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逆噴射

呪文

呪文

ネットで注文した喪中欠礼を
スーパーマーケットに取りに行く。
喪中用の52円切手を買わないと。

長いこと放置されていて、
半分だけ解体された大きな鉄筋のアパートの残り半分が
壊されかけていた。
子どもの保育園の同級生が住んでいた。

『呪文』星野智幸著を読む。
人気スポットからちょっと離れたところにある
うらぶれた商店街。
そこを見事復活させた男が主人公。
そして彼にシンパシーを感じる若主人たち。
と書くと、サクセスストーリーなのかと思うが。

彼が切り盛りする飲食店をネットで誹謗中傷する男。
売られたケンカは買う、
降りかかった火の粉ははらう主人公。
炎上は吉か凶か。

CIAかFBIのごとく中傷した主を探索する。
包囲網は狭まり、クレーマーは特定される。

ここから捩じれて来る。
一種のカリスマにシンパシーを感じていた心が、
なにかのタイミングでスイッチが入って
逆方向に進む。
どろどろした不気味なものが溢れだす。
感情の反転、世論の反転、評価の反転、
これがネット時代になって高速化している。
逆ギレ、マジギレとか。


同作者の『俺俺』が、セルフアイデンティ・クライシスを
テーマにしていたが、この作品では
群集心理という言葉を現代小説に仕立てた。
ひりひりしてくるラストあたりは、
作監督の『仁義なき戦い』を彷彿とさせる。
と思うのは、ぼくだけだろうか。

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