君死にたもうことなかれ

日本の最初の反戦歌って、この詩ではないだろうか。
「君死にたもうことなかれ」。
ヤンキー先生以下、なんだか先生がイジメにあった生徒に対して、
やたらこんなことをいっていて、ウソ寒いつーか。
いや、すべては否定する気はないんだけど、どーもね。
きっかけは、SlowBirdさんの東京都教育委員会のバカ振り のエントリーを読んだから。


学校が戦場なのか、家庭が戦場なのか。
確かに「受験戦争」という言葉はあるけれど。
じゃあ、いまの子どもたちは何と戦っているんだろ。
見えない影、なりたりない大人の像…。


君死にたもうことなかれ
旅順口包囲軍の中に在る弟を歎きて


与謝野晶子作詩


ああおとうとよ 君を泣く
君死にたもうことなかれ
末に生まれし君なれば
親のなさけはまさりしも
親は刃(やいば)をにぎらせて
人を殺せとおしえしや
人を殺して死ねよとて
二十四までをそだてしや


堺(さかい)の街のあきびとの
旧家をほこるあるじにて
親の名を継ぐ君なれば
君死にたもうことなかれ
旅順(りょじゅん)の城はほろぶとも
ほろびずとても 何事ぞ
君は知らじな あきびとの
家のおきてに無かりけり


君死にたもうことなかれ
すめらみことは 戦いに
おおみずからは出でまさね
かたみに人の血を流し
獣(けもの)の道に死ねよとは
死ぬるを人のほまれとは
大みこころの深ければ
もとよりいかで思(おぼ)されん


ああおとうとよ 戦いに
君死にたもうことなかれ
すぎにし秋を父ぎみに
おくれたまえる母ぎみは
なげきの中に いたましく
わが子を召され 家を守(も)り
安しと聞ける大御代(おおみよ)も
母のしら髪(が)はまさりぬる


暖簾(のれん)のかげに伏して泣く
あえかにわかき新妻(にいづま)を
君わするるや 思えるや
十月(とつき)も添(そ)わでわかれたる
少女(おとめ)ごころを思いみよ
この世ひとりの君ならで
ああまた誰をたのむべき
君死にたもうことなかれ   

   
文科大臣への自殺予告状もチェーンメール化してしまうかも。
ケータイメールやeメールじゃないのは、足がつかなようにという配慮からなのか。
それとも自死の覚悟を表わすのでフォーマルに手紙にしたのか。