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M・R・ジェイムズ怪談全集〈1〉 (創元推理文庫)

M・R・ジェイムズ怪談全集〈1〉 (創元推理文庫)


音声データ起こしをやっと終わった昨日。
それを送ってから、まとめる作業にかかる今日。
いい内容だから大幅に削るのが大変そう。

『M・R・ジェイムズ怪談全集 1』を読んだ。
で、『M・R・ジェイムズ怪談全集 2』を読んでいる。
名門パブリックスクールイートン校の学長などを務めながら
クリスマスに自作の怪談を読み聞かせていたそうだ。
それを小説にまとめた。
東大総長を務めた蓮実重彦はポルノを書いたが、
蓮実先生が怪談を発表するようのものか。
怪談はやはり古色蒼然たるところが似合う。
病み、闇、埃、古本、古道具、古女房。
それにしても舞台装置が手練れ。
消えては現れるないはずの「十三号室」や
「銅版画」の動き出す人物たち。
謎を秘めたイングリッシュ・ガーデン、などなど。
ここで探偵が出てきて因果関係を明かしたら
本格ミステリになるんじゃね。

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トンボ返り

昨日は母の七回忌と父の三回忌で帰省。
合同でやるとセット割になった。

朝早めの東北新幹線からの眺めは、東京から離れるにつれ、
水田や畑が多くなる。
植えたばかりの稲の緑と黄金色に色づいた麦とのコントラストが
美しい。流れる新緑。水無し川。
那須連山にまだ雪が残っていた。
お寺へは1年ぶりか。
法事へ行く身内が次第に減ってくるのは
自然な流れだから仕方ないことだが、一抹の寂しさを覚える。

先代の住職の奥さんから、両親との意外な関係を知らされ驚く。
と言っても要するに幼なじみだったらしい。
個人名を出されてもよくわからない。
一人だけ、なんとなくわかったのは母の同級生と思える女性。
本堂も東日本大地震で被害を受けたそうだ。
倒壊こそ免れたものの、大規模改築したそうだ。

読経など儀式が済んだ。
裏手の墓地へ行く。
新たに入った叔父の墓へ行き合掌する。
ここも大半が倒れたようで新しい墓石ばかり。

昼食後、市営の共同霊園へ。
強烈な日差し。
行き帰りの車の中で親戚関係の近況を聴く。
先月亡くなった人に線香をあげに。
うちには老猫がいるが、
その家には老犬がいる。
元気なときは、活発に動いてよく吠えたが、
いまはゆっくりと動いてはすぐ腹ばいになる。
墓に形だけ備えてた薄皮饅頭が、
ほかほかだった。
日差しで熱くなった墓石のせい。

体調不良で欠席した子どもが
腹を空かして待っていると妻にLineが来る。
東京駅構内で駅弁を買う。
すごい人だかり。
その昔、上野駅の駅弁はおいしくなかったが、
それがどうだ。昨今の駅弁の味の向上ぶりは。
黒の礼服を脱いでTシャツ、短パンで駅弁を食べる。
冷えた発泡酒が、んまい!!

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ふう~

 

難易度の高い原稿にかかりっきりになっていた。
これでダメならもう書けまっせーん。

録音しておいた
TBSラジオ『オーディナリーミュージック』シンリズム編を聴く。
新曲がポップ感にあふれ、キラキラしている。
ちょっと聴いてえ。

『M・R・ジェイムズ怪談短篇集 1』を読む。
欧米の怪談のルーツめぐりもここまで来た。
紀田順一郎の翻訳ってはじめて読むかも。
平井呈一が黄門様なら紀田順一郎が助さん、荒俣宏が格さんか。
アンティークでクラシカル、
品さえ感じさせながら抑えた怖さがあとから来る。

無理やり共謀罪を成立させた政権の罪は、狂暴罪。

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まとまらない系

分解する

分解する

 

いろいろブログに書きたいものがあるが、
まとめるまでいかないので
短く感想メモを。

『分解する』リディア・デイヴィス著を読んでいた。
この本は例によっていろんなテイストの短い話が
詰まっている。
ほんとうに短いのは、どことなく自由律俳句っぽい。
『分解する』は、恋の清算を清算する話。
ゲスじゃなくても、別れると、いくら彼女(彼氏)に使ったかって
ふと計算する気分。
懐かしい気分。
別れた夫が出てくる。
ポール・オースターのことか。
この訳文がとても気に入ったので引用。

 

 

「声の大きなミルドレッドは私の下の階に住んでいる。
上の階にはコネチカット出身の若い女が三人住んでいる。
一階の部屋には女ピアニストと二人に娘が、
地下にはレズビアンの女たちが住んでいる。
私は善良な市民で、母親で、夜は早く寝る。
でもこんなアパートで、
どうやって普通の生活を営めというのだろう。
ここは飛びはね躍るヴァギナたちのサーカスだ。
十三のヴァギナに、たった一つのペニス
―私の幼い息子の」

 

 

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仕事は重なる

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編


ひと山越えたと思ったら、
ひと山が突然浮上して。
平成新山かよ。
法事も控えているつーのに。

で、『騎士団長殺し村上春樹著を読んだ。
村上作品の焼き直しとか、マンネリズムだとか、
いろいろネット上でもささやかれていたけど。
ぼく個人では、楽しめた。
著者に対する見方が厳しいものがあるのは、
期待が高いからなのか。
パンみたいに売れるから。
あるいは女性にモテキャラだからという
嫉妬からくるものなのだろうか。
例えば山下達郎の新しいCDが出たとして、
マンネリやいつものワンパターンとかは
言わないだろう。

大枠でくくると、
自分探しの旅の大きな物語
小説がエンタメ系の王者だった頃への
リターンマッチ。
バルザック並みの俗物キャラ。
そこに絡む絵画から抜け出た
騎士団長をはじめとしたキャラは、
ジブリのアニメーションのようで。
第二部後半、肖像画家の主人公が
地底国をさまようさまは、
RPGの1ステージのようで。
出あうキャラから情報を入手したり、
自分のアイテムを交換したり。
わくわくした。

ロス五輪の閉会式で
東京から土管をくぐって
地上に出たマリオ。
実は、総理大臣だったというシーンも
思い浮かべてしまった。
祖父がキシとか言う。
ほら、つながった。

主人公と友人の関係、
肖像画を依頼したIT長者の接し方は、
レイモンド・チャンドラーのハードボイルドものに
流れるホモソーシャルっぽさが濃厚で。

ハッピーエンドかどうかよくわからない終わり方。
元のさやに戻る。
でも、元ではなくて
何らかしら修正された、ヴァージョンアップされたさや。

缶ビール―実は第三のビール―を最近よく飲むようになったのは、
気温のせいもあるが、この作品の影響もある。

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怪談のパターン

恐怖の愉しみ (上) (創元推理文庫 (535‐1))

恐怖の愉しみ (上) (創元推理文庫 (535‐1))

恐怖の愉しみ (下) (創元推理文庫 (535‐2))

恐怖の愉しみ (下) (創元推理文庫 (535‐2))

 

『恐怖の愉しみ(上)(下)』平井呈一編訳を読んだ。
千差万別、怖いバラエティを堪能する。
堪能しつつ、おぼろげながら怪談のパターンというかフォーマットが
見えてきた。


パターン1.幽霊が出るぞ、出るぞと小出しに脅かして最後に出るパターン


パターン2.思いもかけないところで出る 不意打ちパターン


パターン3.最初から出るパターン


パターン4.出るぞ、出るぞと思わせて結局出ないパターン


パターン5.ひょっとしてあれは幽霊だったのかという時間差出現パターン


パターン6.幽霊屋敷、幽霊乗合馬車、幽霊ホテル、幽霊骨董店、場に憑りつくパターン


パターン7.幽霊のせいではないが感化され気が病んでいくパターン
     a-ひたすら鬱というか内に籠るパターン
          b-誰かれなく暴力や殺戮に出るパターン


パターン8.時制や土地、現世・彼岸を超えるパターン


もっと怖いのは、原稿のワンパターン。
受け取る方がね。

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忘れ物

話の終わり

話の終わり

 

昨日は短パンでも暑かったのに、
同じ恰好では、うすら寒い。
昨日、夕方の仕事、忘れ物をして戻る。
小学校の時、給食着を忘れて戻らされたことを思い出す。
熱いお茶をすすりながら、キーボードを打つ。

『話の終わり』リディア・デイヴィス著を読む。
翻訳をして小説も書いて大学で教えている女性が
かなり年下の男子学生と恋仲になる。
やがて男子学生の心が離れていく。
諦めきれない女性の心には、未練と恨みと後悔が。
と、書いてしまうと凡庸な恋愛小説かと思われるだろう。
でなきゃ増田(はてな匿名ダイアリー)とか。

回想スタイルに本物の「私」と小説の「私」が錯綜する。
現実と虚構。現在と過去。
どことなくミシェル・ビュトール
ヌーヴォーロマンをイメージさせる。
でも、別れた恋人を追う主人公の行動は、
トーカー一歩手前だし。

「彼が去ってしまった今になって、彼に対して前よりも
優しくあたたかな気持ちを持つようになったが、もし本当に
彼が戻ってきたらその気持ちも薄れてしまうのは目に見えていた」

 

 


わかる、わかる。恋愛、あるあるの代表的なやつ。

「翻訳はいついかなる時でもできる仕事で、しかも不幸なとき(原文ママ)のほうがはかどった」

 

仕事に逃げるというかのめり込むことでその間は忘れることができる。
でも、帰宅してお風呂に入ってメイクを落として
鏡に向かうと、彼の姿が浮かんでくる。

突き放したような文章の合間に、突如、
引用したような文章が随所にあるから最後まで読ませるのだろう。


訳者である岸本佐知子のあとがきを読むと、
作者はミシェル・ビュトールやミシェル・レリスの翻訳を
していたと。



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