社会学入門

昨日・一昨日のエントリーは「ビーケーワン怪談大賞」ボツ作品。
供養も兼ねてお披露目。
原稿の直しを粛々と。


『社会学入門』稲葉振一郎著を読む。
ぼくの好きな入門書。


大学での講義をベースに、書き起こしたものだそうだが、
改めて「社会学」の取り扱う裾野の広大さを知ることとなる。
デュルケムからウェーバーはもちろん、フーコーからパーソンズ、
ドーキンスまで取り上げている。


社会学がなぜ裾野が広いのか。
たぶん、それは、
“いま”を最前線で扱っている学問だからだろう。
わけのわからないというのか未来という不可視が今になって瞬間可視化する。
それはカオスで、そっから学説を考察・構築する。
一筋縄じゃいかないよな。マーケティングなんかともカブるし。
社会学者の数だけ社会学があるってことか。
ぼくもフーコーをはじめて知ったのは、大学の社会学の講義だった。
『狂気の歴史』を大学の図書館で借りて読んだ。


「現代は「多元化の時代」だといえます。いえ、昔から世界はもともと多元的に
できていた―「歴史を動かす究極の原動力」などはじめからなかった―のでしょうが、
そのことに否応なく気づかされてしまったのが、20世紀末以降の現代です」

社会学は、「すでに20世紀はじめに到達してしまっていた」
作者曰く社会学は早熟の学問だったと。
なんだか小六のとき、健康優良児で表彰されたけど、
背丈は、そこで止まったままだった男子のような。
多元的なものをを一元化することの困難さに
ぶちあたっているわけだし、西欧文明は。


作者は、「ミーム」に対して「懐疑的」だと。それは、

「人間は「言語」というメカニズムをコミュニケーションの中心的な手段として
用いているわけですが、「遺伝」のメカニズムと「言語」のメカニズムは、
もちろん似たところもあるのですが、具体的には異質です。
少なくともわれわれは、「遺伝」のメカニズムにとってのDNAに対応するような、
はっきりと分かりやすい具体的な対象を、「言語」のメカニズムにおいては
見出していません―そもそもそんなものが存在するかどうか自体、分かりません」

ミーム」という言葉があると便利だけど、よーく考えてみると
その実体はってとこか。


「付録 初学者のための読書案内」は、読書ガイドとして使えそう。
図書館で借りて、読みきれなかったら止めにして、
ゲットしたい本があったら、購入しようっと。


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