カワイイ?カワイクナイ?

カワイイパラダイムデザイン研究

カワイイパラダイムデザイン研究

父親が入院したことを数日前妹から電話で知らされる。
容態を聞き、年齢も年齢だけに、ひょっとしたらと
思ったが、幸いに、入院してとりあえずは、
治まったようでひと安心。
十年以上前に大手術をして、それからはおまけの人生とでも
思っていると以前酔いながら聞いたような気がする。


『カワイイパラダイムデザイン研究』真壁智治著の読書メモ。

カワイイデザイン、カワイイ建築、カワイイ都市など
いまや世界で通じる日本語となりつつある「カワイイ」の正体を探る本。
たとえば、このあたり。

「「カワイイ」の感性領域
1サイズ感×完成度 2表情感×成熟度 3出会い感×タイト度
4温度感×硬軟度 5重量感×濃淡度 6秩序感×透明度
7距離感×郷愁度 8鮮明感×条理度 9質感×強度
10見た目感×出来度 11産地感×作家度 12連続感×浮力度
13バランス感×連想度」

と分類している。そのお手並みはなかなか鮮やか。
企画書やプロダクトデザイン、パッケージデザイなどのいいネタ本になるはず。
ただし、同一趣旨、異表現箇所が多々あるので、
お時間のない人は、平気で読み飛ばそう。


モダンデザインとカワイイデザインの違いについて。


「このようにモダンデザインとカワイイデザインにあっては、
人とデザインとの距離感に大きな差異があることが分かっただろうか。
このことは、少し視点を変えると、デザインと作家性という問題にも行き当たる。
モダンデザインでは人とモノとの間に距離が生じているから、
作家の存在がそのスキマに入り込んでくる。
カワイイデザインでは人とモノが同一化してスキマがないから、
作家性の入り込む余地が生まれない。
つまり、モダンでは作家にスポットライトが当たるが、
カワイイでは作家はゴーストになる。
あるいは、カワイイと感じることと、
作家に対する理解とは必ずしも重ならないのである」

カワイイは理屈や知識を超えたもの。
たとえば、
深澤直人がデザインし、ニューヨーク近代美術館MoMA)の
パーマネントコレクション(永久保存作品)に選定された」加湿器じゃなくて、
「カワイイ、ユニーク」で、
自分の部屋のインテリアに、あるいは私にぴったりな加湿器。ってこと。


概して大規模再開発は、非−カワイイらしい。
表参道ヒルズと代官山ヒルサイドテラスを比較している。
カワイイのは、ヒルサイドテラス
安藤忠雄はカワイイ建築の担い手ではないようだ。
オトコデザインとか文中に出てきたような。
まあ立地条件の違いもあるが、
確かにヒルサイドテラスは歩いてて心地よい。
地下に元同僚の友人が勤めるステンドグラスの工房があったが、
いまもあるのだろうか。


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