みんなCM音楽を歌っていた―大森昭男ともうひとつのJ‐POP
- 作者: 田家秀樹
- 出版社/メーカー: スタジオジブリ
- 発売日: 2007/08
- メディア: 単行本
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『みんなCM音楽を歌っていた―大森昭男ともうひとつのJ-POP』田家秀樹著を、陽だまりの中で読む。
三木鶏郎門下だったCM音楽の草分け、大森昭男とはっぴいえんど、シュガーベイブ(山下達郎、大貫妙子)、
ムーンライダーズ、Y.M.O.など以下名だたるミュージシャンとのコラボレーションによるCM音楽クロニクル。
いわばJ-POPの源流であるその変遷は、まさに時代、文化の変遷でもある。
15秒、30秒のTVCMでの音楽の果たす役割。いかに短い時間でアテンションを与えるか。
ミュージシャンにとっては格好の実験の場であり、経済的にもおいしい仕事だったようだ。
黎明期は、商品や企業名の連呼型が大半だが、やがてTVCMの成熟期とともに、
CM音楽も多彩になっていく。
ブラウン管の向こう側、お茶の間では、いまと違って家族で同じ番組を見ていた。
チャンネル争いとか、もう死語になったが。
CMとはコマーシャル・メッセージの略だけど、いまよりは、届きやすかったろう。
マスキャンペーンも効いて、CM音楽からビッグヒットが生れるようになった。
この本にも出ているが、それは単なるタイアップではない。
はじめに商品ありき。キャンペーンの核となるキャッチコピーありき。
TVCMならどのミュージシャンもしくは楽曲を起用するのか、
広告代理店、CM制作会社、CM音楽会社各担当スタッフの思い入れもあったろう。
乱暴にいってしまえば、マーケティングデータよりもカンレベル、パーソナルレベル(BtoCならぬCtoC)での。
部分部分では知っていたことが、大森へのインタビューで一気通巻させられる。
んで、録画しといた「NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 ウェブデザイナー・中村勇吾」を見る。
言葉から音楽、そしてビジュアルコミュニケーション、デザインの時代なのねと再認識。
自分自身での試行錯誤、過去の系統だった知識よりも臨機応変な反射力が大事だと。うーむ、そうか。
個人の反射、カン、読みがやがてトレンドとなる。
これは、「みんなCM音楽を歌っていた」頃と同じ方法論なんじゃないだろうか。