IoTを物の怪と訳す

フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉

フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉

既定の文字数にまとめる。
ノートPCのディスプレイで
切った貼ったするよりは、
赤ペンで書いた方が楽。

フォマルハウトの三つの燭台』神林長平著を読む。
いやはや、こういうものまで書いてしまうとは。
書けるとは。結構なエンタメ系でした。
古代の『フォマルハウトの三つの燭台』と
現代のIoT(モノのインターネット 変な日本語訳)と
霊能力と。

「きょうトースターが死んだ」の書き出し。
「ある日ママンが死んだ」なら知っているが。
今日日のトースターは人工知能搭載でIoTゆえ
パンを焼くだけじゃない。
あ、IoTとか騒がれているが、
昔流行ったユビキタスコンピューティングの焼き直しだと
勝手に思っている。
このトースターにはミウラという名前までついている。

家電も進化して人工音声でアドバイスをくれる。
親切と思うか、うぜえと思うか。
将来、「今日も特売のタイ産の鶏肉ですか。
たまには、名古屋コーチンとかどうですか」
など余計なツッコミを入れたりして。

壊れたトースターから話は意外な方向へと進む。
その持ち主は誰なのか。
借りていた部屋の大家の息子。
本好きオタク系プーが謎を探るが、彼にも謎が。

シリアスかと思いきや
そうではなく、意外とまったりとしている。
たとえが古いが、松本零士の『元祖大四畳半物語』とか。
コタツでプログラミングしているようなもの。
仮想現実と現実の際を自在にくぐり抜ける。
神は細部に宿る。神はモノに宿る。
八百万の神だよね。
IoTを物の怪と意訳してもいいと思うが。

「<倭篇>」とあるから、続編もあるのか。
期待しよう。
寺田克也の装画がグー。
万城目学あたりが好きなら、ぜひ。

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起こし終わり

平和の玩具 (白水Uブックス)

平和の玩具 (白水Uブックス)

 

今しがた音声データ起こし、終わり。
これからが本業。
本業直樹。

『平和の玩具』サキ著を読む。
サキが戦死後、編集された短篇集。
なんと「序文がG.K.チェスタトン」。
新聞記者だっただけに、視点がそれらしい。
ただし仕立て方は、まったくシニックだが。
『平和の玩具』は、小さく笑わされる。
安全カミソリと同趣旨のような。
『邪魔者たち』は、おやおや珍しく和解という
ハッピーエンドかと思ったら、そこはサキ。
ネタふりでした。オチで珍しく大笑い。
これをアレンジすると、落語になる。

ボーナストラックが
「サキ及び近親者の書簡」。
これは貴重。
サキが戦地から姪に送った手紙は
ほほえましくやさしい。
いつもの意地悪さが微塵もない。

イギリスには悪しきソドミー法がつい最近まであった。
同性愛禁止法で
有名人ではオスカー・ワイルドや、アラン・チューリングなどが
この法律で罰せられた。
サキもゲイ疑惑はかけられていたが、
親族は否定する。その書簡も掲載されている。
当人はおろか一族郎党まで
恥辱を受けるというもの。
LGBTがカミングアウトできたり、
結婚も認められつつあるが、
昨今の保守化の波が激しくなったら、どうなるのだろう。

中年で志願兵になったサキ。
小説のネタ探しに戦場に出向いたのか。
死に場所を求めて緩やかな自殺志願だったのかは、
わからない。
戦場で書かれたものもある。
無事帰還できたらサキらしい反戦小説を書いただろうか。
わからない。

余談。
都民ファーストが掲げている子どもがいる家庭内禁煙の条例が、
禁煙ファシズムとか賛否両論のようだ。
アメリカ在住の知り合いに聞いたことがあるが、
小さな子を1人で家に置いたまま外出した親は
逮捕されるとか。
また学校の送り迎えは親の車でするとか。
治安が良いとかいっていた日本も
なんだか近い将来、そうなりそうだ。

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起こす


早朝、取材の音声データが届く。
ありがたい。
猫のシモの世話や処理をしてから
早速、起こしにかかる。
にしても、ニオイがなかなか消えない。

怪奇小説精華―世界幻想文学大全 (ちくま文庫)

怪奇小説精華―世界幻想文学大全 (ちくま文庫)

 

怪奇小説精華』東 雅夫 編を読む。
古今東西の名作を選んで
翻訳も選んだ怪奇小説入門コンピ本。
再読、再々読もまた楽しきかな。
もっとも射抜かれたのは、『聊斎志異』の『小猟犬』だった。
ホラーというと何か巨大だったり、
美醜、いずれかがすごい異形のものだったり、
という印象が強いが。
『小猟犬』は、ミニチュアの世界。
そうきたかと。
パーススペクティブ感がたまらない。
都市伝説でちいさいおじさんとかがあるが、
そんなおじさんが散歩させてもおかしくないサイズの犬。
「2寸サイズの武者」など、みんなちいさい。
ガリバーは巨人国じゃ小人だし。
アリスはある薬を飲んで小さくなるし。
盆栽、食玩一寸法師
縮み志向は何も日本人だけじゃなくて。

聊斎志異』って大昔読んだことがあるが、
気になる。
怪奇と不思議と法螺は紙一重。
そのうちちゃんと読んでみよう。

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どっちでしょう


今週の移動本はサキの『平和の玩具』。
風刺、皮肉、意地悪が愉快。
古典落語を思わせる短編もある。

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の冊子。
特集ページの画像。
元・読売テレビアナウンサー清水健氏に
取材して、原稿をまとめた。
著作『112日間のママ』をベースに
新たにガンなど難病支援のために
基金を設立された現在の心境などをお伺いした。
1月から2月にかけての仕事だが、一応、ご報告。

Viagraのスパムメールが多数届く。うんざり。
必要ないから。その理由は


a.元気だから


b.使う目的がほぼないから

さて、どっちでしょう。
ViagraとNiagara
韻を踏んでいる。
次が出ない。
 Nigeriaとか。

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くりそつ

絞首台の黙示録

絞首台の黙示録


スガシカオの『午後のパレード』を
あちこちのラジオ曲で聴く。

『絞首台の黙示録』神林長平著を読む。
ドッペルゲンガー幽体離脱という言葉が出たが、
そこから進まない。
双子、見た目は自分にそっくり。
でも、何か違う。
以下ネタばれかも。
しょっぱな生々しい死刑シーンの前後が続き、
重苦しい。
死刑になった男が甦っている。
 幽体離脱装置というのか研究開発中の幽体離脱法で
肉体は滅びるが魂は死なず。
どうやらその魂は肉体という容器に好き勝手に入り込めるらしい。
そしてコントロールされる。
なりすましは、偽物が本物を騙ることだが、
この場合、偽物とは言えない。でも、何か違う。

SF作家が書いた怪奇幻想文学の秀作。

死刑前に立ち会った牧師(教誨師)に会いに行く二人。
オリジナルとクローン。
クローンゆえ遺伝子まで同じ。
ぼくって何。私って誰。
自問し悩めるレプリカント
産みの親である博士に報復する。
そう、『ブレードランナー』のように。
出てくる人物たちが、
本当に生きているのか、死んでいるのか、
わからなくなる。
罪と罰。神と悪魔。
オカルティック気分、高濃度。

こりゃ黒沢清に映画化、希望だな。
かわいらしいが、アートっぽい表紙。
誰が描いたのだろうと思ったら、
西島大介だった。

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ケージヨロシク

曇ると蒸し暑く、
晴れると暑い。
夜の仕事は休みなので
洗ったばかりの風呂に湯をはって
ひと風呂浴びてから飲んだくれようと思ったら、
インターホンが鳴る。
大荷物が届く。
あちゃー、いま、来るか。
割と重たい段ボールを居間まで運ぶ。
中身は猫用のケージ。
一階が老猫のトイレゾーンとなったための対策。
浴室前とキッチンが危険ゾーン。

工具不要の組み立て式というが、
結構力がいる。
きゃしゃな女性には大変かも。
金属の床面に新聞紙を敷いて
ペットシーツをのせて、
寝床を奥に置く。
新居の住み心地は、まんざらでもなさそう。

『絞首台の黙示録』神林長平著を読む。
日本SF界の山下達郎として
リスペクトしている作家。
すぐさま引き込まれて
頭がクラクラしてくる。
岡村靖幸ではないが、「どぉなっちゃってんだよ」。

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世界の中心で


猫、下血。歌舞音曲、禁止か。
まさか。液状のおやつを2度続けてあげたら、
足りないらしく不満たらたら。
夕方、あげるから、それまでお預け。

世界の中心で愛を叫んだけものハーラン・エリスン著を読む。
新世紀エヴァンゲリオン最終話・第26話「世界の中心でアイを叫んだけもの」の
モト副題ネタで有名になった作品。
題名は知っているが呼んだことはなかった。
そんな本って結構ある。

全篇に流れているのは暴力。
異星人とも第一種接近遭遇とか悠長なことを言っている場合ではなくて
派手にドンパチやっている。
世界の中心で愛を叫んだけもの』は、
時空を超えた「同時性」という、はったり具合が
利いていて壮大なスケールに目を開かされる。
グロい暴力シーンは、
イン・ザ・ミソスープ』あたりの村上龍
平山夢明の一連の作品を思わせる。

『少年と犬』は、一種のディストピアもので
映画『マッドマックス』が好きな人なら、ハマるだろう。
訳が朝倉久志と伊藤典夫というSF翻訳のツープラトン
「ハジキ」とか、どことなく初期劇画かパルプフィクションを思わせる訳文。

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