気分は

『スタア誕生』

『スタア誕生』


「4月なのに25℃」
「8月なら倍の50℃になるね」
ならん、ならん。…なったりして。

スタア誕生金井美恵子著を読んだ。
『噂の娘』同様、町の映画館が娯楽の王だった時代。
便所が臭くて、煙草も煙が充満していても、
椅子のクッションが良くなくても
スクリーンには夢の世界が広がっていた。
布一枚で彼岸と此岸。

町の書店が文化センターだった時代。
雑誌が教養のチャンピオンだった時代。
映画スタアはゼッタイ的な美男・美女でなければならず。
スマホやパソコンはもちろん、テレビも
ふつうの家庭にはなかった時代。
乏しい情報は想像力と妄想でカバーした。

モナミ美容院関係で女優の卵になったコ。
いまは端役だがスタアになれるのでしょうか。

最後の一行でカラーがモノクロになる。
映画だとここからエンドロール。
若いアンちゃんや姉ちゃんが
用もなくうろついていた町の目抜き通りは
シャッター街になっている。
人気スタアのブロマイドは異界でひらひらしている。
表紙に使われたパステルで描かれた絵は夜な夜な本から
飛び出して踊っている。
それこそ気分はジュディ・ガーランド
でも映像化するとNHKの朝ドラみたいになっちゃうんだろな。

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