風の強い日

あとがき

あとがき


粘り腰でいくしかないと戒める。
空っ風の中、自転車で図書館とスーパーマーケットへ。
貸し出しと買い出し。

『あとがき』片岡義男著を読む。
著者の本のあとがきを網羅した本。
ここまであとがき好きとは。
同じ本でも単行本が文庫になったり、
版元が変ったりするとあとがきも違う。
ヴァージョン違いの楽曲が多いビーチボーイズみたいだ。
ぼくはテディ片岡片岡義男とは知らなかった。
最初はラジオ『きまぐれ飛行船』かな。
で『ワンダーランド』から『宝島』。
植草甚一責任編集ってついていた頃の。
小説よりはエッセイといっていいのか
『10セントの意識革命』や『ぼくはプレスリーが大好き』のほう
が好きだった。
読みでがあって、ぼくの東京暮らしともほぼ重なる。

著者自身のあとがきだと手の内が意外と明かされていてよい。
企業秘密つーか創作上の秘密があっさり公開されている。

「小説を書き始めるにあたって、一方の端はアメリカ、
そしてもう一方の端は言葉による日本の若い人たちのコミックスという
幅のなかで、僕は自分に使うことの可能な言葉づかいを、
模索しなければならなかった」

 

創刊間もない「野生時代」で担当編集者にもっとエンタメしなきゃ駄目よと
言われたそうで。
『スローなブギにしてくれ』、『彼のオートバイ、彼女の島』は
その産物ということを知る。
ユニークなタイトルは考えるというよりも
耳にしたフレーズなどをそのままつけてしまう。
で、その時点で小説の大枠は決まっているのだろう。

著者の小説に出て来る女性は、なんかちゃきちゃきしていてカッコいい。
昔の日本映画の都会派の女優のようと思って読んでいる。
ところが日本映画を見たのはずっと後で。
確か数年前の雑誌『コヨーテ』で大瀧詠一と日本映画の対談をしていた。
大瀧には『論寒牛男(ロンサムカウボーイ)』なる楽曲があるのだから、
古いつきあいなのだろう。
先週の「大瀧詠一『ゴー・ゴー・ナイアガラ』ベストセレクション」が
プレスリーの特集だった。
プレスリーで対談、ラジオで。いいと思うが、かなわぬ夢。


この本にも、もちろん、あとがきがある。

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