- 作者: 三木卓
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/05/22
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 10回
- この商品を含むブログを見る
昨日は、しばらくぶりに品川方面で取材の打ち合わせ。
ひょっとすると、この手の仕事が増えるかもと、言われる。
まずは、きっちりとした原稿をアップすることだ。
帰りに炎熱を逃れてアイス・カフェオレを飲みつつ談笑。
『K』三木卓著を読む。
詩人だった妻との出会いから逝去までを記したもの。
作者も詩人ゆえ、一つ屋根の下に同業者とは、
さぞかし辛いものがあったはず。
妻は、東北地方の大店に生まれ、東京のお嬢様女子大に進学して
カルチャーギャップに苦しむ。
家計管理なぞは苦手で、作者がやりくりをする。
そこから懇願されて、妻の詩集の刊行費を捻出する。
実夫婦を書いた小説というと、
開高健の『青い月曜日』や
阿佐田哲也の『離婚』や『恐婚』などを読んだ。
異なった風土・文化・生活習慣で育った二人、
赤の他人がそれぞれに時間をかけてルールを定めていく。
その決め事は、夫婦によってさまざまで、
まさに『おもろい夫婦』だろう。
編集者を辞めて筆一本で生きることにした作者は、
仕事場としてアパートを借りる。
まもなくそこが、生活の場になる。
本宅には妻と娘。
帰るのは大みそかという出稼ぎ状態。
恋愛期間が、ガムのシュガーコートされた甘い状態なら、
結婚後は甘みの抜けたガムのようなもので、
それでもしつこく噛み続ける。
ソクラテスの妻以降、悪妻ははびこっているが、
良妻賢母よりもエキセントリックな悪妻愚母の方が
夫や子どもは伸びるんじゃないかと
M気質(たぶん)のぼくは思う。