映画の中の昭和30年代

映画の中の昭和30年代―成瀬巳喜男が描いたあの時代と生活

映画の中の昭和30年代―成瀬巳喜男が描いたあの時代と生活


『映画の中の昭和30年代』片岡義男著を読む。
「1950年代の」成瀬巳喜男の映画から
当時の人々の暮らし方、文化、風俗などを語ったもの。
成瀬巳喜男片岡義男がどう批評するか。
成瀬巳喜男の映画の良さがわかるのは、
ある程度年喰ってから、できれば、東京下町ネイティブなら
いっそう理解できるようなことを書いていたのは、小林信彦


片岡は、距離を取ってクールに分析していく。
外国人の成瀬研究家よりもクールに展開していく。
探偵や刑事ばりの観察眼。
駄作も少なくないと厳しい。
ただ量産しなければ、良作は生まれないだろう。


改めて一連の映画評を読むと、
所帯を持ったが、家計が苦しいだの、
転職に失敗して職安通いだの、
本当は好きな男がいたのに違う男と結婚したが、
その思いは鎮火しないなど、ほろ苦さのオンパレード。
「夢もチボーもない」(by東京ぼん太)中高年者には、
リアリティあり杉。何度かため息つきながら読んだ。


こりゃフィルムセンターでまとめて見ないとなと
思わせるのだから出来は良いのだろう。


夜、帰り道、虫の鳴き声が聴こえる。


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