年越しの宿題

 

ビットコインはチグリス川を漂う――マネーテクノロジーの未来史

ビットコインはチグリス川を漂う――マネーテクノロジーの未来史

 

ライター稼業の哀しい性か。
年越しの宿題がないと不安になる。
今年は不安にならなくてすみそうだ。
ただし紙の仕事(印刷媒体)が1社減ったことは痛いことは痛い。
良さげなところに飛び込み営業ならぬ
ネット営業をかけないと思って数カ月。

だから仕事用の参考書と
趣味用の本をせっせと読む。
『NEXT GENENERATION BANK』で紹介されていた
ビットコインチグリス川を漂う』デヴィッド・バーチ著 松本裕訳を
読む。
『NEXT GENENERATION BANK』もいずれ感想メモに。

ビットコインチグリス川を漂う』、副題が「マネーテクノロジーの未来史」。
電車で読んでいるが気になる引用を一か所。

「マネーの4つの基本的な機能
●マネーは、計算単位だ。計算単位は、もちろん、物理的な実態を持つ必要はない。―略―
●マネーは、受容されうる交換媒介物だ―略―
●マネーは、価値の貯蔵手段だ―略―
●マネーは、支払繰り延べの手段だ―略―」

 

 

同じく感想メモに。

『NEXT GENENERATION BANK』は渋谷南口のマクドナルドで
ぺらぺらページをめくった。
スタッフがほとんどが外国人で
たどたどしい日本語で買ったものの確認をされると
なぜかこちらの日本語まであやうくなる。

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風呂敷を広げる

零號琴

零號琴


『零號琴』飛浩隆著を読む。
はてな、ちゃんと書名を変換するだろうか。
はじめ、もたもた。
中盤あたりから読むスピードが増して
デイパックに重たいこの本を入れて読み切った。

作者にとってはエンタメ系の作品らしいのだが、
いやはや。
広げた風呂敷の壮大なこと。
ワーグナーのオペラ「ニーベルングの指環」の如し。
惑星〈美縟〉で再建された巨大楽器〈美玉鐘〉により
秘曲〈零號琴〉が演奏される。
〈零號琴〉が流れる中、人々は仮面劇を演じる。
音楽と楽器と仮面劇。
壮大なギリシャ悲劇を未来に移植したのか。
でも、宝塚歌劇のようだし。
なんか百合系っぽさを感じるのは、誤読だろうか。
出て来るアニメーション「フリキア」シリーズって
プリキュア」だよね。
見てないからよくわからないが。
楽器もなんかフェチっぽくて。エロくて。
><BR><
そして最後が圧巻。
宇宙樹のような巨大樹木が復活して
近代的な建築物を駆逐する。
おーディストピア
そのために秘曲〈零號琴〉は演奏される運命にあったのだろう。

この手の話は大抵が英語、カタカナが多いが、
この作品はあくまでも漢字。
漢字で感じろ。ということか。
秘曲〈零號琴〉惑星〈美縟〉巨大楽器〈美玉鐘〉…。

その手のアニメーションに疎いぼくにも
世界は楽しめた。
カードキャプターさくら」の作者CLAMPあたりが
キャラクター化すると
マニアックなアニメーションになるかも。
作者の想像力を読者は自身の想像力で変換して読む。
小説でなければ書けない世界。という常套句があるが、
この本はそうだと断言できる。
はらたいらに全部!(byクイズダービー)。

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閉店 ギュウギュウ

中華料理の名店「慶楽」が年内で閉店だというので
土曜日、有楽町へ行く。
結果的にうちの忘年会となる。
ただし夜の仕事があるのでノンアルコールで。
店の前は行列。
映画を見た後や銀座で買い物をした帰りに通った。

貼り紙には耐震など店舗の老朽化と
店のスタイルが流行らなくなったとか
閉店の理由が書いてある。
料理がうまければ、
店員が無愛想でも
料理がなかなか来なくてもいいじゃんとか、
最近の客はそう思わなくなったのか。
Webサイトがないとか、スマホで予約できないとか。
でも、SNSで知ったのか若い世代も並んでいる。
煉瓦できた高架を眺める。
個人経営の店や業種は絶滅種か。
新しい店もできてはいるが。

子どもが小さい時に連れてきたが覚えていないようだ。
でも、あとでうまかったと言っていたようで。
出てきた料理はさすがにおいしかった。
何もなかったら寒いんで紹興酒の熱燗でも頼むのだが。
日比谷にある香港から進出した飲茶の店はもっと混んでいた。

すっかり変わったところと
変っていないところ。
日比谷の三信ビルなどが再開発で
東京ミッドタウン日比谷になったのか。
ニッポン放送へラジオCMの収録で通っていたのも
はるか昔のことになってしまった。

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光あるところに影がある

貧民の帝都 (文春新書)

貧民の帝都 (文春新書)


『明治開化 安吾捕物帳』で東京の貧民窟を舞台にしてるものがある。
東京にはかつて芝新網町、上野万年町、下谷山伏町、
板橋岩の坂、四谷鮫河橋など貧民窟が多々あったそうだ。
上野万年町は唐十郎下谷万年町物語でおなじみか。
詳しく知りたくなって『貧民の帝都』塩見鮮一郎著を読む。

白土三平原の忍者漫画「サスケ」のアニメーションで
冒頭のナレーション「 光あるところに影がある」
というのがあるが、まさにそういうこと。
ミシェル・フーコーが『狂気の歴史』で精神病院を、『監獄の誕生』で刑務所を
テーマにしたが、病人と犯罪者は収容、隔離されなければならない。

裏歴史をさぐることで
社会や国家、政治の背景、影を知ることができる。
明治新政府のいきあたりばったりぶり。
そりゃいきなり土地勘のない東京に来たわけだから。
オリンピック開催が決まるとその都市が急場しのぎで
スラム街を隠蔽するのと同じ考え方。

失職した武士から女性、子どもまで
路頭に迷う貧民でごったがえした東京。
その惨状、窮状ぶりから
救いの手を差しのべた民間人。
時系列ではないが、賀川豊彦救世軍山室軍平
実業家・渋澤栄一石井十次などなど。
養育園、育児院などの変遷が
ゲニウス・ロキ的に興味深い。
それらの施設は病院などで現存しているものも多いことを知る。
ボランティアはクリスチャンが多く、
キリスト教の布教の一環と訝れるかもしれないが、
何もしてくれない役所などよりは全然ましだろ。

ポイントポイントに掲載されている
写真や地図が脳内タイムワープを後押しする。

この本を読むと何か日本の、東京の近未来と
重なるような気がしてならない。

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御歳暮代わりに今日の5首

不在通知の御歳暮 再配達かと思ったら 「幸せですか?」の女(ひと)だった

路地も横丁もなくなる再開発 化けて出るところがないと嘆く 幽霊ら

エスカレーター式で 名門私立を出て リストラ エスカレーターを拭く日々

お爺さんは一人ネトウヨ活動 お婆さんは日帰りバス旅行で命の洗濯

忘年会 暴年会 望年会 謀年会 防年会 さて、どれにマルする

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一雨ごとの

文豪怪談傑作選 芥川龍之介集 妖婆 (ちくま文庫)

文豪怪談傑作選 芥川龍之介集 妖婆 (ちくま文庫)


意外と長くやや本気で降った雨。
一雨ごとの寒さかな。
企画をまとめる。

『文豪怪談傑作選 芥川龍之介集 妖婆』東雅夫編を読む。
芥川は小・中に読んでそれ以来。
古今東西、小さい頃から根っからの怪談好きという視点から
とらえたこの本を読むと、まったく新しい芥川が浮かんでくる。
発売直後の『遠野物語』の数少ない愛読者の一人。
怪談を自ら熱心に蒐集して編纂した『椒図志異』。
今なら都市伝説。
芥川は今昔物語などをリミックスして話をつくった。
古い話だから新しくない。んなことはない。
新しい話でも古臭いなんてものはいくらでもある。
『死後』という掌編は、星新一ショートショートみたいだし。

その当時、マンガが小説よりも盛んだったら、
絵心のある作者は怪奇幻想漫画家になっていたかもしれない。

江戸末期、京橋川の大根河岸あたりに河童がいたとか。
鵠沼海岸へ蜃気楼を見に海水浴に行った。
ゴーギャンの画集を見ていた。
ポーは原書で読んでいたのかな。
内田百間(ケンが出ないんだよ、ハテナ)の『冥途』、

評論家には評価が低かったみたいで
その良さを述べているが、実に的確。
これはいまも同じだろう。
大正時代は「怪談黄金時代」だったそうな。
大正デモクラシーは知っていたが、大正ホラーとは。

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