「灰色ヌートリア」「洗濯機トカゲ」「工場ウ」

工場

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ウェイティング状態。
インプットを続ける。


『工場』小山田浩子著を読む。単行本になって再読。
はじめは『新潮』で読んだ。
雑誌と単行本。どちらがいか。判型、紙質、装幀。それは一概にいえない。


『工場』『ディスカス忌』『いこぼれのむし』の3篇を収録。
どれも普通の人の日常的な話なんだけど、
工場あるある、熱帯魚マニアあるある、会社あるあるに
とどまらず、普通の人が内面に抱えているものを
かっさばいて晒す。
非日常性、狂気、妄想。
人間関係、組織、ヒエラルキーなど
観察眼の良さ、鋭さを感じる。
笑かそうという熱はなく、不条理な、シュールなねじれた笑い。
カフカを思わせたり、デヴィッド・リンチ風味だったり。
木皿泉脚本のTVドラマとか。
普通の人などいない。改めてそう感じさせる。


ボリス・ヴィアンの『うたかたの日々』に、パイナップル味のはみがき粉目当てで
洗面台の蛇口から出て来るというウナギがいたが、
『工場』にも、それに匹敵する「灰色ヌートリア」「洗濯機トカゲ」「工場ウ」が
紹介されている。キャラを想像して「むふふ」と笑った。
海洋堂でフィギュアにしてくれないだろうか。


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