『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』を読む。
70年の人生と半世紀にわたる音楽人生が書かれている。
週末に一気読み。
とりとめのない感想を。
ぼくがはじめて彼を見たのは『ぎんざNOW!』。
コーナー司会をしていたと思う。
で、近田春夫&ハルヲフォンの『恋のT.P.O』を聴いてぶっ飛んだ。
(この本でピストン西沢もそのことを書いている)
前半のムード歌謡風から一転ロックンロールに転調する。
軽妙なしゃべりとコミックバンド風に見えるが、うまい演奏。
すぐさまシングルレコードを買いに行った。
何せ慶応幼稚舎からの慶応ボーイ。中退してしまったが。
当時の慶応幼稚舎やピアノのレッスン、まだ田舎感の強い世田谷などの思い出。
幼稚舎は小ぢんまりとしていて大金持ちの家の子もいたとか。
中学、高校でよそから頭の良い子が入って来たと。
創刊間もない『anan』編集部でアルバイトをする。
当時の最先端の人やカルチャーは刺激的だったが、
音楽、バンドがやりたくて本来の進むべき道に戻る。
ところがMCもこなせるし、久世光彦のTVドラマにも出るなど
一時期はミュージシャンよりもタレントとして売れていた。
再び、これは違うと音楽の道へ。
一般の人よりもギョーカイ内での評価が高い人。
とにかく先見性のある人。
歌謡曲評論やアイドル評論も草分け。
『POPEYE』の連載コラム「THE 歌謡曲」、『週刊文春』の連載コラム『考えるヒット』は、毎回、読むのが楽しみだった。
歌謡曲に興味を持ったのはカメラマン小暮徹の影響らしいが。
近田春夫&ハルヲフォンの『電撃的東京』は、歌謡曲とロックを融合させた意欲作。
評論家でありながら実作者でもある彼ならではのセンスが光るアルバム。
筒美京平の凄さを知らしめたのは功績の一つだろう。
音楽もロックからパンク、テクノポップ、ヒップホップへと
目まぐるしくスタイルを変えている。
「はっぴいえんどはフォーク」という名言も。
作詞担当の松本隆も確か慶応のはず。
でも、売れて忙しくなる前のYMOのメンバーと組んで楽曲をつくっている。
近田春夫&BEEFは見に行った。BEEFは後のジューシィ・フルーツ。
近田春夫&ビブラトーンズも見に行った。というよりも踊りに行った。
ラップバンド、ビブラトーンズはライブには行けなかったが、
インディーズ盤を持っている。
CM音界ではヒットメーカー。
知られているところでは、TOTOウォシュレットや爽健美茶など。
楽曲提供で記憶に残るのはハウス歌謡曲、小泉今日子『Fade Out』かな。
ステージ4のS字結腸がんに罹るが、寛解。
このあたりもさらっと書かれているが。
かつてはオカッパヘアーだったのに、薄くなったのは抗ガン剤のせいか、加齢か。
本人はいつでもヒット曲を出して「紅白歌合戦」に出場できるよう
大晦日のスケジュールは開けているとか。
この本のプロモーションでいろんなラジオ番組に出ていたが、
まったく変わっていなかった。つーかパワーを増しているように思えた。
近田春夫が古希とは。どおりでぼくもジジィになるわけだ。
TOTO ウォシュレットTVCM
近田春夫&ハルヲフォン『恋のT.P.O』
エレクトリック・ラブ・ストーリー