コロナの時代の哀

 

白い病 (岩波文庫)

白い病 (岩波文庫)

 

 

『白い病』カレル・チャペック著 阿部賢一訳を読む。

ジャケ買いならぬカバー買い。

 

いつ戦争が勃発してもおかしくない世の中。
国は軍需産業に力を入れて戦争に備え武力を強化する。

その背後を突くように謎の伝染病『白い病』が襲来、猛威をふるう。
未知の「疫病」。なすすべもなく死に至る人々。
あちこちで漂う死臭。紛れもなく「パンデミック」と化す。

 

しかし、『白い病』の治療法を見つけた人がいた。
「貧しい方の診療をしている」ガレーン博士。

 

枢密顧問官は治療法を訊ねる。
しかしガレーンは答えずに、ある条件を出す。
戦争を止めるなら答えると。拒否される。

 

軍需産業の元締めクリューク男爵が『白い病』に罹る。
貧しい身なりに変装してガレーン博士を訪ねる。
治療を依頼するが、結局、断られる。

 

リューク男爵は元帥に病気のことを打ち明け、「軍需工場の製造を停止すること」
を懇願する。しかし、それはできないと。


まもなく『白い病』は元帥にも。しかし、戦争は起こる。

ガレーン博士の治療を受けるため、世界平和のため、

元帥は始まったばかりの戦争を泣く泣く終結する決断を下す。


熱狂した人々は「戦争万歳!」「元帥万歳!」と叫ぶ。
元帥の診察に行く途中、戦勝反対を意思表示したガレーン博士。
「裏切り者」と言われ…。


小説ではなく戯曲なんだけど、すいすい読める。
『白い病』の蔓延する怖さと戦争を止めない政府、政治家の愚かさ。

スペイン風邪を下敷きに1937年に書かれた作品。


「白い病」を「コロナ」に。「戦争」を「経済」に置き換えると、
あらら、今の状況にぴったりとあてはまる。

 

こんな会話が出て来る。

 

ジーゲリウス(枢密顧問官)によれば、この病気は中国発なんだと、興味深いな」

 

「今日の学問や文明はいったいどうなっているんだ、ありえん話だ―伝染病がこんなに流行しているってことは、今は中世だとでも言うのか?」

 

あらら、今の状況にぴったりとあてはまる。

 

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