- 作者: 小沼丹
- 出版社/メーカー: 幻戯書房
- 発売日: 2018/07/04
- メディア: 単行本
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「村上春樹のくぐもった声、
誰かに似ていると思ってしばし考える。
そうだ、かせきさいだぁだ #村上RADIO」
というツィートにいいねが2つ、ついた。
『お下げ髪の詩人』小沼丹著を読む。
扉挿画がなんとなく『文学ムックたべるのがおそい』をイメージさせる。
いまでいうところのYA小説。
どんなものかと期待しながら読む。
『青の季節』は、母の入院で東京から地方のおじの家に
預けられる中学生が主人公。
マイ自転車を持っているのだから、恵まれているのだろう。
彼と同じ学校の友人とその姉らが
くりひろげる青春行状記。
小沼丹の小説だから友人の姉に好意を持っても
行為には及ばない。
おおらかで健康、牧歌的。
子どもの頃見ていたNHKの少年ドラマシリーズのよう。
『白い少女』は絵のタイトル。
モデルになった少女の話。
湖畔の別荘、島などハイカラ風味。
寸止めの奇想小説。
切なく、はかない。
『お下げ髪の詩人』は「信州N湖のほとりにある別荘」に
住んでいるアメリカ人の少女のこと。
「初出『ジュニアそれいゆ』」。
中原淳一か。ぴったりの世界。
これも青春時代の思い出。
安岡章太郎の『ガラスの靴』を思い出した。
甘い思い出、苦い思い出は
記憶の標本箱から取り出す必要はない。
片岡義男→村上春樹という流れはあるなと勝手に思っているが、
小沼丹→片岡義男→村上春樹というのもあるのでは。