ゆっくり東京女子マラソン

日本の不平等

日本の不平等

静かな休日。ようやく冬らしくなってきた。
新聞によると暖秋ゆえ大根、白菜などの野菜類が豊作貧乏とのこと。
八百屋の店頭でも安価で野菜が並んでいる。
鍋好きな家には、うれしいことだ。


冷たい雨の中、東京国際女子マラソン。高橋選手は途中、失速3位。
四谷のデザイン事務所に勤務していた頃、
休日出社していて、ビルの上から通り過ぎる女子選手たちを
眺めていたことを思い出した。
まだ日本の女子選手が弱かった頃だ。


『日本の不平等 格差社会の幻想と未来』大竹文雄著を読む。
作者が「所得格差、賃金格差」について共同研究者たちとデータを分析して、
ほんとうにそうなのかと読み解くもの。


専門的なデータの一覧と解析に頭が痛くなる人は、各章ごとの扉ページに
記載されたまとめを読むことをおすすめする。そこだけ拾い読みしても、
かなり参考になる。

引用-1

「■所得格差は拡大したのか


日本の所得格差が高まったように見えた本当の理由は、日本の人口の高齢化と
単身世代・二人世帯の増加ある。こうした世帯構造の変化は、見かけ上の世帯間
所得差の拡大をもたらすのである。年齢内所得格差は、高齢者ほど大きい。
所得格差がもともと大きい高齢者の比率が高まったため経済全体の所得格差が
拡大したのである

ただし、「90年代以降、50歳未満層において消費格差の拡大が観察」され、
「若年層にも」同傾向が見られると。「生涯所得の格差を一時点の所得よりも正しく
反映するのは、消費格差」だそうで、やはりデータからも格差社会は進行しているようだ。


引用-2

「■ITは賃金格差を拡大するか


パソコンの使用が賃金が上昇させる影響は、学歴が高い35歳未満の男性正社員に顕著
に観察されるが、それ以外のグループでは小さいことが示される。また、転職時にコ
ンピューターに関するトレーニングを行った者は、学歴にかかわらず、コンピュータ
ーを使用する職につく確率が高まるが、賃金の上昇にはつながっていない」

普通の会社で求められる最低限のパソコンスキルは、仕事の必要に迫られて覚えてしまうもの。
パソコンスクールへ通えば、転職に有利!と謳い文句が並べられている。
有利なことは有利だろう。でも、それだけでは賃金アップにはならない。
って、当たり前っていえばしごく当たり前のことなんだけど。


当然、この本の分析も一例であってすべて正解であるとはいえない。
いえないけれども、いかにふだん、メディアに煽られているかということと、
そしてデータの読み方がほんの少しわかるだけでも、
読む価値はある。


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