シンポジウムメモ―その2

先日の「武田シンポジウム2007」のメモの続き。
3番目は安田喜憲の講演。


「生命文明の時代を構築する新たなサイエンスを求めて」安田喜憲教授・国際日本文化研究センター


○DNAはバーコードであるが、地球のDNAもバーコードである。それを「年縞」(ねんこう)と命名する。
地球は環境の美しい記憶を遺している、保存している。年縞もその一つ。
作者が採取した年縞をプロジェクターで見せられる。感慨深い。


○美しい環境を人間が急激に破壊している。
地球の気候変動でいちばん影響を受けるのはアジア・モンスーン地帯。


○モアイの国、イースター島の年縞は1200年まであるが、以降なくなる。
1600年頃にイースター島の文明は崩壊する。
ジャレド・ダイヤモンドを引用されていた。


○日本人の心の原点は森である。
森や気候が人間の心を決める。
で、大橋力(というよりも芸能山城組と言った方が有名か)
森の音は人間の心身に影響を与えている。
風の谷のナウシカ」とか「となりのトトロ」とか…かな。


○キリスト教やモハメッド教など一神教は砂漠の世界から生まれ、やがてサイエンスを生んだ。
稲作漁労民の日本人は多神教で森、里山など自然を征服するのではなく、自然とうまくつきあう、
言うなればサステナブルなエコ・テクノロジーを確立していた。


○やがて戦略・戦闘性に秀でた肉食人種が魚食・米食人種を駆逐した。
ここらあたりは、肉食恐竜と草食恐竜の話にも似ているな。


○テクノロジーには命への心が欠落している。
慈悲の心・利他の心に立脚したテクノロジーがいまこそ求められる。
西欧型科学技術からの立脚でもある。


○技術は生きとし生けるものの幸せのためにある。
などなどメモじゃ伝わらないが、カゲキでタメになる講演であった。


●総合討論は予定調和的でなくて、意見がなかなか噛み合わなくて、それが面白かった。
日本賛美というのか、言葉の端々に中国の横暴な行為を槍玉にあげ、
最後の質疑応答で会場から「それはキケンな思想ではないか」とお決まりの質問。
ご自身で「エコナショナリストとも言われる」と締めくくられておられた。
エコはエゴとダジャレじゃなくて。
それと農林水産業、田舎の建て直しをしないとも。


『科学の最前線で研究者は何を見ているのか』瀬名秀明編を読んでいると、
ちなみに安田教授を国際日本文化研究センターに招いたのは梅原猛だそうで、なるほどなと思った。
以前reviewjapanにアップしたレビュー。
『対論 文明のこころを問う』 小林道憲 安田喜憲

こちらもおもしろそう。全24回と長いのでちびちびと。
安田喜憲先生プロフィール - WEB講義 - 環境goo


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