猫のいない日々


10月に猫が天国に召されて12月。
明け方、階段を2拍子で降りる音で目が覚める。
黒猫なので丸まった黒いタオルが
猫に見えてはっとする。

元気なころは、時おり
憑かれたように階段を全速力で往復していた。

猫ドアをくぐって
こちらが起きるのを待って
ご飯をくれないかなとひたすら凝視していた。

晩年は猫ドアをくぐることを忘れて、
あげたご飯も忘れて
遠慮会釈なくもらうまで催促。
しまいには恫喝レベルで。

猫の額ほどの庭に埋めようかと思ったが、
笹の根っこだらけで掘るのが大変。
壁に塗りこめるのは、却下される。
ポーの『黒猫』じゃないんだから。

近所のスーパーマーケットで
うちの猫が好きだったキャットフードを
まとめ買いしている老人がいた。

玄関に手つかずの猫砂が置いてある。
どうしたものか。

路地に入り家へ向かうぼくの靴音が聞こえるようで
ドアの鍵を開けると出迎えてくれた。
ほんとうは脱出のチャンスをうかがっていたのだろう。

カップボードにそれぞれの親の遺影が飾ってある。
母は猫のひげが長くて立派ねと言った。
子どもは描く絵がほとんど猫だった。
在りし日の猫は、いちばん大きな写真立ての中に。

ガスファンヒーターの前にへばりついていた猫はいない。
2017年が終わろうとしている。

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もし

もしアドラーが上司だったら

もしアドラーが上司だったら

 

『もしアドラーが上司だったら』小倉広著を読む。
このタイトル、
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』
路線だよね。読んだことないけど。
でも、ドリフファンなら「もしもシリーズ」がルーツだと思うかも。
好きだったなあ。うれしいことにYouTubeで見れる。


上司の「ドラさん」が、アドラー心理学のグル(導師)、エヴァンゲリストとなって、
若手社員が同期の社員たちと切磋琢磨しつつ、成長するという定番の話。
サクセスストーリー仕立ては、
藁にもすがる思いの若いビジネスマンには
心のレッドブルとなるだろう。
若くない中間管理職には心のリポDとなるだろう。
ただし束の間の。

『もしヒトラーが上司だったら』
『もし織田信長が上司だったら』
もしドラキュラ伯爵が上司だったら』
いかん。パロディばっか浮かぶ。

フロイトをエロいという人がいる。
ユングをオカルトという人がいる。
ならアドラー自己啓発セミナー臭というのかな。
でも、そんなこといったら数多のビルドゥングスロマン
自己啓発セミナー臭で括れるし。
スターウォーズ』もそうだよね。

年越しの宿題、資料を集めては、勉強。

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もうひとひねり


仕事する波、待ち。
クリスマスイブの買い出し。
午前中のせいか人は少ない。
ケーキ店は、景気が良かった。
もうひとひねり。

『ねじの回転』ヘンリー・ジェイムズ
南條竹則坂本あおい訳を読む。
新潮文庫版を大昔読んだことがあるので、
違う訳で。


怪奇小説の」古典、しかも難解。とかいわれている。
子どもたちに迫る悪霊という印象が残っていたが、
再読すると、訳者解説で述べているように
幽霊と思われるものを見た家庭教師の女性の
不安神経症的な歪んだ世界をとらえたものにも思える。
屋敷、庭園など舞台はきちんとゴシック小説を敷衍している。
ベタや描き込みが過剰なホラー漫画の源流。

有名なジェイムズ・ブラザース、
プロレスラーじゃないよ。


「ヘンリー(弟)は哲学の様な小説を書き、
ウィリアム(兄)は小説の様な哲学を書く」


は、夏目漱石が書いたのか。知らなんだ。
ウィリアム・ジェイムズは、
プラグマティズム創始者のひとり。
哲学も道具と同じで使えなきゃ意味がない。
小難しいゴタクを並べても
事態はひらけない。そんな哲学。
半分賛成、半分反対。

これもまた昔、6月にロンドンへ行ったとき、
妻の友人夫婦の案内で
ブライトンからライへドライブに出かけた。
リゾート地ブライトンでは晴れていたが、
歴史のある村・ライに着いたときは
曇りだして気温もかなり下がった。
ひっそりとした中世を思わせるような古い町並み。
フーデットパーカーを着て散歩する。
ますます空は暗くなって
窓辺からこぼれる淡く黄色い光。
石碑があって、
ヘンリー・ジェイムズと刻まれていた。
あとで知ったが、晩年、彼はライで過ごしたそうだ。

当然、映画化されている。

家庭教師役のデボラ・カーは原作のイメージにぴったり。

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つらつらと

アドラーに学ぶ部下育成の心理学

アドラーに学ぶ部下育成の心理学


今年買ったヘッドホンが接触不良であかん。
ま、それなりに酷使したからな。
消耗品だから安物でいいかな。

突然パソコンの画面がセピアになった。
ネット検索したら、
windows」+「Ctrl」+「C」キーの同時押しで
戻ると。戻った。

駅へ向かう道に犬のウン〇。
筒井康隆風に書くなら、
飼い主の鼻をつまんで口を開けさせて
ウン〇を入れる罰を与えろ。

ポトフの残り、カレーパウダーを大さじ1
ふりかけて温め直したら
なんちゃってスープカレーになった。
想像通りのうまさ。

AI関連の本を乱読。
ゆえに出典元は忘れたが、
AIが進化すると差別意識が芽生えるそうだ。
キャッチアップ、人間の脳だものね。
何事もメリットとデメリットがある。

セクハラとパワハラ
各々線引きが難しい。
特に悩んでいてガスター10が
手放せない中間管理職の人は多いだろう。
話題のアドラーは、さらに脚光を浴びるかも。
「ほめない、叱らない、教えない教育」
アドラーに学ぶ部下育成の心理学』小倉広著。
仕事本で読んだが、目からウロコぽろぽろ本。

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なんでもない一日

なんでもない一日 (シャーリイ・ジャクスン短編集) (創元推理文庫)

なんでもない一日 (シャーリイ・ジャクスン短編集) (創元推理文庫)

ゼネコンのリニアモーターカーの談合ガサ入れ。すばやい。
首相のお友だちの某学園とは大違い。
なんだかなあ。

ないとうれしいが結局は困る。
あるとうれしくはないがほっとするもの、なーんだ。


答は仕事。


年越しの仕事がチャット経由で来た。
まずは資料の読み込みから。

『なんでもない一日』シャーリイ・ジャクスン著を読む。
没後、「発見された未発表原稿」をまとめたもの。
「23の短編と5つのエッセイ」。
行き帰りの電車の中で
くすっとしたり、ゾットしたり。
日常生活で起きる些細な出来事も
作者にかかれば、おもろい小説になる。マジック!!

『悪の可能性』はこっそりしていた陰湿な悪事と同じ目にあう。
まさかあの人がパターン。
『ネズミ』は作者らしい仕立て。
ラストに感服。
メルヴィル夫人の買い物』は、ミス・クレーマーの行状を
赤裸々に描いている。デパートの婦人服売り場や食堂で
店員から失礼な扱いを受け、
「九階の苦情係」へ行こうとするが、たどり着けない。
そのさまが笑える。
『うちのおばあちゃんと猫たち』。
猫が大好きだが大嫌いという
ヤマアラシのジレンマ的おばあちゃんの話。
代々の飼い猫は、ほんとうは怖ろしいおばあちゃんの本性を
見抜いてか足首を噛む。これも笑える。
なんでもないことが、とんでもない話になる。ミラクル!!

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ネパール料理店へ

昨日、妻に先導され、近所にできたネパール料理店へ行く。
こっち方面は保育園の送り迎えで朝夕自転車で通っていた。
途中、寿司店が閉まって改装中。
その先も改装中。以前はコンビニだった。
なんとなく暗い雰囲気のローソンで
クラローと呼んでいた。
ネパール料理店、ここはラーメン店だった。
居抜きで違うラーメン店。
何度か入ったことがある。
黄色く色づいたイチョウの木が
時おり吹く強い風で揺れる。

初回はダルバードを注文する。
ダルバードとは、引用。

 

「名物は渋谷店同様、ネパールのソウルフードともいえる

『ダルバード』。プレートにバート(ご飯)とダル(スープ)、惣菜(タルカリ)が盛られたいわばネパール版の“定食”です。ご飯にスープと惣菜をかけ、少しずつ混ぜながら味わえば、ほんのりと広がるスパイスに、
野菜の旨みとコクが加わり、奥深くマイルドな味わいに。
メニューには約40種の豊富な一品料理もラインアップ。
飾らないネパールの郷土の味覚を味わえます」

上記の説明通りに食べる。
見た目はカレーに似ているが、スパイシーでも辛くはない。
唐辛子ペーストをちょい足しで食べたが、それも美味。

子ども連れが目についたのは、辛くないからか。
麺類がおいしそうだった。

 

関係ないがサムラート
ホーレンソウとチーズのカレーが
食べたくなる。

 

ネパール料理 ネパリコ 駒沢店


夜は寒いのでキムチ鍋。
残ったのに卵とうどんをぶちこんで
チゲうどんもどきの昼食。
おいしゅうございました。

 

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ザンネーン

鳥の巣 (DALKEY ARCHIVE)

鳥の巣 (DALKEY ARCHIVE)


クリスマスケーキを予約しに行ったら
ほしいのは予約終了。遅かりし、由良之助。
やむなくブッシュドノエルの小を予約。
次は元日夜用の寿司の予約。
チラシ持参で行ったら、
愛想のないおばさんが元日は休みだと言う。
そういうのはチラシやWebに明記しておくべきだろう。
クレーマーだったら大変なことになるなり。
TSUTAYAに寄って手帳と資料用の新書を買って
とぼとぼ帰宅。

『鳥の巣』シャーリイ・ジャクソン著を読む。
多重人格がテーマ。
記憶喪失と多重人格は結構人気だったが、
いまは手あかがついた感じ。
冒頭の主人公が勤務する博物館の歪みのシーンに
つかまれる。歪んでいるのは、博物館の空間の歪みなのか、
彼女の心理なのか。

彼女の内部には4人の女性たちがいる。
それぞれがキャラクターが異なり、
めまぐるしくあらわれては
オレがオレが、女性だから私が、私がと、
本人のアイデンティティを脅かす。
人間の心の脆さ、危うさを描くあたりは、
いまでいうところのイヤミスの第一人者ルース・レンデルにも
つながる。アラン・ドロンが主役の『太陽がいっぱい』などの原作者。
ぼくは、モーリス・ネロ押しなのだが。

登場人物は博物館勤務の主人公と遺産を管理する叔母と
主治医のみ。
それこそ演劇化して世田谷パブリックシアターあたりで
かければ、かなりの面白い芝居になるのではないだろうか。
演技力が要求されるけど。
といっても落語家や声優は一人でいろんな役をこなすから
そうでもないか。

珍しくラストに救いがあって後味が良い。

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