新宿のキノコクニヤ書店で、この本、買った。髪をマッシュルームカットにして、きのこの壺焼きを食べた

 

『日々のきのこ』高原英理著を読む。きのこをめぐる変てこ話が3篇。
リアルきのこから作者の脳内にあるきのこまで、きのこ三話、きのこ三昧。

 

『所々のきのこ』
色とりどりのノモホコリタケを踏んづけて胞子を拡散させる「ばふ屋」(「地胞子拡散業」)たち。丸いノモホコリタケを踏むとばふんばふんと胞子が舞い上がる。季節労働の仕事だと。時給はいくらぐらいなのだろうか。とにかくずっと、きのこを踏む。花粉症のぼくには体質的にはきついかも。防胞子マスクがあれば平気かな。「胞子活動」というオチまでついて。
「わたし」は、杜鞍(とぐら)森に行く。富士の樹海の、きのこ版のようなところ。『風の谷のナウシカ』の腐海のようなところ。トグラアミガサダケが出す有毒ガスは危険で立ち入り禁止になっている。自殺の名所でもあるのだが、そのガスには「麻薬」のような快楽が味わえると流布していた。杜鞍(とぐら)森を探検するのだが、秘湯きのこ温泉やきのこ人間などその異常な描写にわくわくする。

 

『思い思いのきのこ』
バスに乗ると、きのこの巨木が見えた。きのこの放つ淡い燐光。画家である「私」と妻は、稗田の絵をいま置いてある場所から別なところへ移すためにやって来た。梅雨時の駅。きのこにはうってつけの季節で雨後の筍のようにさまざまなきのこが、そこら中に繁茂している。妻と泊まった粗末な家にも目玉によく似た目玉茸などきのこやら、粘菌やらが。

小雨の中、移動すると歌声を耳にする。きのこの合唱隊か。夜、黒傘茸の踊りを見る。幻視か、現実か。おにふすべたちは胞子を盛大にまき散らす。稗田の絵を受け取るのは人なのか、それともきのこなのか。


『時々のきのこ』
盈眩(えいげん)菌という菌が世界中に広まった。一種のパンデミック状態。症状は下痢や体調不良など見た目では判別できない。菌は体内に潜伏してその間、宿主の性格を改造していくらしい。彼らは「菌人」と呼ばれて、現在では人間のなんと「八割近く」が、この菌人になっている。男は菌人「ジンレイの中で寝泊まりしている」。ジンレイから繁殖したきのこは、家までも侵食して一体となっている。さらに男の性欲も、糞尿まで処理してくれる。きのこの養分になるからだ。究極のエコシステム?やがて男もジンレイと同じ運命をたどる。
進化なのか、退化なのか。ブライアン・W・オールディスの『地球の長い午後』に出て来るアミガサダケを思い出した。


ヒグチユウコの挿画が、とてもかわいい!スピンオフでこのきのこキャラたちの絵本を読みたい。

 

亡くなった義父が山を持っていて、秋になるといろんなきのこを送ってくれた。
マツタケもたまにあった。マツタケの生息地は身内にも教えぬものだそうだが、
急死したため、永遠の謎となったしまった。

 

もっと珍しかったのが、イワタケだ。

イワタケは地衣類でキノコよりもコケの仲間らしい。
高級食材とか。見た目はクロキクラゲをこぶりにした感じで、ひなびた味がした。
仙人の好物とかいう話も聞いたような気がするが、定かではない。

 

イワタケ - Wikipedia


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