彼女らが旅に出る理由

 

ショウコの微笑 (新しい韓国の文学)

ショウコの微笑 (新しい韓国の文学)

 

 

白馬に乗った王子様が私をいつか迎えに来る。
そんな夢見る女性は減ったとは思う。

 

ぼくは自ら白馬に乗って好みの男を
かっさらう女性がタイプだし。

 

自分探しの旅。
ひところ流行った言葉。

 

文字通り海外へ
短期・長期の旅や語学留学、ホームステイをする。

 

でも、旅だけではなくて、
何か違う、フィットしないとかの理由で
恋愛や転職を重ねることも自分探しの旅と言える。

 

換言すれば
幸福の青い鳥を探す。

 

こんなことを思ったのは、
『ショウコの微笑』チェ・ウニョン著  牧野 美加・横本 麻矢・ 小林 由紀訳 吉川凪 監修を読んだから。

 

『ショウコの微笑』以下全7篇。

 

『ショウコの微笑』

友人って仲が良い関係をふつうはいう。
でも、仲が良い・悪いに関わらず気になる存在というのも
友人と言えるのだろうか。

韓国に短期のホームステイした日本人ショウコと韓国人の少女。
似た境遇でありながら、感じる違和感。
心を閉ざしている祖父がなぜかショウコには
日本語で愉しげに話す。

疎遠になるようでならない。
アイデンティティークライシスをなんとかそれぞれ乗り越えて。
30代手前。自分の才能や夢へのターニングポイントを迎える。

映画になったらとキャスティングを妄想する。


『シンチャオ、シンチャオ』

ドイツで暮らすベトナム人一家と韓国人一家。
異国で同じアジア人。家族ぐるみの親しいつきあいをしている。
しかし、小さなほころびがやがて大きくなる。
ベトナム戦争南ベトナム支援目的で派兵された韓国軍・傭兵の悪行・非業。
一度は疎遠になるが時の流れというか縁というか。
ラストがしんみりとさせられる。

 

『ハンジとヨンジュ』

大学院へ通う女性。フランスの修道院で生活することになる。
信仰の道へ進むのか。修道院の描写が須賀敦子を思わせる。
そこでケニアからやって来た若者と知り合う。
互いに好意は持っているのだが、
臆病、慎重、恋愛下手。
つーか、じれったさ、もやもやさせるのが良い恋愛小説なのだろう。

 

K文学(韓国の小説)を読むと、
地方から大学進学などで若者がソウル近辺に住む。
そこを親や祖父母が訪ねるシーンが割とよく出て来る。
これが印象的なのは、
ぼくが地方出身者だからなのだろう。

 

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