おもしろくてグロいから、おもグロい

 

ドロシイ殺し (創元クライム・クラブ)

ドロシイ殺し (創元クライム・クラブ)

  • 作者:小林 泰三
  • 発売日: 2018/04/28
  • メディア: 単行本
 

 『ドロシイ殺し』小林泰三著を読む。

 

ドロシイと言えば『オズの魔法使い』。ぼくが読んだのは最初の一冊だけ。「13の長篇と1冊の短篇」。こんなにシリーズがあったとは。

 

なぜか蜥蜴のビルは「ホフマン宇宙」から「オズの国」へ。砂漠を渡ろうとするが、干物になる寸前に偶然居合わせたドロシイ、案山子、ブリキの樵(きこり)ニック・チョッパー、臆病ライオンと『オズの魔法使い』でおなじみのキャラたちに助けられる。

 

地球では蜥蜴のビルのアーヴァタール(アヴァター)である大学院生の井森が、異世界に迷い込んだビルを救おうと思案していた、「ビルが死んでしまったらぼく(井森)の命も失われる」「なんとか彼を「不思議の国」に帰さない」と。炎天下、暑さで倒れた井森。ビル同様彼もドロシイに救われる。

 

「オズの国」の女王オズマの誕生会に招かれていた王女格のドロシイは宮殿内の自室で殺された。密室殺人か。女王オズマは「この国は平和」だと自慢していたのに。続けてジンジャー、案山子も殺される。地球でもリンクして連続殺人が。

 

蜥蜴のビル=井森と「オズの宮殿の小間使い」ジェリア・ジャムが犯人を捜索する。

 

噛み合っているようないないような会話が主体で、そこに、はまればさくさくと読み進むことができる。


たとえば、「オズの国」の女王オズマの発言。
「オズの国には犯罪はないのです」「オズの国には犯罪者はいないのです」「オズの国では誰も死なないからです」

それに対するブリキの樵(きこり)ニック・チョッパーの発言。
「だったら、僕がこの殺人鬼の首を刎(は)ねても罪に問われないですよね?この国には犯罪者がいないんだから」

「その通りですよ」と女王オズマ。

おいおい、そりゃないだろと思いつつ、ナンセンスさにむしゃぶりつく。

 

殺人現場でほんとは人間の死体を食べたくて舌なめずりしているライオンなどブラックやシュールな小ネタも満載。


たとえば、『オズの国』ではジンジャー、地球でのアーヴァタール(アヴァター)の名前が「生姜塚将子」だとか。

 

友情出演は『玩具修理者』。おもしろくてグロいから、おもグロい。

 

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