1969年 イクロック!


<レオ☆ブラピ初共演♡>編 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』6秒予告 8月30日(金)公開

 

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド オリジナル・サウンドトラック

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド オリジナル・サウンドトラック

 

 

 

『ワンス・アポン・ア・タイム・ イン・ハリウッド』。
まずカーラジオから流れるロックが素晴らしい。
走行シーンが多いんだけど、それを見ているだけでも気持ちいい。
1969、イクロック!
1969年。ベトナム戦争は泥沼化。ウッドストック・フェスティバルが開催。
ハリウッドにもアメリカンニューシネマの波が起こる。
イージー・ライダー』『明日に向って撃て!』の公開が1969年。
ヒッピー・ムーブメントなど時代が大きく変わろうとしていた。
ビートルズはバンドとして機能不全に陥っていた。
日本では学生運動が盛んで東大入試が中止になった年。

そしてマンソンファミリーによる猟奇的なシャロン・テート事件が起きた年。
クエンティン・タランティーノがこの映画でテーマにしたが、
まさかドキュメンタリーではないだろう。
レオナルド・ ディカプリオは往年の西部劇などテレビ映画のスター。
ブラッド・ピットが彼のスタントマン兼付き人。
本人も人気のピークを過ぎたことは知っている。
いわばセカンドキャリアを模索中。

日本の場合だと『ウルトラマン』シリーズとかで主役をつとめた俳優が
中年になって『水戸黄門』や『必殺』シリーズで
悪役を演じるってとこだろうか。

二人の仕事への悪戦苦闘と
マンソンファミリーとの出会いが巧妙に絡んでくる。

若者でない二人はヒッピーを嫌っている。理解できない。
夢のカリフォルニア。光と影。
光がシャロン・テートの住むハリウッドやロックミュージシャン、パリピなら
影はカルト集団。
光になれない、光をやっかむ負の力が磁場となる。
で、圧巻のラストシーン。
そうきたか。
あまりにも凄惨すぎて笑えた。いかにもな、落とし前。

タランティーノが映画オタクであることは有名だけど、
この映画でも細部にまでそれが出ている。
ディカプリオ役がかつて主役を演じた架空の西部劇、第二次世界大戦ものなど、
きちんとつくっている。

上映時間、2時間40分。
途中、我慢できなくてトイレに立つ人が数名。
ぼくは、何とかエンドロールを見終わるまで漏らさずにすんだ。
でも、大きくため息が漏れた。
 
二人はイタリアへ出稼ぎに行って一応成功をおさめる。
イタ飯がうまくて太ったと。ディカプリオ、まじ、増量していた。
それからブラピに二の腕が丸太ん棒のようで
くり出すパンチがほんとうに迫力があった。
サントラ盤、あるね、どうしようか。

 

 

風に誘われて

 

南の風 (朝日文庫)

南の風 (朝日文庫)

 

 


昨日、『ワンス・アポン・ア・タイム・ イン・ハリウッド』を見に行く。
タランティーノ監督の新作。
団塊“年金もらい逃げ”の世代が多くて、暇な大学生はちらほら。
まとまればレビューに。
 
『南の風』獅子文六著を読む。
 
旅をする時、駆け落ちする時、夜逃げする時、
北か南かで印象は随分と違う。
個人的な感想だけど、
北は寒い、涼しい。忍ぶ恋や都落ちって感じ。
一方、南は開放的。
南はオプチミストで北はペシミスト
 
男爵の子息でプー太郎が主人公。
とりあえず外遊でもしてみようかと内緒でシンガポールへ。
そこで現地の農場だ働こうとする男と知り合いになる。
主人公は東京へあえなく送還。
 
妹の同級生に好意を抱いているが、
なんともお坊ちゃん気質。
 
両親のふるさと・鹿児島へ行く。
鹿児島の風景、人々、食べ物、焼酎など
そこでの生活が思った以上に気に入る。
 
好きな女性は銀座のはずれでおでん屋を切り盛りしている。
父親の株の売買が好調な時は、華族の通う女学校に通学していたのだが、
左前になって現在に至る。

勝気な彼女も心の奥底ではプー太郎にまんざらでもないようだ。
 
偶然、シンガポールで会った男と再会する。
男は「仏印ラオスに砂金の河」があると言う。
取りに行こうと誘う。眉唾な計画にのる主人公。
義経は殺されないで北に逃げ延びてチンギス・ハーンになった伝説がある。
同様に鹿児島の英雄・西郷隆盛西南戦争で自刃せずに南に渡った伝説があるとか。
その「ご落胤」の来日に苦心する主人公。
 
ドタバタ騒動が落ち着く間もなく
南へ向かう。
さて恋の顛末は…。
 
まばゆい光と濃い海など風景の描写。
鹿児島弁の会話。お見事。
 
ぼくも南へ逃げ出したくなった。
 

読んチャイナ

 

郝景芳短篇集 (エクス・リブリス)

郝景芳短篇集 (エクス・リブリス)

 

 

 
『郝景芳(ハオ・ジンファン)短篇集』郝景芳(ハオ・ジンファン)著 及川 茜訳を読む。
『北京 折りたたみの都市』。『折りたたみ北京』の邦題の方が有名かも。
他の作品も読んでみたかった。

関係ないが、郝って表記するんだ、はてな
内田百けんのけんは表記しないのに。

3作品を紹介。

『北京 折りたたみの都市』
AIの普及などで職にあぶれた労働者階級。
彼らのために、というよりは北京や国家のために
北京を三面の折りたたみ式にして住まわせる。
限られた空間の有効活用。奇抜なスゴい発想。
なんかエッシャーのだまし絵や
ボスの地獄絵を彷彿とさせる。
富裕層地区と貧困層地区を線引きする隔離政策の一種としても有効かも。
ゴミ処理場で働く男は「娘の幼稚園入園資金」を捻出しようと
他地区への越境を試みる。
 
『弦の調べ』
ある日「鋼鉄人」という異星人が出現。地球が征服される。
彼らは「古い都市や芸術」を、庇護することに気がつく。
アートがわかるエイリアンって。
オーケストラの一員である主人公は演奏することで「鋼鉄人」に立ち向かう。
心の琴線ならぬ心の弦が共振することでパワーが生まれる。
なぜ?読んでのお楽しみ。
宇宙エレベーター」が稼働しているシーンにひかれた。

『先延ばし症候群』
原稿書けない病、正しくは原稿PCでつくれない病か。
ライターや作家の締め切りが迫っても
なかなかまとまらないことを自虐的ユーモアで包んだショートショート
白いワニに襲われた漫画家もいたなあ。
ゴリゴリのハードSF作家かなと思っていたら、違った。
 
物乞いも投げ銭ではなくQRコード決済とかいわれる中国。
共産主義国家でありながら金儲けがうまい。
台湾、香港などさまざまな矛盾を抱えながら、SF大国にもなるのだろうか。

まだ日本語訳になっていない作品がある。
早く読んでみたい。
 
『折りたたみ北京 現代中国SHアンソロジー』ケン・リュウ編 中原尚哉・他 訳の拙レビュー。
http://soneakira.hatenablog.com/entry/2018/11/02/121000

9月に会いましょう

 

半七捕物帳〈4〉 (光文社時代小説文庫)

半七捕物帳〈4〉 (光文社時代小説文庫)

 

 


まずは一曲。

話題の弘中綾香オールナイトニッポン0をタイムフリーで聴く。
火を噴くゴジラのように毒を吐く。
面白いのだが、ラジオはやっぱりうなづき役、あいづち役がいるよね。
ビートたけしにおける高田先生のような。
あ、笑い屋でもいいし。
一人でしゃべりっぱは、聞く方もつらいよね。
かくなる上は、宇垣美里総裁との
激おこぷんぷん丸放送を期待する者である。
オールナイトニッポン烈(仮題)。
 
さて。『半七捕物帳4 新装版』岡本綺堂著を読んだ。
ここに出てきた半七親分の啖呵にシビれた。
 

「どうだ、おれの天眼鏡に陰(くも)りはあるめえ。
来年から大道うらないを始めるから贔屓にしてくれ」

 

 
いいねえ。
TVドラマ『トリック』の山田奈緒子の決め台詞

「全部まるっとお見通しだ!」

 に匹敵する。

 

「長く病に臥せっていたとき『江戸名所図絵』を通読、
これが『半七捕物帳』を書くきっかけになったという」

 

 
無粋な町名変更と戦争とバブルで東京の町名や景観は
すっかり変わったようだが、
かすかに今でも残っている古い町名。
大名屋敷は、病院や学校、大使館などになったが、
そのおかげでかつての敷地をとどめている。
 
半七老人から昔の捕物話を若い新聞記者が聞くというスタイル。
落語の枕みたいなものか。
映像化されるときには、カットされるが、
この部分のやりとりも魅力的。
 
『柳原堤の女』から引用。
 

「江戸市中には化け物が出ると云い伝えられている場所はたくさんあった。現に牛込矢来下の酒井の屋敷の横手には樅の大樹の並木があって、そこには種々の化け物が出る。―略―町奉行所でも人間の取締りはするが、化け物の取締りは自分たちの責任でないというのであろう、ただの一度も妖怪退治や妖怪探索に着手したことはないらしく…」

 

 
新潮社あたりが化け物銀座だったんだ。
江戸版ゴーストバスターズ
妖怪裏奉行所とか、どうだろう。
 
 

物語依存症(アディクション)

 

物語は人生を救うのか (ちくまプリマー新書)
 

 


焦げそうな陽ざし。
吹き出る汗。
『おっととっと夏だぜ!』(byEE JUMP)。
 
左手の薬指をケガして治ったと思ったら、
今度は右手の人差し指をケガする。
最初ケガしたとき、キズパワーパッドが切れていて
近所のスーパーマーケットに行ったけど在庫切れ。
代わりにケアリーグ治す力 防水透明タイプを購入した。
思った以上によかった。
水やお湯につけてもはがれにくい。助かる。

 

『物語は人生を救うのか』千野帽子著を読む。

順番としては『人はなぜ物語を求めるのか』を先に読んだほうがいいらしいが。
逆もまた真なり。意味はない。
 

「人間は物語を必要としている」

 


さらに

「人間は不可避的にストーリーを合成してしまう」

 

しかも

「「必然性」を求めがち」

 


 
と作者は述べている。
 
この物語、主観的につくられるので事実とは異なる。
間違い、誤謬。
事実を都合のいいように捻じ曲げることで
人は悲しいことや辛いことを克服できるのかもしれない。
個人的趣味と仕事で必要に迫られて行動科学の本を
片っ端から読んだ。
 
「不可避的にストーリーを合成」することは、認知バイアスとはぼ同義だろう。
「「必然性」を求めがち」
そのティピカルな一例が因果関係。
ある結果には必ず然るべき理由があるはず。
刑事もののTVドラマでおなじみの取調室での一言。
「お前がやったんだろ。動機は何だ」
 
以前自転車に乗って四つ角で前方を確認しないで渡ろうとしたら
車と接触、事故を起こしたことがある。
こちらに非があるので神妙にしていたが、
おばちゃんドライバーは、現場検証に来た警察官に
いかに自分が悪くないかを力説していた。
 
後日、警察署に行き、調書を取られた。
フォーマット通りに接触事故を起こした物語をつくっていく。
最後に担当官がその調書を読み上げて落着。
そういうことか。

物語はライナスの毛布のような存在かも。
因果関係で成り立っている推理小説や2時間ドラマの影響?
 

「人は物語に教訓(一般論)を読み取ってしまう」

 

 
納得。とまれ物語は人にとっていい意味でも悪い意味でも、よすが
でも物語って虚構ですぜ。
それがだ、昨今はSNSで野火よりも早く拡散される。

『「原因と結果」の経済学』中室真紀子 津川友介 共著の
拙レビューも参考の一助に。
 
 
 

キューキュー

 

 

キュー

キュー

 

 


『キュー』上田岳弘著を読む。
 
いつも以上にまとまりのない感想メモ。
 
今日日「キュー」と言えば「9」。
憲法第9条。変えたがる動きがあるが。
これも重要なモティーフになっている。改めて引用。
 

「第9条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

 


『キュー』は同音語が各章のタイトルになっている。
「急」「旧」「九」などで、全9章。
 

「知的生命体が進歩する途中には、避けては通れない事象が起きるものです。人類はこれをパーミッションポイントと名付け―略―18に絞っています。《言語の発生》、《文字の発生》、《鉄器の発生》、《法による統治》、《活版印刷》、《自律動力の発生》、《世界大戦》、《原子力の解放》、《インターネットの発生》、《一般シンギュラリティ》…」

 

なんとなくジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』をイメージしてしまう。
 
《一般シンギュラリティ》後の世界が描かれているが、
そこには過去、現在、未来が錯綜している。
 
ストーリーを紹介しても意味がない。
作者の構築した近未来に侵入して
そこがユートピアディストピアかをぼんやりと感じよう。
章ごとに展開される世界。終末論ぽいにおいが行間から漂う。
《世界最終戦争》とは。
 

そか、SFじゃん、これ。
たとえばフィリップ・K・ディックの新作だと思えばいい。
パースペクティブのあるシーンの連続。
ほら読みたくなったでしょ(ならないか)。

「私の中には第二次世界大戦が入っているの」

 

冒頭に出て来るセリフだが、読み終えた後にズシリと響く。
 

消される前に

 
 
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『音楽殺人』高橋幸宏YouTubeにアップされていた。
スカとベンチャーズテクノポップが融合したゴキゲンな一枚。
初回限定盤のきれいな青色のLPレコードを持っていた。
読書のともに、ビールなどアルコールのともに。