代理人

偽詩人の世にも奇妙な栄光

偽詩人の世にも奇妙な栄光

家電(いえでん)が鳴った。
最近は、仕事関係はもっぱら携帯電話にかかってくる。
大抵は、セールス。リフォームだの、太陽光発電だの。
留守電で確認しようと思ったら、
父の叙勲が決まったという知らせだった。
生きてるうちに、くれたらさぞ喜んだものを。
福島まで日帰りでもらいに行くのかと思ったら、
霞が関方面でも可とのこと。
代理出席は、来月か。

『偽詩人の世にも奇妙な栄光』四元康祐著を読む。
商社マンと詩人の二足のワラジを履いている作者の自伝をベースに、
これは私小説かいなと思ったら、
最後あたりに、ひねりを利かせてある。
中原中也に染まって詩をつくり、投稿して入選。
大学卒業後、商社に就職して海外勤務。
ひょんなことから海外で詩人たちのポエトリーリーディング
覗いて、作詩熱がぶり返す。
ま、詩人の栄光と転落を見せて、寓話性や諷刺を狙ったのか。
どことなくゴーストライター騒動の音楽家を思い出すが。
文壇よりももっと狭小な日本の詩壇。
たぶん登場人物も実在の人物だと思うのだが、
詩壇に詳しくない、知りたくもないぼくには、
さほど興味をひかれなかった。

外国語の詩と日本語の詩。
その間で揺れる主人公。
水村美苗とか帰国子女文学の系統に属するのかな。

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