穴があったら入りたいか

 

ホール (Woman's Best 韓国女性文学シリーズ5)

ホール (Woman's Best 韓国女性文学シリーズ5)

  • 作者: ピョン・ヘヨン,カン・バンファ
  • 出版社/メーカー: 書肆侃侃房
  • 発売日: 2018/10/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る
 

 

 

ETV特集「反骨の考古学者 ROKUJI」を見る。
ハライチ岩井が演じているのだが、顔がくりそつ。
芸人は俳優になるのはたやすいが、
俳優が芸人になるのはきわめて難しい。
その実証例。
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/20/2259673/index.html

 

 

『ホール』ピョン・ヘヨン著 カン・バンファ訳を読む。

著者の本は『アオイガーデン』に次いで2作目。

 

本作は「2017年シャーリィ・ジャクスン賞長編部門受賞」。
シャーリィ・ジャクスンと言えばルース・レンデルとともに
元祖イヤミスの女王と個人的に思っている。

 

イヤなミステリー。
人間の隠したい、隠されている部分を
あえてさらけ出す。
建前の見え隠れする本音、本性。
露悪趣味だろうが、そこが人間的でおもろい。

 

『ホール』は、自動車事故で寝たきりになった大学教授の目線から
義母やかいがいしく世話するヘルパー、医師、理学療法士
行動や言動をとらえる。

 

作家志望だった妻は、同じ自動車事故で亡くなる。

短い夫婦生活。
夫と妻の価値観やライフスタイルの違い。

新居に越してから
妻は庭づくりに夢中になる。
土壌改良からはじまって
理想はイングリッシュ・ガーデン。
爪の中にまで入った土。
そんな手でつくられる料理に夫は辟易気味。

 

すべてが不自由になって帰宅。

娘を亡くした義母が、かいがいしく世話をする。
しかし、どうしてもヘルパーが必要となる。
やっと見つかった中年女性のヘルパー。
経験豊富のベテランは表の顔だった。

 

娘が手がけていた庭に穴を掘り始める義母。
なぜ、穴を。
ボケてしまったのか。
彼への食事もおざなりになる。

 

イヤなことばっかり起きるが、
彼はわずかだけど回復していく。
足は使えないが、腕はなんとか使えるようになる。

ベッドから降りて
室内から室外へ。だが…。

 

介護者は、被介護者の世話をする。
ビジネスライクで接しているつもりでも、
上から目線だったり、どこか蔑んでいたり。

 

事故で発声することができなくなった彼は、
ホイッスルを二度吹いてヘルパーを呼び出す。
すぐには来ないヘルパー。

 

『アオイガーデン』の拙レビュー
http://soneakira.hatenablog.com/entry/2018/10/19/131643


人気blogランキング