いまは昔の

戦争育ちの放埓病 (銀河叢書)

戦争育ちの放埓病 (銀河叢書)

 

今日は昔の体育の日。
東京オリンピックの開催日。

『戦争育ちの放埓病』色川武大著を読む。
作者は阿佐田哲也という筆名もあるが、
もっぱら色川名義の作品を読んできた。
まずは『怪しい来客簿』。波動砲のような衝撃を受けた。
凄みと出てくる人間のキャラが濃くて。
確かに昔、町内にはいろんな人がいた。
いい意味でも、悪い意味でも。
『離婚』『恐婚』は、私小説なのだろうが、
まさに都会のおもろい夫婦。
狂人日記』は純文学濃度が高くて悲惨なまでに実存的に暗い内容だった。

この本は単行本未収録エッセイがつまったもの。
元不良少年でアプレだった作者は
更生(?)して編集者から作家になる。
そのあたりのことが書かれている。
洒落ていて軽くて、でも重たいことが書かれている。
作者が強いのは麻雀などのギャンブルだけではない。
十代はじめに浅草で見た映画や軽演劇やジャズなどの音楽にも
造詣が深い。
うんちくを垂れるマニアではなく
ただの観察者、目撃者。

多方面に知り合いが多く、
その交遊録も楽しい。
ほとんどの人が物故されたが。
和田誠の初監督作品『麻雀放浪記』。
ぼくも映画館で見たが、
モノクロの戦後上野の風景をいまだぼんやりと覚えている。
タイムスリップできたら
都電(市電)で東京の街めぐりをしたい。
この本で知ったが、亡くなった母と同い年だった。

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