短編を七つ、書いた順に読む

短編を七つ、書いた順

短編を七つ、書いた順


しばし、ご寒暖を。
うれしくなーい。

『短編を七つ、書いた順』片岡義男著を読む。
コーヒー、街、出会い、再会。
この4つのお題で、著者は、ちゃっちゃっと洒落た短編小説に仕立てた。
軽くて深い。少ない言葉でいろんなことをイメージさせる。
セレクトショップの目利きのオーナーの如く、
登場人物、住む町、職業、好きなファッション、好きな音楽、
好きなインテリアから
人間関係を組み立てていく。
昔好きだったアーウィン・ショーの世界を見事に昇華している。
雑貨好きの女子が読んでも気にいるだろうな。

読んでいて「飲みてえ」「喰いてえ」と思わせるのは、
片岡義男村上春樹が双璧。
『人生は野菜スープ』というのも片岡作品にあったな。
この本でも、巨峰を凍らせて皮をむいて
グラスに入れる。ぶどう氷か。
そこにウイスキーを入れ、ソーダを注ぐ。
こんなレシピが紹介されている。
咽喉が鳴る。

それから作者の女性キャラは、一本筋が通っていて、
どことなくプロつーか玄人っぽい。
近所で郵便を配る女性がいて、茶髪ロン毛。
きりっとした顔つき。
密かに片岡ポストウーマンと呼んでいる。

再会もさりげなく、自然に。
しばらく使わなかった電動コーヒーミルが
コンセントを入れれば、ちゃんと豆を挽いてくれたように。
年齢を重ねて違うキャリアを積んでいたり、
容貌がちょっち衰えたりしているかもしれないが、
まともに生きているならば、中身は変わっていない。そんなもん。

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