- 作者: 小島寛之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2019/01/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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同じところをグルグル回っている感じ。
昔、バリ島へ行って病み上がりのぼくは
バイクの後部座席に乗っていたが、
目的地が見つからず炎天下、付近を何周もした。
排気ガスのニオイと日焼けしてひりつく肌。
『暗号通貨の経済学 21世紀の貨幣論』 小島寛之著の感想メモ。
最も気になったところ。
「第4章 お金が社会で果たす役割」で「お金の公共性」を取りあげている。
「お金は個人に流動性や匿名性という自由を保証しますが、それは高い公共性によって支えられている、という点が重要です」
ガス、水道、電気とお金は同類だと。1万円札は日本全国で使えるし、
当然のように疑うこともなく使っている。私たちの生活のインフラの一部である。
「みんながよってたかって支える」ことが公共性であると。
それを支えているのが
「中央銀行で紙幣の発行、その数量を慎重に管理している」
暗号通貨が普及することで中央銀行は衰退する、しないとか。
諸説ふんぷん。衰退はするかもしれないが、なくなりはしないと思う。
日本がキャッシュレス社会になると、銀行は大学生の人気業種から
大幅にランクダウンするだろう。
団塊の世代以上のタンス預金がスマホ預金になって。
ボケちゃってパスワードを忘れたら大変だけど。
『伽藍とバザール』という名著があるが、それにならえば
通常の通貨は中央銀行が頂点にそびえる伽藍方式。
暗号通貨はバザール方式。オープンソース。
「ビットコインもイーサリアムも典型的なオープンソースです。
オープンソースはよってたかって改良できるので、急速な進化を
する可能性を秘めています」
オープンソースゆえ事実、暗号通貨は分裂、進化している。
ドゥルーズの概念を借りればツリーが中央銀行。リゾームが暗号通貨。
いまの紙幣は金と交換できない不換紙幣ゆえ
ただの「紙切れっぺら」にもなり得る。
それがならないのは「信念」だと。
暗号通貨はP2Pで分散化され、取引が衆人環視のもと
行なわれている。
ブロックチェーンにより
「取引のすべてが記録」され「ブロックの改竄を困難にし、ビットコインの信用性を保証することになります」
だから仮想通貨ではなく暗号通貨だと。
外国ではそう呼ばれているらしいが。
ブロックチェーンは「不動産の登記」や「特許権や著作権の」登記に向いている。
自分でできるのだから代書屋さんも商売あがったりか。
「役所の書類もブロックチェーンで管理すれば絶対に改竄や不正が不可能になる」
素晴らしいと思う。でも、導入するだろうか。
紙の書類みたいに廃棄できないからね。
「お金がなぜ、お金たり得ているのか」
それは
「「みんながそう信じるから、自分も信じるのが妥当」という
ナッシュ均衡を確立しつつあると言えます。」
ビットコインの大本には、カウンターカルチャーが流れているのだろう。
サブカルじゃないよ。
反社会、反国家。仲間との解放区。もう一つの公共性。