シンポジウムレポート(1)

「武田シンポジウム2008」
のきわめてラフなレポートを。メモ及び予稿集から一部を引用しつつ。


講演1「リスク評価の知恵」
中西 準子(産業技術総合研究所 化学物質リスク管理研究センター長)


まずリスク、リスク評価とは何であるか。最後のディスカッションでの
中西先生の話がわかりやすいので、紹介。ざっとこんな按配。


「水道水の塩素殺菌(主成分がクロロホルム)により生じるトリハロメタン
発ガン物質といわれるが、ガンになるリスクと殺菌せずに生水を飲用して
腸炎、コレラ、赤痢などになるリスクと、どう折り合いをつけていくのか」


とかくあれかこれか、二項対立で(時にはヒステリックに)白黒つけたがるが、
そうではなく、現実的な側面で科学的に、妥協点を見出す、
「一定のレベルのリスクを許容する(農薬などの法律)」
これがリスク評価なのだと。


「リスクを避けようとして選択」を人はしてきた。
その経験知から「リスク予測の精度を上げ、リスク回避の確率を上げてきた」。


中国製冷凍ギョーザ事件も、恐らく中国の食品工場は、HACCPなどを導入していた。
だから、割りと速い時点で、農薬は製造工程では混入されないことが
トレースされた。それは真実かもしれないが、真相はなかなか解明できない。


リスク予測は、過去のデータに基づいて行われるのだろう。
だとしたら、いままで起こらなかったリスクは、予測不可能なのだろうか。
人的行為なら否といえるだろう。
突発的な自然災害は、どうなのだろう。それすらも織り込まれてのリスク評価であると。


やたら目にする安心・安全という言葉。
これもほんまかいなと思うぐらいでよいのでは。


「(人は)安全という領域があると思っていた」と先生の一言。確かに。
絶対じゃなくて相対的。危なくないと近似値かも。
安全神話崩壊、これも常套句的に使われるが、ま、安全神話幻想ってとこで。


中西先生は、いまは「ナノテクノロジーのリスク評価」に取り組んでいる。
このような「新規技術」には、「有害性評価の暴露の管理」と
「順応的管理」の2本立てでいかなければならない。


詳しくは、先生のWebまで。
雑感365-2006.11.7「ナノテクリスクの順応的管理」


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