フランス版『あぶない刑事(デカ)』

 

 

『ブラック・ハンター』ジャン=クリストフ・グランジェ著 平岡敦訳を読もうと思ったら、『クリムゾン・リバー』の続篇ということを知る。
で、『クリムゾン・リバー』ジャン=クリストフ・グランジェ著 平岡敦訳を読む。
最初の数ページで引き込まれる。

 

フランス・アルプス山麓にある「古い大学町」。そこでむごたらしい死体が発見される。大学の図書館司書レミー・カイヨワだった。

捜査にあたるフランス司法警察警視正ニエマンス。能力は高いが、捜査に歯止めがきかなくなることもあってパリから左遷された。あぶない刑事(デカ)。

 

まもなくアルプスのクレバスで第二の死体が見つかる。氷漬けになっていた。
最初の殺人との関連性は。殺された司書の妻ソフィーの様子がおかしいと思いつつも惹かれる。その一方でソフィーとは真逆のタイプ、地質学教授で活発なファニーにも惹かれる。

 

もう一人のあぶない刑事(デカ)は、警部カリム・アブドゥフ。
「アラブ人二世の孤児院育ち」。地元のワルとも親交がある。「自転車泥棒」などで自活。品行は不方正だが学業は優秀で大学卒業後、警察官になる。

一匹狼ゆえ敵も多く上に逆らい地方に飛ばされる。
彼にとって警察学校で学んだニエマンスはヒーロー的存在だった。

 

二人は事件の解決のためには荒っぽい手段も厭わない。

ニエマンスとカリム。二人の追っている事件が次第につながっていく。


「後悔に駆られている医者、買収された写真屋、アル中の神父、修道女、火吹き男、
高速道路の老人」さらに背の高いピアノが上手な女教師など。
登場人物の造詣や話の運びがバツグン。


根底にあるのは優性思想や選民意識。
それらにより人生を破壊された家族の復讐。

象徴的にレニ・リーフェンシュタールの『民族の祭典』のポスターや映像が使われている。

 


2016年6月29リリース『クリムゾン・リバー』予告

 

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