火の玉ガール

村に火をつけ,白痴になれ――伊藤野枝伝

村に火をつけ,白痴になれ――伊藤野枝伝


朝、強風のせいで一時停車。
ヤバ!遅れるかも。
思ったよりも早く発車。
仕事にかかる。
動揺したせいか、カードキーを胸からぶら下げるのを忘れて
閉じ込められる。
これでいいと思っていた暗証番号ではドアは開かず。
最悪1時間ほど待てば、誰か来る。
ゴキブリホイホイに囚われたゴキブリ気分。
そうだ、閉所恐怖症だったんだ。
外で物音が。
大声を出して開けてもらう。ラッキー。
怪訝そうな顔をしている。
そう言えば、幽閉されてドアを叩いている音がして
開けたことがあった。

『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』栗原康著を読む。
著者といい、岸政彦といい、最近の学者は、アカデミックでエラそうで難しいことを
のたまわないで、私情や思いを、あえてなのかどうか生な言葉で表現する。
ま、めっぽう面白いのだから、文句はないけど。
この本も評伝、ノンフィクションなんだけど、
合間に作者の忌憚のない意見や感想が挟み込まれている。
アジビラ(アジの開きじゃないよ)や
アジ看(アジアカンフージェネレーションじゃないよ)の如く。

冒頭、著者は伊藤野枝の墓を訪れる。
いまだに地元では、伊藤野枝はタブーな女性のようで。
なんたって九州女ゆえ熱いのだ、激しいのだ。
待てない、待たない。
貧しい家に生まれたが、無類の本好き。
上昇志向は強いが、それは地位や富ではない。
姦通罪など気に食わないものには、真っ向から立ち向かう。
平塚らいてうの「青鞜社」で働くが、
ええ家のお嬢さんである平塚の女性観とは、
相容れず。ブントと赤軍派の関係のよう。
辻潤大杉栄との恋愛や 三角関係のもつれ、日陰茶屋事件や
関東大震災で大杉と大杉の甥と虐殺されてしまう。など
断片的には知っていたが、
いやはや、パワータフガール。

波乱万丈な人生はドラマチック。
学んで書いて恋をして激論して飯をつくって
子どもをぽんぽん生んで。
肝っ玉おっ母タイプ。
でも、NHK朝の連ドラには絶対にならないだろうな。

 

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