メタメタ


『主の変容病院・挑発』スタニスワフ・レム著には
「架空の歴史書の書評」が載っている。
ひょっとして同じスタイルの『完全な真空』の先駆けだろうか。

『ジェノサイド』ホルスト・アスペルンクス著の書評から引用。

 

ナチスは政治における新参者であった。よじ登って到達した高みでは、
その世界の権威から認められようと絶えず渇望する成り上がりだった」

 

 

最近できたエダノンじゃない方の政党にも通じるような。

 

「政治において、ヒトラーは完全に唯我独尊だった。道徳原則などは
持ち合わせていなかったか、あるいは自らの巨大なヴィジョンに照らせば
取るに足らないものでしかなかった。そしてそれらのビジョンが
次から次へ、累々と積み上がる死体の山に変貌していったのである―
この過程をカネッティほど見事に描いたものはいない」

 

 

最近できたエダノンじゃない方の政党にも通じるような。

外国人ゼロ
サヨクゼロ
のぞみゼロ
押し付け9条ゼロ
退廃芸術ゼロ

おっとつい横道に。
こういうスタイルにすると、
言いたいこと言っても、
と作者は述べているだの、作者はそう感じたに違いないだの
と言いつつ、自分の主張や考えをこっそり伝えることができる。
メタフィクション、メタメタフィクション
メタメタになって収拾がつかなくなる。んなこたあない。

読みたくなるから、すごい筆力。
「架空の歴史書」を知らなかったら
ネット検索したかも。

ナチス・ドイツに占領された体験からの
反戦反核、反ジェノサイド。

原稿を送ってから仕事の資料本を買いに行く。
リアル書店は立ち読みができるので
つい長居をしてしまう。
まだカズオ・イシグロコーナーは
できていなかった。

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