- 作者: 獅子文六,千野帽子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2018/03/07
- メディア: 文庫
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しまった冬物をひっぱりだす。
『ロボッチイヌ 獅子文六短篇集 モダンボーイ篇』
獅子文六著 千野 帽子編を読む。
『ロボッチイヌ』って読む前は、なんとなくロボットイヌ、
アイボのようなものかと思ったら違った。
ロボットのフランス語女性名詞風。
「ロッボティーヌ」なのかな、いまの表記なら。
女性ロボットのこと。
しかも美人で従順、働き者。
水商売の女性がショーバイあがったりと
抗議運動を起こす。
なんだかAIが普及するとなくなる職業にも通じる。
オチが見事。
ふと、ボリス・ヴィアンの『醜いやつらは皆殺し』を思い出した。
こっちは美人人造人間だけど。
発表が昭和34年。
星新一のショートショートの名作『ボッコちゃん』が
昭和33年に発表されている。
フランスへ留学していた作者のフランスを舞台にした短編が
いくつかあるが、どれもひねりがきいている。
中でも『われ過てり』が二転三転するストーリーで白眉。
『文六神曲編』は、作者が胃潰瘍になって吐血したことを
自虐的に書いたもの。
『霊魂工業』は、新興宗教をアイロニカルつーか、
カリカチュアしたもので、いまのスピリチュアルブームと
同じじゃん、変わってないねと思わせられた。
昭和11年の作品とは。
ネット検索したらいみじくも大本教弾圧がその年。
うろ覚えなのだが、お笑いネタで夢オチは厳禁だったような。
文六先生、夢オチを使ってらっしゃる。