安定所

改めて職業安定所ってすごいネーミングだと思った。
精神安定所は、どこだろう。病院か、マッサージ店か。
恋人の部屋か。
リビドー安定所は、風俗か。
食欲安定所は、食堂、レストラン、いろいろ。
おしゃれ安定所はどこだ。
人生安定所だと、新興宗教の隠れ蓑、生命保険ショップとか。

長澤君率いるパピエ・コレが
ネット古書店〈mondo modern〉をはじめたことを知る。
サイトを見るとオシャレで
埃くさい古書店よりも
セレクトショップって感じだろうか。
まずは、冷やかしてほしい。
こちらとこちら。

パピエ・コレ_papier colle_長澤 均

古書のネットショップ〈mondo modern〉

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USA晴らし

胡椒息子 (ちくま文庫)

胡椒息子 (ちくま文庫)


ロケットマンがあの方だと
ロケットマンショーは、
花火ならぬミサイルの大会か。
「自分にUSOつくなよ!!」
USOじゃなくてUSA。
USA晴らしってことで。

頭が痛くなる資料本を読む合間に、
『胡椒息子』獅子文六著を読んだ。
三人兄弟の末っ子の男の子。
上が兄、真ん中が姉。
上二人はええとこのおませな山の手坊ちゃん・嬢ちゃんなのに、
ワイルド。
実は、妾腹。
この秘密がいつしか公然となる。
夫婦も険悪な冷たい関係。
針のムシロ状態の
安全地帯が婆や。

主人公が感化院送りになるあたりで
トリュフォーの『大人は判ってくれない』を
ふと思い出した。
大丈夫、獅子文六だもの、
ちゃんと救われる。
子どもの思い。ちょっとした誤解で非行へと転がっていく。
傷つきやすいが、きっかけさえあれば立ち直りも早い。
感化院でも坊ちゃんは逃げることなく
マイペースを貫いてジャイアンのようなボスと
仲良くなる。
現実が苦い分、小説が多少甘くてもよいではあ~りませんか。
往年のNHKの子ども向けドラマのよう。
かすかに覚えている池田“シャア”秀一の『次郎物語』とか。

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しみます


昨日は台風でずうっと雨だし、涼しいし、
買物はしてあるし、
家に引きこもり、
夕方まで原稿の続きにかかる。
ETFREITだの
少しづつ理解度が深まる。
ゆっくり入浴して焼酎のソーダ割りを飲む。

キリンジのルーツはてっきり
スティリー・ダンだと思っていたら、ペイジズだという
ブログのエントリーを見つけて
YouTubeで聴いたら仰天びつくり。
しみます。なるほど。
ブログのリンクを張ろうとしたらめっからない。
Pages - Let It Go
元祖レリゴーだぜ。

『胡椒息子』獅子文六著を読みだす。
子どもの書き方がうまいなあ。
いけすかないヤツの書き方も。
続々文庫化で獅子文六祭が続くかも。

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ひりひり


ネーミング、もう少し粘らないと。
「ほんとに、それでええのんか」と耳元でささやく声。

『寝ても覚めても』柴崎友香著を読む。
この著者の本ははじめて読む。
どうも偏食ならぬ偏読なものだから。
場面展開の速さとシナリオを思わせる文章。
100説明するのは野暮とでも言わんばかりに
途中で遠慮なくフェイドアウトしていく。
こういう省略もあるのかと思う。
情感と情景。
異なるものをオーバーラッピングしながら
話をつくっていく。
作者の眼の良さを感じる。
主人公はどこにでもいるような女性。
20代から30代の間。
理想と現実に直面しながらも
生きるすべは自然と身に付いていく。
ごはんは食べないと死んでしまうが、
恋はしていなくとも生きてはいける。
しかし、それは生ける屍にも値するのものなのか。

行動経済学や心理学の用語で
アンカリング効果という言葉がある。
人は、失恋などでその思いを
心の底にアンカー(錨 いかり)を下ろしてしまうと
なかなか引き上げるのが難しくなるそうだ。
この女性もアンカーがやっと上がるかと思ったら、
再び自ら沈めようとする。
元カレと今カレの間で揺らぐ最終部分。
かなりひりひりする。

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うれしいような、うれしくないような

「象の消滅」 短篇選集 1980-1991

「象の消滅」 短篇選集 1980-1991

 


達郎の「REBORN」より
麦ちゃんの「REBORN」が好きぃ ハイ!!
何か辛いことがあったら
この楽曲を聴こう。

久々にネーミングのプレの仕事をもらう。
まともにいっちゃ、ほとんど商標登録されているから
変化球だったり、造語だったり。

いままで、いろいろ考えたけど、
大変だったのは、マンションやハウジングのネーミング。
英語はもちろんフランス語、スペイン語など
めぼしいものはことごとく登録済みだから。

特許情報プラットフォームの
特許・実用新案、意匠、商標の簡易検索で
チェックできる。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopSearchPage.action#


うれしいような、うれしくないような。

移動中、『村上春樹短篇選集1980-1991』を読む。
『ねじまき鳥と火曜日の女たち』は、『ねじまき鳥クロニクル』の一部分。
これはこれで。というか、こっちの方が間延びしてない分いいんじゃないか。
ファミリー・アフェア』は、ホームドラマ。
小津の映画をイメージしたのは、誤読か。
『午後の最後の芝生』
芝刈りのアルバイトをしている大学生の話。
アメリカンっぽいし、片岡義男っぽい。
小島信夫あたりにも。

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髪を切る

めくらやなぎと眠る女

めくらやなぎと眠る女


後ろ髪が外にはねる。
髪を切るサインだ。
シャワーを浴びたついでに
髪を電気ヘアカッターで切る。
トラだろうがシマだろうが、
クセ毛なもので適当にまとまる。
伸び放題の庭木も切らないと。

土日は、資料を軽くまとめてから
『めくらやなぎと眠る女』村上春樹著を読む。
「ニューヨーク発24の短編コレクション
英語版と同じ作品構成で贈る」
というのが、売りらしい。
逆輸入の国産車みたいなものか。
YouTubeスティーリー・ダンを聴きながら読む。
ウォルター・ベッカーの追悼も兼ねて。

ま、当然なんだけど、いつもの村上春樹ワールド。
気の利いた台詞と自給自足しているマメな男たち。
風変わりさが魅力の女たち。
読む前は恋愛小説系よりも
『氷男』が出てくるような奇想小説系を
読みたいと思ったが、
恋愛小説も読み直すと意外と良くて。

『蛍』は、のちにふくらませて
ノルウェイの森』の一部となったもの。
他にもある。
久々に読んだが、短編の方がいいなと思った。
感想は読む時期でころころ変わるのさ。
ネットもスマートフォンもない時代の恋愛。
待ち合わせなんて連絡つかないから、
遅刻かすっぽかされたのか。
電話するのもなんだし。
喫煙者だったら、一箱吸い終わるまで待とうとか。
逢いたいのに逢えない。
逢いたくないのに逢える。

 

「ずっと以前に書いた短篇小説が夜中にうちにやってきて、
僕をゆすって起こし、「おい、気楽に寝ている場合じゃないぞ。
まだ俺はじゅうぶんに書かれちゃいないんだ。そんなに簡単に
忘れないでくれ」と訴えるのだ。そうなるとその声に導かれるまま、
長篇小説を書き上げないわけにはいかない。そういう意味でも、僕の
中で長篇小説と短篇小説はとても自然に、有機的に結びついていると
言っていいと思う」
(「イントロダクション」より)



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リアルとフェイク


『日本ノンフィクション史』武田徹著を読む。
日本のノンフィクションの通史って確かになかった。
黎明期、大宅壮一から
石川達三火野葦平などの作家が書いたノンフィクションもの。
週刊誌が刊行されると
梶山季之らトップ屋、本来黒子であった書き手が脚光を浴びる。
テレビ時代になると映像による
ノンフィクション、ドキュメンタリーが人気を博すようになる。
んで、カウンターカルチャーの流れなのだろう。
ニュージャーナリズムが盛んとなり、
その代表が日本だと沢木“深夜特急”耕太郎。
アメリカじゃ『冷血』のトルーマン・カポーティあたりかな。

最近では、宮台真司から古市憲寿開沼博などの
「アカデミック・ジャーナリズム」などにも言及している。
大学のセンセイもしくは高学歴の書き手が
二次資料や学問から論考するという新しいノンフィクション。
それまでは一次資料というか
記事は足で書けというスタイル。現場主義。

ジャーナリズム、ジャーナルの語源は日々の記録。
銀行やデパートなどでは日計をそう呼んでいる。

話は戻るが、
新聞記事、ノンフィクション、フィクションの違いは何か。
厳密に考えれば考えるほどあいまいになってくる。
黒子の度合い、すなわち私見や思い入れを排除する度合いが
高い順は
新聞記事>ノンフィクション>フィクション。
そうなんだけどね。
リアルにこだり、ありのままに書く記事よりも
作家の虚構をブレンドした、ありのままに書かない小説の方が
リアリティがある場合がある。
「見てきたようなウソをつき」ってヤツ。
リアルとフェイク。
昨今は、当事者に都合が悪いと
フェイクというレッテルを貼られがちだが。

大宅文庫は広告会社勤務時代、
著名人インタビュー広告シリーズの
人選資料で半年に一度くらい通っていた。
ネットはまだ無かった。
京王線八幡山の駅を降りて
松沢病院の広大な敷地を横目に
狭い歩道をだらだらと歩く。
人名カードで雑誌記事のタイトルを選ぶ。
実に膨大な量が保存されていた。
該当するものを選んでコピーしてもらう。
実際インタビューでたずねると
違っていたりした。
記事のせいか、当人の心境の変化か、忘却。

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