純文学の逆襲

ポケットの中のレワニワ(上) (100周年書き下ろし)

ポケットの中のレワニワ(上) (100周年書き下ろし)


ポケットの中のレワニワ(下) (100周年書き下ろし)

ポケットの中のレワニワ(下) (100周年書き下ろし)

昨日は夕方から打ち合わせというのか、顔合わせで渋谷へ。
そのビルは、大昔、東急電鉄本社があったところに建っており、
南平台のオフィスに間借りしている頃、
工事中の模様を見つつ坂道を何度も上り下りした。
歩道橋から見える、打ち合わせによく使った喫茶店も
違う喫茶店になっていた。


『ポケットの中のレワニワ』(上)(下)伊井直行著、読了。
純文学の逆襲かと思うほど、長さが気にならず、すいすい読めた。
舞台は港そばの街。「俺」が育った団地は、
現在は居住者の大半をベトナム人などインドシナ系が占め、
アジア化している混沌とした一画。エキゾチック・ジャパーーーン。
んーと『機動警察パトレイバー』とかで描かれていた近未来チックな景観。
謎解き譚に、現在は電機会社のコールセンターでハケン社員をしている「俺」と
同じ小学校に通ったベトナム人女性とのボーイミーツガールを仕込んだ。
ストーリーも最後までダレることないし、破綻もなく、
キャラ造詣もよくできている。
特にオタクの「コヒビト」あたりは。
「レワニワ」は、ネタばれになるから詳しくは言わないけど、
形状は手足のないウーパールーパー状で、性質はシーモンキー
特殊な能力を持っている。おっと、ここまで。
なかなか魅力的なトリックスターぶり。
薀蓄ぶらないし、難しぶらない。
素材をふんだんに使って、アクなんかも丁寧にすくって
よーく煮込んだスープのよう。
これは売れてほしい、評判になってほしい。
テンポも小気味いい。映画化してもいい。
装画を見ると、児童書かYA(ヤングアダルト)のように思ってしまうかもしれないが、
A、アダルトが読んでも充分に愉しめる。


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