耳、ぴくぴく

昨日は雪。うちの猫は、空から降ってくる白いものに興味津々。
物干し台に出て、ずっと眺めていた。
黒猫の頭に白い雪降り積む。耳、ぴくぴく。


途中までの企画書を送り、急ぎのコピー案を考える。
予定していた仕事がうんともすんともいってこない。
別件の見積競合の仕事が通れば、
来月中旬から下旬は取材でバタバタする。


『若い読者のための短編小説案内』村上春樹著の続き。
評論家ではなく実作者(作家)、いわば同業者が書いたものだから、
安岡章太郎吉行淳之介などお気に入りの短編小説の魅力を
取り上げつつも、そこから作者の創作のメソッドを窺い知ることができる。
たとえばこんなとこ。暴論をまじえつつ。


○私小説作家は、ファンが読者で、きわめて近視眼的なことでも、
ファンゆえ満足すると。


当然インディーズレーベルから出すCD枚数ぐらいしか売れない。
でも売れないことが、かっこいい。芸術だもの。
文学のデファクトスタンダードたる村上作品が、パンのように売れるのは、
どうなんだ。


○小説の名手たる吉行淳之介の文章自体は、さほどうまくはないと。
おお大胆。


安岡章太郎の処女作『ガラスの靴』は、ぼくも好きな作品。


長谷川四郎は文章はうまい。しかし、小説は、それほどではない。
絵はうまいが、話はつまらない漫画家のようなものか。
ねじまき鳥クロニクル』あたりに出て来るノモンハン事件や
荒涼な風景の描写って、長谷川四郎の影響なのだろうか。


○作者が魅かれる作品に、共通して言えることは、狂気が潜んでいること。
はなっから異常な世界じゃなくて日常世界に垣間見える狂気の入口。


あとは、若いうちは外国文学やサヨク思想にかぶれ、難解な小説をものしていたのに、
中年になったら、日本回帰してやたら教条的ウヨクチックになってしまう図式。
これも、もう、いいんじゃないかって婉曲にいっている。確かに。


遠藤周作は題材にすべき短編がなかったそうだ。吉田建一は準備不足とか。
特にある種、先達的作家である吉田健一をどう読み解くのか、書いてほしい。


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