青春の蹉跌

湖の男

湖の男

 

『湖の男』アーナルデュル・インドリダソン著を読む。
アイスランドレイキャビク警察署、
捜査官エーレンデュルシリーズの最新翻訳。
涸れた湖のそこにあった
「白骨死体とくくりつけられたソ連製の盗聴器」。
死体は誰なのか。

東西冷戦の頃、
共産主義の洗礼を受けアイスランドからドイツ・ライプツィヒ
留学した若者。大学で出会った同朋、仲間。恋人。
その過去と今が交互にシンクロしていく。

エーレンデュルは、いつものように執拗に不器用に
事件の核心に迫ろうとする。
崩壊した彼の家族。娘と息子の再会。
お互いに手をのばそうとはするが、タイミングが合わない。
現在の恋人との関係も。老いらくの恋というのは失礼か。

共産主義にあんなにカブレていたのに、
理想と現実はかなり違っていた。
結局は「東ドイツ共産党」のスパイ、手先、一分子扱い。
純粋な気持ちはねじまげられる。

ソ連以下ヨーロッパの共産主義国家は崩壊したが、
共産主義者は素性を隠して生きなければならない。
旧制高校ではマルクスボーイだったが、
いまは大企業の経営者のように
若気の至りと軽々しく口外したくはない。
死体は誰なのか。

ちょうど良いほろ苦さ。

人気ブログランキング

TOKYU DENTO

沢田研二TOKIO』の替え歌で『TOKYU (DENTO)』

 

♪ 水が出る 煙出る 電気が止まって 見合わせる
火を噴いて (ついでに)飛び込んで スーパー・シブヤがお手上げさ
TOKYU DENTOが今日もバス振替
TOKYU DENTOのダイヤ飛ぶ ♪



バス待ちの長蛇の列で思いついた歌詞。
慣れとは恐ろしいもので
誰も文句を言うこともなく
淡々と並んでいる。
超混雑の車内も降りる人には
スペースを空けてくれる。
車窓からは玉川通りを毎度おなじみの歩く人たち。
バスの運転手さんがはりきっているように
なんだかうれしそうに思えたのは気のせいか。

おかげで『湖の男』アーナルデュル・インドリダソン著を
一気に読了することができた。
立ち読みならぬ並び読み。

人気ブログランキング

モチベーションって

図解 モチベーション大百科

図解 モチベーション大百科


運がいいと雨にあわない。
企画をまとめる。
少しだけ前進。

『図解モチベーション大百科』池田貴将著を読む。
モチベーション、やる気について考察したもの。
スポーツ業界以下モチベーションって
どんだけ使われているんだろう。



「私たちの意志とは別に
私たちを動かしているものがあります
“モチベーション”」

 




基本フォーマットが見開きで
キーワード→実験例引用→解説の順。
知っていること、知らないことだと
まだまだ知らないことが多い。
知らなくて長年の習慣、経験則で行っていることも
なんとか効果とかネーミングされると
ありがたい教えのように思われるから不思議。
あ、ネーミング効果か。
当たり前のこともネーミング次第で価値が変わる。

一度読んでおしまいじゃなくて
そばに置いて忘れた頃に読み返す本だ。
読み直すごとに惹かれるキーワードが違うはず。
そこから自分のモチベーションのありようが
類推できたりして。

巻末の山のような参考文献は、
そこから興味のある本をゆるゆると読んでいこう。

人気ブログランキング

危機一髪、ファイト一発

三秒間の死角 上 (角川文庫)

三秒間の死角 上 (角川文庫)

三秒間の死角 下 (角川文庫)

三秒間の死角 下 (角川文庫)


生暖かい日。生温い日。
記事の続きを書く。
コラムネタ探しは、そのあとから。

『三秒間の死角』アンデシュ・ルースルンド
ベリエ・ヘルストレム著を読む。
まだまだ続く北欧ミステリー祭り。
潜入捜査員、パウラ(偽名)。
ポーランド出身で犯罪歴あり。
いまは警察の手先となって刑務所に潜り込んで
ポーランドの麻薬組織を探り、叩き潰す命を受ける。
潜入捜査員でありことも過去のことも妻には秘密。
綿密な計画と周到な準備。
刻々と淡々とパウラの行動や考えをハードボイルドチックに描写する。
警察もタテ割り組織なのか。
パウラのミッションを知らず、本物のヤバいヤツと思う。
で、命令を出していた政府のエライさんは、
真相がバレる前に、彼をこっそり処分することを決める。
トカゲのしっぽ切り。
どこでも官僚の考えることはおんなじ。

パウラは目端の利く男だから
犬死はしたくないと
先を見越して計画を練っておく。
殺られるか、殺るのか。
まさに『三秒間の死角』をつく。
途中からハラハラドキドキがノンストップ。
男くさい小説。
ピカイチは、ストックホルム市警、
エーヴェルト・グレーンス警部。
機動警察パトレイバー後藤隊長の次に好きなキャラかも。

人気ブログランキング

AIスピーカーが家族になる日

遅くとも月末までには必ず来ていた新聞代集金が昨夜来た。
人手不足が理由らしい。
配達に追われて集金まで手が回らない。
確か専売所が統合されたんだよな。
でも振込にする気はない。
振込にすると死ぬまで新聞取らないといけない気がして。
コンビニやスーパーマーケットも慢性的な人手不足。
介護も。

愛猫家は飼い猫が亡くなったら喪中欠礼は出さないのだろうか。
喪中はチューがつくからネズミじゃないかと言われそうだが、
喪ニャン欠礼じゃ意味が不明。

アマゾンのAIスピーカーをテレビで紹介していた。
コミュニケーションできるんだ。
学習能力も高いんだろうね。
やがてツッコミ、ノリツッコミから
ツンデレまでできるようになって。
発言に腹を立てて破壊されたり。
酷使でAIスピーカーがサボタージュしたり、
家出したり。
再起不能の呼称は過労死と言わないのだろうか。
真面目なテキストは、こちら。


Amazon Alexaも上陸 AIスピーカーで、ブランドと生活者の新しいタッチポイントが生まれる

人気ブログランキング

いつものように

死刑囚 (RHブックス・プラス)

死刑囚 (RHブックス・プラス)


いつもの仕事が来なさそうで、
別のいつもの仕事は来た。
違ういつもの仕事はまだ動いていず、
動いたら納期が厳しそうだ。
いつものコラムの企画やタイトル、展開案のため
ネタを探す。草稿をまとめる。
いつものように幕が開き…。

『死刑囚』アンデシュ・ルースルンド  ベリエ ・ヘルストレム 著を読む。


〇アメリカで病死したはずの死刑囚が、なんとストックホルムで逮捕された。
死刑をいかにして逃れることができたのか。


〇死刑囚は恋人を殺した罪で死刑になったが、無実なのか。


〇意外な結末。


この3点を読んで納得できるならば、
社会派北欧ミステリーの傑作と評価するのだろう。
被害者、加害者、看守、警察官、
異なる視点から死刑制度の是非を問う。
ぼくはあまり腑に落ちなかった。
ただし入牢していつ執行されるかもしれない
ひりひりした死刑囚気分は味わえたが。

菊池成孔がラジオで激賞していた
クドカン脚本の『監獄のお姫さま』を遅れて視聴。
はまった。小泉今日子扮する馬場カヨの馬場は
木皿泉脚本の『すいか』に出てきた
小泉の役名・馬場ちゃんへのオマージュか。

人気ブログランキング

現ナマに手を出すな

仮想通貨で銀行が消える日 (祥伝社新書)

仮想通貨で銀行が消える日 (祥伝社新書)


喉の痛みがおさまって
咳が少々、痰が多々。

『仮想通貨で銀行が消える日』真壁昭夫著を読む。
著者は元バンカーの大学教授。
記事を書くんでネタ本として読んだ。
いみじくも大手都銀が人員削減・規模縮小を発表したり、
某信託銀行が地方の住宅ローンの扱いを止めるとか、
そうなりつつあるようだ。
仮想通貨なんて聞くと例のビットコイン消失事件で
怪しげに思われる人もいるけど、
実際はそうじゃないようだ。
たとえば海外送金などはレート換算など面倒だし、
手数料も結構取られる。
それが仮想通貨を使うと手数料も安くて早く送金できるようになる。

仮想通貨を形にしたのはフィンテックだが、
その核となるブロックチェーンの中身が
細かいところは抜きにしてすごいことはわかる。
いままでの銀行業務では大変だった決済が、
楽に、速く、正確にできるようになるのだから。
このまま生活に浸透すると、
人々は銀行抜きでお金のやりとりをするようになる。
フィンテックにはIT企業などの新規参入がみられる。
スマートフォンがそのメインとなるそうだが、
アプリの使いやすさなどが選択基準となるかもしれない。
スマホがおサイフ、クレカ、家計簿、通帳、ローンなど
パーソナルファイナンシャルライフを担う。
現金からバーチャル通貨へ。

amazonの登場により町の書店が減る一途にある。
数々のファッション通販サイトの出現により
若い女性はデパートや町のブティックでは買わなくなったようだ。
その流れがいよいよ銀行にも来ると。
金融インフラというよりももっと大きな社会インフラになると。
銀行というパッケージはなくなるが、
銀行業務という中身が拡散する。
従来の銀行も横並びではなくて
強みに特化したものとなって
専門店化へ深化していくのだろう。

じゃあ銀行員はどうすればいいんだという叫びは、
かつて工業用ロボットが普及すると
工員が不要になるといわれていたのと同じ。
ITでできるところはITで。
人でないとできないところはまだあるし、無くならないし。
結局、そうはなっていないわけだし。と楽観的な結びで。

人気ブログランキング