ザ・サベージ いつまでも いつまでも


クラウドなんちゃらの仕事で
株式関係の記事をずっと書いていた。
ここしばらく音沙汰がないんで
仮想通貨とフィンテックで完了と思ったら
新規の依頼が来た。しかも急ぎ。
担当者から評判がいいと言われたことがある。
ブタもおだてりゃ木に登るタイプなもので、
準備にかかる。
血圧とかアドレナリンとかがあがる。

『野蛮人との生活』シャーリイ・ジャクスン著を読む。
廃刊ゆえネット古書店は高値らしい。
ぼくは図書館の保存庫から出してもらった。

「わたしたちの家は、古く、やかましく、そしていっぱいである。
ここに引っ越してきたとき、わが家には二人の子供と五千冊の本があった」

 

 

書き出しから、つかまれる。
やがて子どもは4人になる。
お手伝いさんのヘルプをたのむことがあるが、
4人の野生児と戦いを楽しみながら、
日々の出来事を書いていく。

にしても、いつ小説を書いていたのだろう。
にしても、作者は変な人やアクシデントを呼び寄せる力でも
あったのだろうか。
気はいいが仕事はできなくて
しかも盗癖のあるヘルパーさんとか、
クセが濃いキャラが登場する。
すべてがなんか、さばさば、大雑把。
共感を抱く。でないと4人も育てられないだろ。
子どもの成長の速さは、うれしいがさびしくもある。
野蛮人も束の間、幼稚園や保育園へ行きだすと
急に社会化してつまらなくなる。
かわいい盛りはほんの一瞬。実感。

昔の文庫ゆえ焼けて文字が小さい。
年だけどさほど老眼じゃないぼくでもナンギする。
と、思ったら行き帰りの電車でするする読めた。
適度なねじれ具合が
どことなく伊丹十三のエッセイに通じる。
新訳でなくてもいいから復刊してほしい。

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重っ!

処刑人 (創元推理文庫)

処刑人 (創元推理文庫)


偶然だが、図書館のWebサイトが年末年始の間に
新しくなっていた。
資料になりそうな本を検索したら見つけたので
予約じゃなくて直接借りに行こうと
自転車を走らせる。
結局、目当ての本は見つけることができなかった。
借りられるのをいやがって隠れたのかもね。

仕方なく関連本を選んでカウンター前に並ぶ。
前の女の子が分厚い本を大量貸し出し。
卒論か課題の参考にでもするのだろうか。
トートバッグに入れて担ぐ。
「重っ!」とつぶやく声が聞こえる。

『処刑人』シャーリイ・ジャクソン著の補記。
いかすガーリッシュ文藝なのだから、
タイトルは原題直訳じゃなかったほうが
よい気がする。
ちょっと乾いた(ク―ルな)感じが
岡崎京子の漫画を思わせる。
あるいは
サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』の女性版とも
言えなくはない。
主人公はまだ17歳だが大学の女子寮には喫煙コーナーがあった。
アメリカは喫煙は18歳から、飲酒は20歳からだそうで。
納得。
作家の父親との手紙でのやりとり。
秘密の日記。
いい気になると天井知らずでいい気になって、
落ち込むと地球が滅亡するくらいまで落ち込む。
振れ幅の大きいガラスのジェネレーション。

帰りに公園を抜ける。
日当たりのいいところの梅の木に
花かつぼみか。らしきものが、見えた。

見つけられなかった本を改めてPCから予約する。

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昨日の自分は嫌い

処刑人 (創元推理文庫)

処刑人 (創元推理文庫)


年末・年始にまとめた記事を送る。

『処刑人』シャーリイ・ジャクソン著を読む。
主人公ナタリーは女子大生になりたて。
「大学の女子寮に入る」。
親元を離れての一人暮らし。
不安と解放感が入り乱れる。
ただ寮となると
上級生など新たな不安のタネが。

ナタリーは処世術とか知らないので
カルチャーショックにちょっとは悩む。
父親は(たぶん)売れていない作家。
日本でいうところの純文学作家なのかも。
専業主婦の母親は夫に対して知性よりも経済性を求める
しごく凡庸なタイプ。

タイトルのイメージだと
映画『サスペリア』みたいに
(ごめん。古い映画しか知らなくて)
なんかの亡霊が処刑人として
女子寮に住む女の子たちを
次々襲う。
ザンネ~ン!!!

ナタリーは帰省する。
ところがほんの少し寮住まいしただけなのに
暮らした家に自分の居場所はなかった。
すぐさま寮に帰りたくなった。
そうなんだ、ぼくもそう思った。
親からの自立というとダサいかもしれないが、
十代の少女の心模様が
実にみずみずしく描かれている。
傷ついたリ、傷つけたり。
踏まれたり、踏んだり。
出会いと別れ。
んでもって大人の扉を開ける。

ようやく最後のほうに
作者らしきシーンが登場する。
彼女にとっては大冒険。
デヴィッド・リンチの映画のような感じ。

深緑野分の解説によると
作者の実体験を投影したものらしい。
死小説じゃなくて私小説じゃん。

思いつきだけど
『処刑人』って
昨日の自分を殺す今日の自分じゃなかろうか。
昨日の自分は嫌い。
何もこれはヤングばっかじゃなくてオールドだって
そう思うよ。

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ちょっとだけよ~

[asin:4488555039:detail]

 

『千の脚を持つ男』シオドア・スタージョン、アヴラム・デイヴィッドシン他
中村融編を読む。
きっちり怪物に短篇が10本。
ティーズという言葉がある。
「じらす」って意味なんだけど、
ストリップティーズ。
これは、踊り子が一枚一枚衣服を脱いで
客をじらすこと。
カトチャンの往年のギャグ、「ちょっとだけよ~」が
まさにティーズで。
上手なストリッパーほど、魅惑的に脱いで
なかなか見せなくてオヤジを魅了する。
怪物も同じなんだと思った。
いきなり正体を見せるのは、踊り子がいきなり全裸で
ステージに現れるようなもの。

ティーザー広告というのもある。
最近はあまり使われないようだが。
新商品を発売するとき、
もったいぶってちら見させ、消費者の期待をあおるもの。

「ちょっとだけよ~」と怪物はちら見させながら、
動く、暴れる、破壊する。
3篇ばかし短い感想を。
『沼の怪』ジョゼフ・ペイン・ブレナン著。
冒頭からなんだなんだとわくわくしながら読み進む。
いろんなものを呑み込む怪物。
立ち向かう警察、軍隊。

『それ』シオドア・スタージョン著。
「森の中を歩くそれ」
「それ」のグロテスクぶりが、じわじわくる。

「機械の怪物」のカテゴリーから、
『スカーレット・レイデイ』キース・ロバーツ著。
邪悪な心を秘めたクラシックなクルマと虜になった若者。
不幸を招くクルマと気がついて破壊しようとするが、
ターミネーター』ばりに、どっこい死なない。不死身か。

シン・ゴジラ」は、「ウルトラQ」や怪物ホラーのお約束を
踏まえてつくってあったなと思う。
「ちょっとだけよ~」には続きがある。
「あんたも好きねえ~」。

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Qさま

千の脚を持つ男―怪物ホラー傑作選 (創元推理文庫)

千の脚を持つ男―怪物ホラー傑作選 (創元推理文庫)

 


箱根駅伝、出身校を応援するのは
愛校心のなせるわざか。
冬の山を走って登るって
外国人から見たらクレイジーに思うのかな。

クラウド関連の本を読んで
脳内がすっかり英語、カタカナだらけになったので
『千の脚を持つ男』シオドア・スタージョン、アヴラム・デイヴィッドシン他
中村融編を読む。
「怪物ホラー傑作選」。

「自然のバランスがくずれ凶事が起こるとき、
前兆として現れるのがモンスターである」

 

 

この一文にしびれる。
べらぼうによい。まだ読み途中だが。
シャーリイ・ジャクソン祭りのあとは、
中村融祭りにするだ。

編者あとがきを読むと
編者は「ウルトラQ」で人生が決まったとか。
腑に落ちる。
ウルトラQ」には古今東西の「怪物やSF」のネタやオマージュが
たっぷりあったもの。
懐かしのオープニング映像があったら
貼ろうと思って
YouTubeウルトラQを検索したら
こんなお宝映像が出てきた。


 

お年玉がわりに。
ナレーターの石坂浩二の声がいいし。

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タブラ・ラーサ

 

タブラ・ラーサ。それは白紙。
人は白紙で生まれてくるという。
手垢のついていないまっさらな紙。

でもよく見てみると
遺伝子に受け継がれた
それこそビッグデータ
白い紙にある。

新しい地図
もしそれがこれからの航海を
知るためのものだとしたら
使えない。

新しい地図
いままで発見された地形に
見つけるであろう地形を
上書きするなら
肌身離さず持っていよう。

そんなことを
思わせる新しい一年。
新しい地図
新しい楽曲。

そこには意外なことに
SMAPの遺伝子が濃くある。

ぼくの地図はかなりくたびれてきた。
いろいろ書き込みがしてあって
コーヒーのシミとかついているが、
まだ役に立つ。

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空いているが


電車は空いているが、
高校サッカーで最寄り駅は混みそう。
正月の買い出しをしてから、
記事にかかる。
やっとスピードが出てきた。
交差点の角に
しめ縄を売る出店が。
帰りたくても帰りたい家はもうない。

『夜の夢見の川』シオドア・スタージョン、G.K.チェスタトン
中村融編を読む。
『街角の書店』の続編。
今回も「奇妙な味」を満喫。
心に刺さった作品の短い感想を。

『終わりの始まり』フィリス・アイゼンシュタイン著。
亡き母から電話があったと。
諍う兄と妹。老いてはいたが母だった。なぜ。
うーーんとうなる読後感。

『イズリントンの犬』ヒラリー・ベイリー著。
しゃべる犬の話。
英語を教える女性がロシア人なので
犬はロシアなまりの英語を話すそうだ。
そこに目をつけた男。
ドタバタがはじまる。
犬が雄弁にトドメをさす。
編者はサキを先例にあげたが、
どことなくチェーホフぽい。

『夜の夢見の川』カール・エドワード・ワグナー著。
精神病院に入院していた女性。
乗っていた護送車の事故で川に放り出される。
彼女は脱出を試みようとひたすら泳ぐ。
このシーン、迫力あり。
下着姿でやっとたどり着いた屋敷。
タイムワープしたかのような。
屋敷の夫人がドSぽい。
すべてが彼女の幻想なのか。
どこまでが真実なのか
読んでいて頭がぐるぐるしてくる。

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