『6600万年の革命』ピーター・ワッツ著 嶋田 洋一訳を読む。
『巨星 ピーター・ワッツ傑作選』ピーター・ワッツ著 嶋田洋一訳に掲載されている
『巨星』を中篇にしたもの。
著者の作品にしては薄いんですぐ読めるかなと思ったら、すぐには読めたが、やはり世界がディティールまで入ってこない。もう一度読んでみた。
ワームホールを構築するため宇宙飛行をしている「エリオフォラ」。地球から離れて何と6500万年になる。乗組員はコールドスリープ(冷凍睡眠)で長期の移動をしている。AIチンプが彼らをコントロールしている。チンプが手に負えないアクシデントなどが発生したとき、彼らは目を覚まされる。といっても1000年単位でだよ、起こされるのは。
主人公サンデイの語りで「エリオフォラ」やチンプ、コールドスリープなどの様子を知ることができる。
コールドスリープっていわば仮死状態で膨大な年月を経過する、移動する。そのとき、どんな夢を見るのだろうか。
にしても6500万年。乗組員たちはいつまで任務に就くのかを知らされていない。地球にいつ戻れるのか。募る、不安。そして何もかもをAIに支配化されていることに対してストレスを覚える。ごく少数目覚めさせられる乗組員たちは、オレたちは歯車じゃないと密かにAIへの叛乱を試みようとする。
手始めとして事故でスタッフの一人が行方不明、おそらく死亡となる。
ひょんなことでサンデイは叛乱メンバーに加わる。秘密裡に計画は進められるが、何せ相手はAIチンプ。人間心理を掌握しているだけに狡猾と思えるほど乗組員の動向を探る。中には裏切り者が出てチンプに密告したりして。このあたりの攻防、心理戦がいい。
『シジフォスの神話』的なことを作者は言いたかったのだろうか。6500万年の仮死状態って。
小惑星をベースにした宇宙船「エリオフォラ」。その図が冒頭部に出ているが大きさとわけのわからなさに圧倒される。だって子宮とかがあるんだぜ。
