わせるが、
ちょっとだけよ~んと今日は冬。
目が痒い、耳が痒い。
『オルフェオ』リチャード・パワーズ著を読む。
ウィトゲンシュタインが書いたような小説。
もっとも、ウィトゲンシュタインが小説を書くことは有り得ないが。
あるいは村上春樹の小説の偏差値を高くして
ポピュラリティとセックスを抜いたような作品。
「微生物の遺伝子に音楽を試みる現代音楽家」が主人公。
果たしてそれは、「バイオテロ」なのか。
にしても四六時中、自分の音楽を求めている男。
数学者が解けない数式を解こうとしている如く。
モーツァルト、マーラーからケージまで。
さらにロックまであらゆる音楽が詰まっている。
実際、作者も音楽をプレイするそうで。
時折、出て来るアフォリスムが魅力的。
「生命とは、相互感染以外の何ものでもない。そして全ての
メッセージは感染する際、相手のメッセージを書き換えてしまう」
「文法はあるが、辞書はない。何かは分かるが、意味はない。
差し迫ってはいるが、必要性はない。それが音楽と細胞の化学だ」
深読み不要。ただ単にかっこいい。
もしそれがテロならば、その動機は。
でも、動機なんてないかも。
動機は跡付け。
ふとユナ・ボマーを思い出した。
優れた数学者でありながら爆弾魔。
山小屋に籠っていたところも共通している。