朝な夕な


ちょっと前までは『 La La Land』の「Another Day of Sun」が
ヘビロテだったが、いまは
「 流動体について」小沢健二 を朝な夕な聴いている。見ている。
んで気合を入れる。

『選択しないという選択』キャス・サンスティーン著と
『鈴木さんにも分かるネットの未来』川上量生著を読み中。
偶然併読していると、妙に話がつながったりする。

怪奇小説傑作集5 ドイツ・ロシア編』を読んだ。
ロシア編のメンツがすごい。
アルツィバーシェフ、レミゾフ(初読)、ゴーゴリ
チェーホフトルストイ
ロシアの幻想小説にひかれる。
だってソローキンのルーツつーかパイセンだもの。

豊洲か築地か。
都知事の玉虫色の回答。
雨の朝、最寄りの駅頭で都議候補ががなり立てている。
急ぐ人たちの反応は薄い。

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フレンチ・ゴースト

怪奇小説傑作集4<フランス編>【新版】 (創元推理文庫)

怪奇小説傑作集4<フランス編>【新版】 (創元推理文庫)

今週の移動本は『怪奇小説傑作集4 フランス編』青柳瑞穂・澁澤龍彦訳。
訳編者でもある澁澤のウンチクたっぷりの解説が、
今となっては懐かしい文体で。

「フランス人には、昔から、幻想的な資質が乏しいということが
定説になっていて、幻想小説といえばドイツが本場、恐怖小説といえば
イギリスが本場が信じられてきたのである」


しかし、恐怖小説の枠組み、お約束に則って書かなくとも
怖い話はあるだろう。
ぼく的には短めの作品が好印象で、奇想なり恐怖なりが伝わって来た。
『手』ギー・ド・モーパッサンや『ミスタアユウ』ポール・モーラン、
『自転車の怪』アンリ・トロワイヤなど。

ま、リアリズムの国だから、アンドレ・ブルトンあたりはヤになって
シュールレアリスムなんて提唱したわけだし。違うか。
リズム感の悪い黒人だっているし、
寿司の嫌いな日本人だっているわけだし。
ジャズやホラー小説やおしゃれも辺境の地で
過剰に進化するという説をぼくは支持しているし。

旧制高校の同級生」だった出口裕弘の「新訳解説」によると

「フランスには未紹介のいい短編がたくさんあるんだ、自分でつまんない
小説なんか書くより、そういうのを翻訳するほうがずっといいと思うし」

 


と言っていたそうだ。
出口訳のブランショバタイユの本には
一時期、染まったが。

平井呈一もそうだったのだろう。

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資料のはらわた

原因を推論する -- 政治分析方法論のすゝめ

原因を推論する -- 政治分析方法論のすゝめ

湿度のせいか、金曜日のせいか、へばり気味。
資料を出力して読み込む。記事を書く。

『原因を推論する』久米郁男著を読んだ。
副題が「政治分析方法論のすすめ」。
中身は意外とざっくばらん。
本筋はそれなりに難しいところもあるので
最初は面白そうなところだけ拾い読みすると
収穫があるかも。
たとえば、こんなところ。

 

「朝食を摂らない非行少年は、脳の糖代謝前頭葉の部分で
低下し、偏食による低血糖やビタミン、ミネラルの欠乏と
相まって抑制が効かなくなり、その結果非行に暴走するという
ことを示しています」
(「茨城県警と筑波大学が共同で調査した報告書」)


この因果関係は真か偽か。
作者が分析している。
もっともらしいのだが、よーく検証していくと、
つっこみどころがいろいろ出てくる。
引用をもう一度読んでほしい。
「非行少年」は、朝飯を食っても食わなくても
暴れるときは暴れるし。

あとは、ぼくも感激して読んだ『ビジョナリーカンパニー』に
ついての考察。
経営学者であるフィル・ローゼンツワイグ」の批判の引用の引用。

「集めたデータの大半は雑誌や新聞や企業の刊行物からのもので、
ハロー効果でゆがめられているおそれがある」

 


ハロー効果はバイアスの一種で、
割と感染しやすい。
作者はこう付記する。

「秘密を守ってきたから成功したのではなく、成功したから
それが秘訣に見えるという逆の因果関係である」

 

うろ覚えだが、ソニーがビジョナリーカンパニーとして
取り上げられていた。それが、どうだ。
サクセスストーリーは、読んでいて楽しくわくわくする。
だけど、結局のところ、さほど参考にはならないよね。
気休めというのか。

世界的なエアバッグ会社だったタカタなんて
一昔前は間違いなくビジョナリーカンパニーだったはず。
それが、どうだ。

本筋の政治について引用。

「近年「事実証拠に基づく政策」の重要性が語られ始めた。
もともとは、医学の世界において主張されたEvidence Based Medicineという考え方に影響されたものである」


「政策の世界でも、これと同じように可能な限り客観的なデータの
厳密な分析をふまえようというのが、発想の基本である」

 

ここ、ここが、足りない。福一も受動喫煙加計学園も。

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禁じられても聴きたいの

スウィングしなけりゃ意味がない

スウィングしなけりゃ意味がない


『スウィングしなけりゃ意味がない』佐藤亜紀著を読む。
戦時下のハンブルク
ナチスは退廃音楽としてジャズを禁じた。
たぶんジャズのルーツは黒人音楽だからなのだろうが。
敵国アメリカ産というのもあるかもしれない。
禁じられると余計聴きたくなるのが人情で。
こっそりジャズパーティに興じる。
それどころか主人公の若者は
不法なジャズ音源から海賊版レコードを本格的に売り出す。
売れる。理不尽なナチスの弾圧、戦争の悲惨さ。
金持ちの子息は徴兵回避できたようだし。

ジャズのスタンダードナンバーのタイトルが各章の見出しで
テンポ良く話が進む。
なんだか活劇っぽい。サウンドトラックはジャズ。洋画みたい。
反戦とか大仰に構えなくても
大衆は、上から禁止されても
生きるために必要な愉しみは決して止めない。
それに、イデオロギーじゃ腹はふくれないですぜ。

YouTubeで見出しの楽曲を紹介しようと思った。
たまたま作者のウェブサイトを見たら
楽曲のリンクが貼られていた。

誤植発見
p.214 「1963年のエディ・フォス」→もち「1936年の~」だ。

ジャズ、R&Bからロックンロール、ロックへ。
今のヒップホップまでナチスはもちろん禁止を命じるだろう。

年表によると無名だったビートルズハンブルク
長いドサまわりに行ったのは1960年のことだそうだ。

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ごほんび

星の子

星の子

 

予定より早く仕事が終わったので
『星の子』今村夏子著を読む。
ご本のご褒美で、ごほんび。

主人公の女子中学生は赤ん坊の頃、
霊験あらたかな水で治らなかった病気が治った。
以来一家は、信仰生活に入る。
まわりはそんな水はインチキだと思うが、
それで治ったのだから。
新興宗教、カルト宗教は
うさん臭げに見られがち。
まあ、その教義を守ろうとすると
軋轢も起きるだろう。
その苦難を乗り越えればいちだんと高いステージに上れる。
ダメだったら信心が足りないと。

女の子は、ごく普通の子で、
彼女を通して
家族、親族、信者、先生、同級生が語られる。
作者ならではの少年少女の心理描写が巧みで、
ぼくも遥か昔の中学時代をふと思い出していた。
早く終わってほしい、早く終わらないでほしいが
入り混じった気分とか。

いわば総本山の「星々の郷」へ家族と行く。
修行のメニューは、
たぶん自己開発セミナーと似たようなものか。
作者の実体験なのか、否か。
ま、それはどうでもいいのだが、
建物描写などがリアルなもんで。

特別な事件や事故もない。
姉の失踪ぐらいか。
ガチ家族を描いた真っ向からの作品。

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しますだ


のんを起用したMVが素晴らしいので紹介しますだ。
のんちゃんの多彩な表情。
猫背で歩く姿とか、鼻血とか、しびれますだ。
フケたスチャダラパー

今週の移動本は『スウィングしなけりゃ意味がない』佐藤亜紀著。
ナチとジャズと若者と。
同作者の『吸血鬼』が本格怪談文芸(日本語変だけど)なら、
この作品は思った以上に痛快。いまのところ。
日本よりも欧米でウケる作家なんじゃないかと何のエビデンスもなく思う。

一時はどうなるかと思っていた原稿書き。
なんとかなりそうでほっとする。

ビタミン剤の代わりに米麹の甘酒を購入する。
どちらが効くのか、効かないのか。
人体実験。

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仏頂面男

 

ボツネタで原稿をまとめるところだった。
こういうことが多くなってきた、ボケかな。
つーか、あらかたまとまっていたので残念、断念。

クチナシの白い花と香気もよいが、
ザクロの小さな朱色の花が一面に咲いているのもいいもんだ。

サミュエル・ジョンソンが怒っている』リディア・デイヴィス著を読む。
これは短編映画、これはラジオドラマ、これは漫画、これは紙芝居と
勝手に決めつけながら読む。
断片や部分、小説の吊るし切り。無駄なところはない。アンコウか。
漁船に乗って釣りたての魚を海水でしゃぶしゃぶして食べる、みたいな。
いやいや、計算はあるだろ。すべてオートマティズムじゃね。
表題作は、わずか一行。


「蘇格蘭(スコットランド)には樹というものがまるでない。」

 

 

マリー・キュリー、すばらしく名誉ある女性』が、気になる。
訳者である岸本佐知子のあとがきを読むと、
「わざと下手な英語で書かれた文体」だそうで、
なら、翻訳も下手に訳してあるのか。そうとは思えないが。
『<古女房>と<仏頂面>』。
このタイトルにひかれる、邦訳が良いのか。
偶然だが「仏頂面男(ぶっちょうづらお)」というキャラを考えたことがある。
大学で仏文専攻。仏具販売店の部長職。好きな作家は大仏次郎

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