パン屋(が)襲撃

 

朝のAMラジオで早速EW&Fの『セプテンバー』をかけていた。

『カールの降誕祭』フェルディナント・フォン・シーラッハ著を読む。
3つの短篇集。すぐ読めた。
作者の長編も読んだが、短編の方がぼくは好み。
『パン屋の主人』。この人物と思われる者、他の作品に出てきた。
本当は本格手作りパンを売りたいのだが、
世の流れで大量生産の冷凍パンを焼いて売っているという。
作者は元々弁護士ゆえ罪について書いている。
罪を犯すか否かは薄皮一枚。
それと同様に正気と狂気も薄皮一枚。
そんなことを感じさせる3作品。
まさかあの人が。というのが常套句になっているが、
いつなんどきあなたもぼくもそうなるのかもしれない。
自殺した和歌山の2丁拳銃男も
つながっている。

怒りやストレスのメーターが一気に振り切れるタイプ。
キレるっていうけど、そういうタイプも怖いが、
うまくガス抜きできなくて
内部に溜めに溜め込んで、最後に暴走する。
そういうタイプも増えているのでは。
晩節を汚すというが、
老いか呆けによるものか。
作者の作品には、後者のタイプがよく登場する。

村上春樹の短編に『パン屋襲撃』というのがある。
『パン屋の主人』は、逆にパン屋が襲う。
タダジュンの版画が何枚も盛り込まれているが、
これをちょいと佐々木マキのイラストにしたら、
あら不思議、村上春樹の作品に。
と思うのは、ぼくだけ。

本日のエントリー、タイトルの代案は、狂気準備集合罪。



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