訳者やのぉ~

親衛隊士の日

親衛隊士の日

『親衛隊士の日』ウラジーミル・ソローキン著を読んだ。

近未来のロシア。なぜか、「専制政治」が復活して、帝政ロシア?
親衛隊士、皇帝の親衛隊員たちがわが世の春を享受していた。
パロディなのか。
「お后様」などエキセントリックなキャラも登場。

親衛隊員たちの「えんやさぇんやさ」という「唱和」が、何度も出て来て
目に焼ついて離れない。
筒井康隆の『バブリング創世記』を読んだときと同様に。
二回目の「ぇんやさ」の「ぇ」が小さいのは、なにゆえ。

大仰にいってしまうと、
いまそしてこれからの時代の気分や空気を暗示している。
アベノミクスの大風呂敷で
国の舵を右に急旋回しようとしている、この国にも。

社会主義のたがが外れて、どうなった。
またぞろ民族主義が頭をもたげてきた。
近親憎悪なのか、独立国家樹立をめざす民族とそれを許さない民族との内乱。
影で糸引く大国の代理戦争。

あれほど忌み嫌っていた王政だが、
そうじゃないと収拾がつかなくなっているようだ。
まったく人間ってヤツは。と思いつつ読み進む。

SFの味付けをした諷刺・嘲笑の文学。
漫画でいうと、まっさきに浮かんだのがなぜか『パタリロ』。
賛否両論かも。
ゲスなロシア版ボリス・ヴィアンとか。

訳者は、作者の意図するものを
かなり大胆に訳したとか。
たぶんリズミカルな原文は、
リズミカルな日本語に。

昨日、赤坂で打ち合わせ。
今日、まとめ。頭が割れそう。

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