頭脳明晰 品行不方正

犯罪心理捜査官セバスチャン 上 (創元推理文庫)

犯罪心理捜査官セバスチャン 上 (創元推理文庫)


犯罪心理捜査官セバスチャン 下 (創元推理文庫)

犯罪心理捜査官セバスチャン 下 (創元推理文庫)


猫のエサ皿、水飲み、トイレがある。
鍵を開けると階段を駆け下りてくるような。
明け方、足をのばすとパンチされるような。
でも、いない。

『犯罪心理捜査官セバスチャン』M・ヨート  H・ローセンフェルト共著を読む。
忘れていた頃に読む北欧ミステリ。
お国はスウェーデン
猟奇的な殺され方をした少年。
犯人候補はあがるが、決定的な証拠も出ずに
事件は暗礁に乗り上げる
「国家刑事警察 殺人捜査特別班」は、困った挙句、
昔の名声頼りでセバスチャンに依頼する。
家族に起きた事件をきっかけに
ちょい悪身勝手野郎に成り下がった彼。
捲土重来とばかりに登場。
鋭いプロファイリングとゲスな行動。
真逆なものが共存する。

まさかあの人が。いかに読み手を最後まで騙しとおせるかは、
作者の力量にかかっているわけだが、
上下巻、一気に読ませるんだから、それはOKだろう。
「国家刑事警察 殺人捜査特別班」の面々とセバスチャンの単独プレイ。
セバスチャンの冴えた読みと冴えない行為。
自虐的ユーモアは好み。

セバスチャンの母親が亡くなり、
生家へ戻る。
複雑な思いはあるが、すぐに売り払おうとする。
「殺された少年」は、セバスチャンの学校の後輩でもあった。
絡んだ伏線がほどけて帰結する。着地はぴたっ!

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PPK


明け方、三四郎の『オールナイトニッポン0』を
聞きながら原稿をまとめる。
政見放送のため30分短縮。
TBSラジオに変える。

回遊魚のように徘徊していた猫が
動きを止めて、
あれほどガッツいていた食欲もなくなって。
喰えなくなったらおしまいということを
改めて痛感する。
昨日は注射器で水とエサをあげた。
抱き上げた瞬間、放尿つーか失禁された。
震えているのでホッカイロをタオルに巻いてあげた。
今日の午前中、逝く。
享年18。とか。
あっぱれなPPK(ピンピンコロリ)であった。
百鬼園先生のノラや
金井美恵子のトラーなどが
頭をよぎる。
亡くした悲しみはこれから。

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うらやま

行動経済学の逆襲

行動経済学の逆襲

 

キンモクセイの花びらが地面に落下。
ふりかけ状になっている。
駅へ向かう途中、あちこちで目にする。
爽やかな空気で匂うキンモクセイ
という印象だけど、今年はどうも違う。
昨日の夜は、もやっていた。
昼の暑さと朝晩の涼しさが霧を発生させるのか。

行動経済学の逆襲』リチャード・セイラ―著を読みだす。
同じ著者の『実践 行動経済学』が、
なんだかうまく頭に入らなかったが、この本は面白い。
とんでも理論的扱いだった新しい行動経済学という学問が、
いかに時代のメインステージに上っていくか。
だったら『成り上がり 行動経済学』でもいいじゃん。
ダニエル・カーネマンに続いて今年ノーベル経済学賞をもらった。
カズオ・イシグロに続いてまたもや版元は早川書房
ノーベル賞効果でウハウハ増刷、ボーナスも期待かな。
うらやま。ただそんなに売れそうもない良書も
ずうっと翻訳してきた姿勢には、拍手を送ろう。

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しまった しまった

バナナ (ちくま文庫)

バナナ (ちくま文庫)

 

何だ、この暑さ。
しまった半ズボンを引っ張り出す。
レギュラーの企画ネタ用の本を読む。
よく寝る子がから寝子、ネコという名前がついたらしいが、
老猫がほとんど寝なくなった。
ケージに入れればケージの中を。
外に出せば家の中をずうっとぐるぐると徘徊する。

移動中に『バナナ』獅子文六著を読む。
主人公は台湾人の父親と日本人の母親から生まれた
ハーフの大学生。恋人の女性はシャンソン歌手の卵。
自動車が好きで足りない資金を
父親に工面してもらおうとするが、断られる。
で、父親の弟が神戸で手広く商売をしていて
バナナの輸入の権利を譲ってもらう。
意外なことに商才があるのか、
最初は思った以上にうまくいくのだが。
有閑マダムの母親に
フランス帰りのシャンソン歌手の魔手が迫る。
いつものように目まぐるしくストーリーが進む。

かつてバナナは高級果物だった。
病気見舞いにもらったけど、
ぼくは、あんまり好きじゃなかった。

神戸の描写が魅力的。
南京町異人館街。
こぢんまりとしたいい都市と記憶している。
呉錦堂の別荘だった舞子の六角堂が話に出てくる。
妻の友人夫婦にクルマで案内されて行ったことがある。
大江千里に『舞子VILLA Beach』という曲があった。
いまは、ジャズピアニストだけど、
ユーミンとか言われていた。

著者も大の食いしん坊だったらしいが、
主人公の父親も負けずに食いしん坊。
出てくる料理がどれもうまそうで
空腹時には読まないように。

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高いところから



天皇は皇居の高いところから下界を見て
かまどの煙が 出ていないことに 気づき 民を救済した

長者は御殿のような新居を普請
上棟式で 餅や銭を ばらばら ばら撒き 大盤振る舞い

カメラマンは煙突に上って自撮り
トマソン煙突 高所恐怖症には恐ろしい一枚

ラスベガスのホテルの32階から男は
野外音楽コンサート会場めがけて自動小銃を乱射

宇宙エレベーターのカゴがもし外れたら
カゴは永遠に地球を周回し続けるのだろうか

ホームドアを軽々乗り越えて飛び込んだ人
高い防潮堤を楽々乗り越えた津波

乗っていた雲から落ちた仙人
若い女性の太ももにクラっと来た

谷底の高層ビル 再生よりも破壊の印象が拭えない
頓挫したバベルの塔の話をふと思い出す

 

高いところから鳥の眼で俯瞰する不遜さ
低いところから虫の眼で仰視する卑屈さ



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メタメタ


『主の変容病院・挑発』スタニスワフ・レム著には
「架空の歴史書の書評」が載っている。
ひょっとして同じスタイルの『完全な真空』の先駆けだろうか。

『ジェノサイド』ホルスト・アスペルンクス著の書評から引用。

 

ナチスは政治における新参者であった。よじ登って到達した高みでは、
その世界の権威から認められようと絶えず渇望する成り上がりだった」

 

 

最近できたエダノンじゃない方の政党にも通じるような。

 

「政治において、ヒトラーは完全に唯我独尊だった。道徳原則などは
持ち合わせていなかったか、あるいは自らの巨大なヴィジョンに照らせば
取るに足らないものでしかなかった。そしてそれらのビジョンが
次から次へ、累々と積み上がる死体の山に変貌していったのである―
この過程をカネッティほど見事に描いたものはいない」

 

 

最近できたエダノンじゃない方の政党にも通じるような。

外国人ゼロ
サヨクゼロ
のぞみゼロ
押し付け9条ゼロ
退廃芸術ゼロ

おっとつい横道に。
こういうスタイルにすると、
言いたいこと言っても、
と作者は述べているだの、作者はそう感じたに違いないだの
と言いつつ、自分の主張や考えをこっそり伝えることができる。
メタフィクション、メタメタフィクション
メタメタになって収拾がつかなくなる。んなこたあない。

読みたくなるから、すごい筆力。
「架空の歴史書」を知らなかったら
ネット検索したかも。

ナチス・ドイツに占領された体験からの
反戦反核、反ジェノサイド。

原稿を送ってから仕事の資料本を買いに行く。
リアル書店は立ち読みができるので
つい長居をしてしまう。
まだカズオ・イシグロコーナーは
できていなかった。

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