仏頂面男

 

ボツネタで原稿をまとめるところだった。
こういうことが多くなってきた、ボケかな。
つーか、あらかたまとまっていたので残念、断念。

クチナシの白い花と香気もよいが、
ザクロの小さな朱色の花が一面に咲いているのもいいもんだ。

サミュエル・ジョンソンが怒っている』リディア・デイヴィス著を読む。
これは短編映画、これはラジオドラマ、これは漫画、これは紙芝居と
勝手に決めつけながら読む。
断片や部分、小説の吊るし切り。無駄なところはない。アンコウか。
漁船に乗って釣りたての魚を海水でしゃぶしゃぶして食べる、みたいな。
いやいや、計算はあるだろ。すべてオートマティズムじゃね。
表題作は、わずか一行。


「蘇格蘭(スコットランド)には樹というものがまるでない。」

 

 

マリー・キュリー、すばらしく名誉ある女性』が、気になる。
訳者である岸本佐知子のあとがきを読むと、
「わざと下手な英語で書かれた文体」だそうで、
なら、翻訳も下手に訳してあるのか。そうとは思えないが。
『<古女房>と<仏頂面>』。
このタイトルにひかれる、邦訳が良いのか。
偶然だが「仏頂面男(ぶっちょうづらお)」というキャラを考えたことがある。
大学で仏文専攻。仏具販売店の部長職。好きな作家は大仏次郎

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伝記グルーブ

死してなお踊れ: 一遍上人伝

死してなお踊れ: 一遍上人伝


土曜日の夜、仕事を早めに切り上げて
帰り道にコンビニに寄って発泡酒でも買って
風呂上がりに飲むか。計画を立てて(長い!)
タンマ君みたいにノドを鳴らしながら渋谷駅に向かう。
不運にも急行で次を待つ。
来た。が、出ない。出ない。まだ、出ない。
混む、混む。リュックは前に回せ。
渋谷、池尻大橋間で白煙が出たとかで
結局、運行ストップ。
何だよ。バス乗り場に向かう。
慣れているのか、みな平然とバスを待つ。
家の最寄りの一個前のバス停前にはコンビニがあるが、
すっかり、そんな気分でもなくなって、とぼとぼ帰宅。
かかった時間は徒歩で帰るのとそんなに違わない。
発泡酒はないので麦焼酎をロックであおる。

週末、『死してなお踊れ 一遍上人伝』栗原康著を読む。
一遍上人の伝記なのだが、作者の手にかかると
生々しく下世話に一遍が動き出す。
鎌倉時代は新興仏教カンブリア紀だった。

私事だが、うちは真言宗なので葬儀もそのスタイルで
慣れていた。ところが、身内は浄土宗で葬儀は
やたら南無阿弥陀仏の念仏を唱えさせられた。
こうも違うのか。
妻のところも浄土宗だったな。
ああ参列者が一斉にミニ木魚を叩いて念仏を唱えた。
一遍は踊り念仏の提唱者なのだから、
時宗の葬儀では躍らないといけないのかしらんと。
その激しい踊りは、パンクやレイブみたいだし。

一遍は水軍の武家の出でわけあって仏門に入る。
頭は良かったが、どうも枠にはまるのが大嫌いみたいで
既成の仏教や僧侶に批判的。
だとしたら僧侶に毛嫌いされたかというと、
そうでもなかったことをこの本で知る。
ナリは小汚いが、話せば学がる。仏教にも詳しい。
家柄のよさそうだし。

南無阿弥陀仏を唱えて踊れば誰もが極楽に往ける。
寺も墓もバカ高い戒名も法要もいらない。
いやあカゲキ。アナーキー
大衆の気持ちを鷲づかみにしたことだろう。
いま、蘇ったら、ウケること必至。
宗派を超えて坊さん連中は、結託して既得権益を守るために、
ゴルゴ13に狙撃を依頼するかも。

鎌倉時代のパンク上人は、踊念仏を広めるために全国行脚する。
聖地や思い出の地や憧れの地の巡礼と布教活動。
生と性と死と屍と念仏。
『日輪の翼』中上 健次著を思い出した。
「裸を見るな。裸になれ。」という往年のパルコのキャッチコピーも。

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屋根の上の猫


紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)

紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)

 

生保会社の季刊誌の漫画、6コマから8コマの構成が、
ようやくまとまる。
日光浴をさせていた猫が
バルコニ―の隙間から下の屋根に。
無理やり首根っこをつかまえてサルベージする。
興奮状態で噛まれる。
皮がむけたくらい。
噛むのも引っ&#25620;くのも衰えてしまった。
落下防止ネットか何かがいるか。

『紙の動物園』ケン・リュウ著を読む。
SF界のトリプルクラウンに輝いた表題作をはじめ、
15の短篇集。
中国、日本、アジア。
過去、未来と縦横無尽に書かれた世界は、
ハードSFというよりもエンタメ系で十分に面白い。
嫉妬する出来栄え。

『紙の動物園』は、純文学だろ。
著者が日本人だったら『オリガミ』とかつけるかも。
中国移民の母ゆえ英語より中国語が得意。
アジア人蔑視の白人の国で
精神が白人化していく息子。
面映ゆく思っていただろう、きっと。
貧しいゆえ母の折った折り紙が玩具。
しかも、動く、吠える、噛みつく。
で、なかなかに強い。
紙の動物が動くシーンは映像にするなら
ローテクなコマ撮りでお願いしたい。
最後のシーンで不覚にもほろりと来る。

日本の巨大ロボット物が世界(の子どもたち)に与えた影響。
それとなく中国共産党批判。
リスペクトするSFへのオマージュ。
何か新しさと親しみを覚える。

編訳者がイチオシの『良い狩りを』って、モンハンか。
「妖狐の娘と妖怪退治師の末裔」のボーイ・ミーツ・ガール。
香港が舞台で、ポップな感じ。
こちらも新旧香港が混然として魅力的。
後半は『攻殻機動隊』の義体をもっとフェッティシュにして
結構エロいっす。
ウォン・カーウァイの映像を思わせる。

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証拠あんのか

計量経済学の第一歩 -- 実証分析のススメ (有斐閣ストゥディア)

計量経済学の第一歩 -- 実証分析のススメ (有斐閣ストゥディア)


先日のエントリーをうっかり消去してしまった。
朝、雨だったのでクロックスの長靴をおろす。
軽く快適だけど、スネに当たる感じ。
何かと似ている。(ややあって)スキーブーツだ。

計量経済学の第一歩 実証分析のススメ』田中隆一著を読む。
入門書で良書とのことで、
読むと確かにそうとは思うが、話がやや深くなると、どうにも。
昨今話題となるエビデンス
証拠や科学的根拠と日本語だとそうなる。

エビデンスとは、同じことをやればだれがやっても同じ結果が出るという再現可能性を持つ科学的手法によって手に入れた知恵のことです。
近年、政策形成の場においてその重要性は高まっています」

 

 


なるほど。そこが重要なのね。
ふと、

 

「科学は反証できるものでなければならない」

 


カール・ポパーが常々口を酸っぱくして言っていた
反証主義とほぼ同義に思える。

子どもや我が国の総理が言い出しかねない
「証拠あんのか」
「なら、証拠、出せよ」とかの類とは違う。

だからいろんな方向から検証したり、
サンプル数などもある程度必要となる。

最初に結論があって、それを導くための後づけ・先づけ理論じゃない。
結論にオチを求めるな。

 

「政策の「効果」とは、政策を行うことによって結果を変えることが
できるという意味で、因果関係でなければなりません」

 

どういうことか。これからの宿題。
知りたい人は、読んでみて。

いっとき話題となった「朝ご飯を食べると成績がよくなる」も、
検証してみると、因果関係ではなく相関関係だと。
この手の事例は、結構あるはず。

TVのネタがSNSなどの情報のケモノ道で広まると
店頭からヨーグルトや納豆が買い占められたりする。



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ブッキッシュ・ゴースト・ストーリー

M・R・ジェイムズ怪談全集〈2〉 (創元推理文庫)

M・R・ジェイムズ怪談全集〈2〉 (創元推理文庫)

 

狭い路地での新築工事。
鵜の目鷹の目の古株住民。
越して20数年経つが、
いまだにうちは新参者のボロ家の住人。
二階から工事の模様をのぞこうとしたら
クチナシの白い花が目につく。
いつ、咲いた。

『M・R・ジェイムズ怪談全集 2』を、ちびちび読んで最後まで。
「書斎のエロティシズム」を謳っていたのは、澁澤龍彦だった。
本や絵画や写真などを紐解いて脳内にエロ帝国を建設する。
それが、本来のエロだった。意訳するこんな感じだったと思う。
M・R・ジェイムズは「書斎のゴースト・ストーリー」。
怪談作家は余技で、本来は学者・研究者、教育者。
ブッキッシュ感が半端ない。

「古い本の中に紙片が挿み込んであるものは、私の経験ではよくあることだ。ただし、その内容が興味深いものであるためしはほとんどない。
にもかかわらず、やはり興味のあるものが挿み込まれている場合もあるので、よく見もせずに破り捨ててしまうことだけはやめたほうがよろしい」
(『二人の医師』より)

 

ナイスまくら。潔癖症の女性がいて、
図書館や古書店の本は生理的にダメらしい。
誰がさわったのかわからないと。
そこが怪談やミステリーの種子になんrのだよ。
ぼくも借りて読んでいた本から何かパラパラと落ちてきた。
虫の卵かと思ったらポテトチップスの残骸だった。
よくあるのが書店のしおり、
変わったところでは、消費者金融のレシートがあった。

 

「はじめて訪問した家の書斎に案内されたときなど、主人からのそれ以上のもてなしは不要というわけだ。彼はバラバラになっているセットものを正しい位置に並べ替え、女中がはたきをかけながら嫌気がさして逆さまに突っ込んだ本を、きちんとなおしてやる。それは本に対するささやかな慈善行為のつもりなのである」
(『隣の境界標』より)

 

 

これもナイスまくら。共感できる冒頭から徐々に怖い度が増していく。
書店で本の上にバッグなどを置く輩が、ひそかに我慢ならない。
そういうあなたに、読んでもらいたい。

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マネキンおばさん


ある日、風邪を引いて市の総合病院に行ったとき、
にぎやかなおばさんがいた。
聞く気はないのだが、
力なく重たい『家庭画報』を開いていると、
大声が否応なしに私の耳に響いてくる。
どうやら学校給食をつくっている人らしい。
仕事で給食をつくっているから、
家では料理はしないと言い切る。
それでガハハと大笑いする。
風邪らしい。そうは見えないが。
知り合いのおばさんにあいさつして
外へ出る。
煙草を吸いに出たようだ。

ある日、スーパーマーケットへ行った。
マネキンおばさんがいた。
マネキンお姉さんは大抵恥ずかしそうに
商品の案内をするが、
マネキンおばさんは堂々としている。
その日のマネキンおばさんは強力だった。
店中によく通るがらがら声。
しかもアドリブで客いじりをする。
「帽子の似合うお兄さん、どうソーセージは、食べてみて」
「サングラスが決まってるお姉さん、これからデートなの」
「病み上がりのお父さん、ソーセージで滋養つけて、
過労死に負けちゃダメ」
とっさに隠れた私。大回りでヨーグルトを買う。
ソーセージを勢いで買わされた女性は
それを違う売場に置いていく。

マネキンおばさんは何者なのだろう。
売れないピン芸人のアルバイト。
ピン芸人になる前は漫才をやっていて
ドサまわりをしていた。
学校給食をつくるのにあきて
マネキンおばさんになった。
地球を探りにきた異星人のカモフラージュ。

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大問題

洗濯物を浴室乾燥機で乾かす。
ついでに、傘も、濡れた衣服も。
部屋がくさい。
玄関先の猫のトイレを見たが、
大はない。
と、思ったら、床に…。
おまけにスリッパで踏んで
ゆるい大なのでコケそうになった。
やれやれ。

吐瀉物(ゲロ)や毛玉を吐いたりは
あったけどね。
濡れるのが死ぬほどイヤだったのに、
いまは平気になった。
忍び足が得意のはずなのに、
爪を引っ込めることができなくなって、
音を立ててぐるぐる歩き回る。
徘徊か。

親の下の世話はしなかったが、
無責任に任せっぱなしだった。
猫の下の世話をするとは。
窓を開けて換気をする。
ゴム手袋とトイレットペーパーを
大量に使ってふき取る。
アルコールを大量にスプレーする。
最近寝床にしている、ぼくの籐椅子は
無事だった。と、思われる。
ショックの余り、妻にメールする。

来週月曜日に提出の原稿にかかる。
投資関係のWebの記事。
元同僚でデイトレーダーになった友人は、
いまも続けているのだろうか。

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